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12 02
2012

おすすめ本特選集

瞑想を理解するための10冊の本

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 瞑想とは頭を「空っぽ」にすることである。ものを考えない、考えに乗らないことである。

 それを理解しないのは、そもそもはじめからどうしてものを考えるのが悪いことなのか、考えることをやめようとするのかがわからないからだ。

 瞑想は「言葉の否定」である。「思考の否定」である。どうしてそんな大事なものを否定するのか。

 日本の禅仏教などはそもそもこの疑問すら禁じてひたすら考えないこと、言葉の否定を無理強いしたりする。坊さんの書いた瞑想の本にしても、道徳や説教くさい生活指針であったりする。げんざいの仏教本から有益な情報は得られにくい。

 われわれは考えること、思考をすることは「よいことだ」、「頭のよくなることだ」、「思考を否定することは奴隷や隷従することだ」と思う思考文化のなかで生きている。

 瞑想を理解するのは、思考や言葉はなぜ悪いのかを説明した本を知らなければならない。

            ◆

 
483795572Xどう生きるか、自分の人生!―実は、人生はこんなに簡単なもの
ウエイン・W. ダイアー Wayne W. Dyer
三笠書房 1999-09

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 まずは手はじめに自己啓発のウェイン・W・ダイアーからだ。ダイアーは思考は現実と同一ではないといったことや、過去に頭を充満させるなと説いた。頭のマイナス、引き算の解放を説いた。自己啓発の衣をまとっているのだが、これは仏教や禅と同じ考えである。


4478022720【新訳】積極的考え方の力
ノーマン・V・ピール
ダイヤモンド社 2012-11-30

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 ノーマン・V・ピールも自己啓発やポジティブ・シンキングの主導者であるが、頭を空っぽにすること、心が世界を変えることを説いている。この外界に支配された状態から、世界がどうであれ、心が幸福を支配する転換をみちびくのが自己啓発だ。われわれは外界や世界の出来事に翻弄されるしかないという考えを転換してくれるのが自己啓発だ。


4393710312リチャード・カールソンの楽天主義セラピー
リチャード カールソン Richard Carlson
春秋社 1998-12

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 思考を捨てることを書かれた一冊。この本こそ瞑想を理解するための真打ちだろう。リチャード・カールソンはほかのコラム集で大ベストセラーを生み出したのだが、この本ほど思考の害悪や損害を紹介してくれる本はない。思考と感情のつながりを精緻に分析して、思考がなぜ感情に害悪をおよぼしつづけるのか論理的に解明してくれる。思考を現実だとわれわれは思いすぎて、その感情に囚われたままなのである。この一冊で「思考病」の弊害をあますことなく知ることができるだろう。


4900550205愛と怖れ―愛は怖れをサバ折りにする。
ジェラルド・G. ジャンポルスキー
ヴォイス 1990-06-01

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 外界とはわたしたちの心を写す鏡である。われわれは外界や他人を変えようとして苦しみつづける。過去を変えようとして苦しみつづける。それらを変えずに心だけを変えれば、苦しむことはない。世界の捉え方の変換、心の転換の本ですね。


4003361016自省録 (岩波文庫)
マルクスアウレーリウス
岩波書店 2007-02-16

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 外界を変えるのではなくて心を変えることによって安寧を得るという方法は二千年前のローマ時代にも共有されていた。マルクス・アウレーリウスはローマの皇帝ですね。外界を変えようと努力しつづければ変わらない外界に苦しみつづけるのだが、心を変えればふっと安寧がやってくる。仏教と同じ精神をローマ人は知っていたわけですね。このストア哲学の精神はエピクテトスなどにも見ることができる。


4892031143無境界―自己成長のセラピー論
ケン・ウィルバー
平河出版社 1986-06

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 ケン・ウィルバーは仏教や東洋宗教の考え方を西洋心理学に焼きなおしたトランス・パーソナル心理学の創始者ですね。われわれは思考やペルソナといった誤った自己に「同一化」している。その「脱同一化」を説いたのがこの本だ。思考の世界から「脱同一化」するという考え方は重要ですね。


4784101306自我の終焉―絶対自由への道
J.クリシュナムーティ
篠崎書林 1980

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 クリシュナムルティは思考の弊害や病気を精緻に分析しつづけた人ですね。難解な部分も多いのだが、この人ほど「思考という病」に挑みつづけた人はいないでしょう。思考の害悪に気づいた人には外せない哲学者でしょう。


4199060030人生が楽になる 超シンプルなさとり方 (5次元文庫)
エックハルト・トール
徳間書店 2007-11-09

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 思考の性質を考えてみるのは、「時間」のことを考えないことには理解できない。思考というのは、過去や未来の「想像」や「空想」にしかすぎない。しかし人の頭の中の大部分はこの過去や未来の「存在しない空想」に満たされている。時間に注目すると、よりいっそう思考の「虚構性」、「非実在性」が理解されるだろう。どこにも存在しない思考という「絵空事」にわれわれの頭は支配されているのである。


4795223661グルジェフとクリシュナムルティ―エソテリック心理学入門
ハリー ベンジャミン Harry Benjamin
コスモスライブラリー 2000-09

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 われわれはどうして頭の中で一日じゅう、「おしゃべり」をしているのだろう。なんであの人はわたしをどうあつかっただとか、あの行いは許せないと頭の中で「しゃべり」つづけるのだろう。私たちは自分の正当化や価値のあり方を再確認するために、自分の価値をたえず自分に語りつづけなければならないのである。どうしてなのか? 自我という「虚構」はそういう確認でしか自己を保持することができないのである。わたしたちの頭の中のおしゃべりの「恥ずかしさ」が白日の下にさらされる本ですね。


4839700095瞑想―祝祭の芸術
バグワン・シュリ・ラジニーシ
めるくまーる 1981-03

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 ラジニーシはこの一冊がいいというわけではないけど、この瞑想の本を紹介しておこう。元来の日本の仏教の本より、トランスパーソナル心理学やニューエイジの流れの中で紹介された本のほうがよほど瞑想や思考の否定の意味がわかるというものである。


                    ◆

 以上、十冊の本を紹介してきましたが、いまは仏教の本で瞑想を知るより、自己啓発の本からはじめるほうがわかりやすいと思う。

 そもそもわたしたちは思考が悪いもの、言葉を否定する意味がちっともわからない文化で生きている。それと外界や他人を変えることでしか幸福や充足を得られないと思う文化の中で生きている。

 だから心を変えることで幸福や充足感をうるという考え方を自己啓発で学ばないと、瞑想や仏教がいってきた意味がわからないようになっている。

 物質主義・経済成長の時代は、モノやお金がたくさんないと幸福になれないという考え方から離脱されることは困ることですね。だからわたしたちは心の性質を学ばないように規制されていたのかもしれません。心のあり方を知ることは「宗教」だと排斥されてきたのでしょうね。

08 01
2012

おすすめ本特選集

人間の比較優劣を超える―『捨てて強くなる』 櫻木 健古

CIMG0001_11112.jpg捨てて強くなる―ひらき直りの人生論 (ワニ文庫)
櫻木 健古
ベストセラーズ 1984-01

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 ひとむかしまえの忘れられた自己啓発家の本だし、おちゃらけた文章の本だけど、わたしとしては「比較優劣」から抜け出すことを教えたこの本に優る本には出会ったことはないので、類書のないこの本をすすめるほかない。

 人間は人との比較優劣から抜け出せないから卑小な自尊心、競い合いから逃れられない。こんな比較から抜け出して馬鹿になれば、もっとおおらかに超越して生きられる。

 むかしの仏教や世間にはそういった比較や自尊心からぬけだした超越をたたえる風潮というものがあったと思うのだけど、いまはさっぱり聞かない。勝つこと、有名になること、賢くなること、偉くなること、そういうことの価値称揚と賛美しか聞かない。むかしはそんな次元をこえた人のほうがエライという世間の目があったのではないかと思うのだけど。

「人は多く、その小ざかしい知恵を、価値とすえるものの獲得のためにしぼる結果、<愚>から遠ざかってしまうのだ。

もろもろの相対的な価値を――否定するのではなくて――超えた世界に生きる、すなわち、大いなる<無>の住人となること。

貧富貴賎にたいして平気、毀誉褒貶にたいして平気、吉凶禍福にたいして平気、その他いっさいの価値に平気であれ」



 人が価値をおくものの競争や優劣のために、人は必死になり悲壮になり苦悩にあふれる。そんな価値などちっぽけなものだと思えば、大いなる安らぎと安心の世界に生きられる。

「他人の眼や批評が気になるのも、つまりは馬鹿になれないから、ケチな自尊心を捨てられないからにほかなるまい。「自分がかわいい」から、他人の非難ごときで傷がつく。チッポケな自分ごとき、放ってしまえば、傷つく自分というものがそもそも、存在しないではないか」



 自尊心を守り、勝ち、認めさせようとするから、人の目や悪口が気になり、放っておけなくなる。そういう自分を捨ててしまえば、平気になれるではないか。自尊心の捨て方という知恵はあまり聞くことはないのである。

「人間は価値観(感)にとらわれるから卑小になるのだ。自分はそういうものを超えて、「無価値に」(超価値的に)生きた。だから、世間のモノサシから見れば、「一生を棒に振った男」ということになるだろう。しかし、ほんとうにこれを棒に振っているのは、もろもろの価値に執着している連中ではないのか」



 無価値に生きる、一生を棒に振る、すすめである。世間の価値観にしたがって生きたもののほうが、ほんとうは人生を棒に振ったのではないのか。世間の価値観、モノサシを棒に振った生き方のほうがほんとうの生き方、安らかで平気な生き方ができるのではないのか。

「賢と愚、利口と馬鹿、才能や能力の有無、優劣……そういった価値尺度に、私たちはとらわれすぎているように思われる。そのモノサシで、自分と他人をいたずらに比較して、安心したり、劣等感にとりつかれたりして、心をせせこましいものにしている。”平気”になれないのである」



 賢くなること、優秀になること、勝つこと、といった価値観にわれわれはとらわれて生きるわけだが、そういった競争や価値観から抜け出すという知恵をさいきんは聞くことは少ない。仏教や老荘のような思想は伝統的にその知恵を語ってきたはずである。さいしょから「負けてしまう」、競争から降りて「馬鹿」になってしまう、そういう脱落の方法によって人間の我執から離れてしまうのである。そういう知恵を世間からまったく聞かなくなったことを残念に思う。

「人間の賢と愚、能力の大小に、常識で思うほどの差があるだろうか? <有>にとらわれ、ドーナツの環と穴だけを見つめていれば、小さな違いも大きく見えてこよう。しかし、広大な<無>の世界に出て、そこから眺めてみれば……? 人間おたがい、似たようなもの、ドングリの背くらべ……ということになりはしないか?」



 「天」の視点からながめてみれば、人間の違いなど大したことなどない。区別すらできないかもしれない。「天」の点を得ることによって、ささいな違いや優劣にこだわっているちっぽけさや卑小さを思い知ることができるだろう。

「「おれはダメだ」という式の自嘲や自信喪失、劣等感のたぐいはすべて、「人を相手にする」(自他の優劣を比較する)ココロから生まれるものであり、その裏にはつねに、優越欲という小我的な欲望がある。

一見、自己否定のように見えるこれらの心情は、じつはものすごい(そして、醜い)我執から生まれているのだ」



 自己否定ではない、超越しないと、自我にこだわっていることになる。自己否定や謙遜はまだ「自我」にこだわっている。そんなものを抜け切ったところに、「平気」な心がある。


 この本のように人間の比較優劣や優越欲、プライドから自由になるといった類書はほかに出会ったことがない。だからこの本はずっとわたしの「バイブル」である。この価値観から抜け出したいとはつねづね思っている。

 基本的に仏教や老荘はこのような思想をベースにしているはずである。だけどこのことを直截的にいった本はあまり出会わない。「馬鹿になれ」「愚かになれ」という教えはそういう価値観から抜け出すためにいわれている。だけど櫻木健古のように突き抜けた本はめったに見かけないのである。

 絶版になってほとんど人の口にのぼる本でもないし、マンガの絵が挿入されたおもちゃのような本である。文章もずいぶんおちゃらけている。でもこの本のように深い教えはそうめったに出会えるものではないので、このおもちゃのような本をわたしの「バイブル」にせざるをえないのである。


12 30
2011

おすすめ本特選集

2011年のもう一度読み返してほしい記事・書評

 2011年の読んでよかった本、あらためて読んでほしい記事を集めました。

 2011年はtwitterに精力をとられて、ブログの記事にまとめあげるまでの気力・気魄がだいぶ削がれた気がします。ちかごろはtwitterから距離をおいて、もうすこしブログに力を入れるべきではないかとも思っています。twitterはあくまでもアイデアの放電場所にして。ブログの記事のほうがtwitterより、思索やまとめあげることの価値はあるのでしょうね。twitterの放置に力を入れるべきなんでしょうね。

 ちなみにことしは半年しか働かなかったなあ。。


「人から必要とされないと生きている価値がない」となぜ考えるのか

 どうしてこんな自分の人生の価値を他人に丸投げしたり、すべてを預けてしまう考え方をもってしまうのか。この考え方は社会から必要としない人を抹殺・差別する考え方であり、同時に自分を他人の奴隷や犬にしてしまう考え方だと思います。

『気流の鳴る音』 真木 悠介

 再読してあらためてこの本のよさ・簡潔さに気づきましたね。わたしたちは言葉でつくられた世界像を「世界そのもの」と思いつづけています。この勘違いに気づくための簡潔で明解な本。人類学者カスタネダによるドン・ファンの教え。

戦後「概念」はいつ終わるのか

 戦後「概念」はもう70年もたって早く終わってほしいですね。「戦前」を同じ陸続きの時代として捉えられないばかりか、記憶や比較の材料として消されてしまっていますね。

これを読んでおけば人生が変わっていた10冊のおすすめ本

 これを読まないことは人生の損失だといいたくなる本。

恋愛本のおすすめ本・名著15冊

 未婚化がすすみ、晩婚化もすすみ、恋愛しない男女も増えました。どうして人は恋愛を避け、草食化・撤退してしまったのでしょうか。恋愛・結婚になにがおこっているのでしょうか。

クリスマスの規範を強制するものはだれなのか

 クリスマスはカップルでデート・性交する日に決まってしまっていますが、それはだれが決めて、どのような根拠・理由でおこなわれて、だれが強制しているのでしょうか。理由も根拠も見当たらない現代の慣習・規範はどうして生まれたのでしょうか。

「共同幻想論」を知るためのブックガイド

 社会というのは空想やルールにすぎないのではないか。人が世界はこういうものにしておきましょうと決めたルールにすぎないのではないか。わたしたちが世界と思っているのは「地図」や頭の中の「仮構」であって、「世界そのもの」ではないのではないか。97年にまとめられたブックガイドです。

仲間外れ・嫌われることを恐れないための12冊の本

 このことを恐れている限り、自分の好きなこと、やりたいことを貫けることはないと思います。人に合わせること、人と同じことをすることの損失につぶされないために。そこには絶壁にとり残される大勢の人がいる道しか残されていないのかもしれません。

日本にとって天下を獲るとはどういう状態か

 どうして戦国武将や鎌倉・室町の幕府は天皇家を滅ぼさなかったのでしょうか。日本にとって権力を承認される状態というのはどういう状態なのでしょうか。権力者というのはほかに居並ぶ権力層に承認され、ジャッジされることではないでしょうか。

認知療法として読むトマス・ア・ケンピスの『キリストにならいて』

 わたしはこの本を推すのですが、キリスト教であるという壁がけっこうあるのではないでしょうか。そんな壁をとっぱらって心理学として利用してはどうかとおすすめしています。99年にまとめられた記事です。

言葉が不幸という幻をつくる

 不幸は言葉や空想がつくっているという気づきにくい最初のつまずき。

『三陸海岸大津波』 吉村 昭

 わたしたちは先人の貴重な記憶や記録を忘れていないでしょうか。おこってしまってこの本の価値があらためて思い知らされましたね。

『自爆する若者たち』 グナル・ハインゾーン

 人口の増加が世界や社会を変える、この単純であたりまえの真実がよく忘れられているのではないでしょうか。若者層が社会の三割をこえると血の気の多い社会になります。イスラムが沸騰している理由がわかります。

インテリジェンスな山ガールにおすすめの好奇心本

 山に登ることによってわたしは多くのことに興味や好奇心を駆り立てられました。古代史、民俗学、景観論、レイライン。。 都市に住んでいたら気づかなかった日本と出会ったと思っています。

『商いの道』 伊藤 雅俊

 イトーヨーカ堂の創業者ですが、驚くほど謙虚で低姿勢。商売ってこんなに低姿勢からはじめられるものかと頭をたれたくなる教えでした。がつんとやられました。

『風邪の効用』 野口 晴哉

 いまは風邪の知識って薬の宣伝でつくられることが多いのではないでしょうか。野口晴哉はしぜんの治癒力や風邪はからだの悪いところを治す効用があるといっています。薬ってそれを殺すことでは?

『自信がつく 話し方教室』 デール・カーネギー

 カーネギーの本はどれを読んでも失敗はないと確認できました。スピーチの本ですが、人前で話す恐怖を克服できるとほかの行動にも自信がつくといわれています。

07 03
2011

おすすめ本特選集

仲間外れ・嫌われることを恐れないための12冊の本

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 日本の一般人には宗教嫌い、政治嫌いがあると思う。そういうことにかかわるのはアブナイ人や危険な人と思われる懸念がある。だから人は知性から離れ、テレビやパチンコなどにふけり、知性にかかわりのないふりをする。

 「ふつう」の人畜無害な安全な一般人であるというメッセージの縛りが強力に強いのだ。

 同様に仲間外れや人から嫌われることを恐れて、人に合わせて、マニアックさやこだわり、主義・主張・思想を抑える動きもあるように思われる。人から「あちら」の人と思われないために、凡庸な一般人であるメッセージを発しなければならない縛りが強いのだ。

 人から嫌われたり、仲間外れにされても平気であったり、気に病まない心・考え方をもてば、人は自分のこだわりをもったり、マニアックな趣味に没頭したり、自由な自分らしさを追求できるだろう。

 恐れはあいまいで不明確なものだからよけいに恐ろしい。輪郭や正体がわかれば、むやみに恐れる必要にないものに見えてくる。

 いつも「こちら」側にしかとどまれない人のために向こう岸に渡れるような本を紹介したいと思う。人から嫌われたり、仲間外れをむしょうに恐がらないための本。

4102033017幸福について―人生論 (新潮文庫)
ショーペンハウアー 橋本 文夫
新潮社 1958-10

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 ショーペンハウアーは人はひとりでいるときだけが自由であると説いた。社交や人のあいだにいるとき、自由を抑制され、人に同調させられ、自分自身をうしなうとされた。かれらは自分自身が空しいから社交のなかでしか生きられないのだと孤独を絶賛した。人に認められたいと思う気持ちが孤独を許さなく、したがってこの基準を引き下げることが肝要だと説いた。

4140019271孤独であるためのレッスン (NHKブックス)
諸富 祥彦
日本放送出版協会 2001-10

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 ひとりでかまわない、人から嫌われても自分をうしなうよりましだという覚悟をもつための本。この覚悟をもてないために人に合わせてしがらみに縛られて自分をうしなう人があまりにも多い。これを批判した言葉や考え方を知るだけでも人はずいぶん解放されるものだ。

4101467250カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)
中島 義道
新潮社 2005-07

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 人に嫌われることを恐れて自分を「よい子」にがんじがらめにしてしまった人のための逆噴射型ブチ切れ方。「よい子」というのは自分の動物やエゴを殺してしまった人間。この殻を破るには人に迷惑をかけ、嫌われ、自己主張のカタマリになるしかない。中島義道流荒療治。

4043496028ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)
中島 義道
角川書店 2003-08

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 人から嫌われることが恐ろしい人は嫌うという感情がどのようなものか実情を知ったほうがいい。嫌われることの輪郭や正体をつかむために。

4422111981孤独―新訳
アンソニー・ストー 吉野 要 三上 晋之助
創元社 1999-03

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 心理学では孤独を人格欠陥のしるしだとか、問題がある証拠だととらえ勝ちだが、だからこそ人はこの目印を恐がるために他者依存や集団依存になる。アンソニー・ストーは孤独に積極的な価値と意味を見いだした心理学者。その考え方を知らないから、孤独を排斥するものとしてむりに恐れる。

4003411668自由論 (岩波文庫)
J.S. ミル John Stuart Mill
岩波書店 1971-10-16

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マニアックな天才を擁護した本で、一般の人は凡庸で画一的な空気を強制する。それを「多数者の専制」とよんだが、このような空気の中で天才も個性ある人も生きられないと説いた。凡人強制の空気にのみこまれないために。

4480080813ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)
フリードリッヒ ニーチェ Friedrich Nietzsche
筑摩書房 1993-08

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 ニーチェはJ.S.ミルの『自由論』とショーペンハウアーの孤独の価値を足し合わせたような思想を展開した。善人になれという道徳は凡庸で画一的な人間をうみだす危険な考えだと非難した。人が同じになるには高いところではなくて低いところに合わせられるのだ。

400338041Xキリストにならいて (岩波文庫)
トマス・ア ケンピス 大沢 章
岩波書店 1960-05-25

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 世の賞賛も非難も心にとどめなければ安らぎを得られると説いた本。神の安らぎに心をおくと人の非難も批判も気にならない。キリスト教であるが、安らぎの方法論として一読の価値はある。

4480080155異人論序説 (ちくま学芸文庫)
赤坂 憲雄
筑摩書房 1992-08

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 外部や境界に追放された境界人・周辺人=異人。かられは一方的に追放されるだけの存在だったのか。聖性をおびたり、内部の活性や新秩序を生み出す契機になったのではないだろうか。

9784480080219.jpg排除の構造―力の一般経済序説 (ちくま学芸文庫)
今村 仁司
筑摩書房 1992-10

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 暴力の思想家・今村仁司の思想的論考。現代思想を語った難解な内容になっているが、排除の構造について考えるための思想書。

4480081984排除の現象学 (ちくま学芸文庫)
赤坂 憲雄
筑摩書房 1995-07

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 なぜ社会秩序は暴力的に排除される生け贄を産出しつづけるのか。学校や都市、分裂病に照準を合わせた論考。

4588001159暴力と聖なるもの (叢書・ウニベルシタス)
ルネ・ジラール 古田 幸男
法政大学出版局 1982-01

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 排除や生け贄の子羊の暴力について外せない思想家のルネ・ジラール。他者を模倣することから欲望が生れるとされた。


06 25
2011

おすすめ本特選集

テーマ別・ジャンル別に本を読んでみませんか

 つぎつぎと同じテーマの本を読みたくなるジャンルを見つけることは読書の醍醐味です。濫読もいいですけど、ひとつの自分がいくらでも追究できるジャンルを見つけることが知の楽しみというものでしょう。

 いくぶん古いホームページのリンクですが、わたしはテーマ別やジャンルごとに多くの本を読んでいました。そのテーマには追究する価値と意味があると思えたからこそ、このジャンルを追究したわけですね。

 ひとつのテーマを追求する際のブックガイド・レビューとして参考にしてみてはいかがでしょうか。


現代人はなぜ、「みんな」と同じ生き方しかできないのか」 1997

社会は、「共同幻想」によって成り立っているのか」 1997

歴史の中に、「未来」をみいだすことができるか」 1997

社会はこれからどこへ行くのか」 1997

現代思想はなにを語っているのか」1997

トランス・パーソナル心理学は恐怖や悲しみを終焉させることができるのか」 1997

仏教・インド哲学は世界を実体なきもの、「空」と見なすのか」 1997

心理学は心を癒すことができるか」 1997

経済や社会は、これからどうなってゆくのだろうか」 1997


 超オススメ本特選集 2004-2001 2005/1/2編集

 超オススメ本特選集 社会・経済篇 1997―2001 01/2/8.編集』

 超オススメ本特選集 人生・心理篇 1997―2001 01/2/8.編集


 古代レイライン探究  2006/11/5

 古代レイライン探索 2006/10/28

 結婚とはなにか 2005/12/30

 イデオロギーとしての学問 2005/5/31

 海と川の交通、歴史地名、古代史 2004/10/11

 チャネリング・アナザーワールド 2002/2/3.

 グルジェフ―神秘思想 2002/1/6.

 孤独の肯定 01/12/2.

 セクシュアリティについて考えたい 2003/7/15

 身体言語―社会生物学 01/5/13.

 感覚の文化論 01/4/22. 

 物語を読む―童話心理学 01/3/26.

 性愛市場―総力戦 00/10/30.

 自己と境界―私とは何か―仏教 00/6/6.

 感情社会学ほか 2000/3/31.

 「東洋的心の平穏―中国人の達観―仏教」 (1999/1/17更新)

 「放浪と漂泊への想い」 (98/10/29更新)

 「経済転換期の生き方を考える」 97秋~99春Version

 「わたしをブチのめした十冊の本」 1997

 手塚治虫ノスタルジア 2005/6/5


06 05
2011

おすすめ本特選集

これを読んでおけば人生が変わっていた10冊のおすすめ本

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 これを読んでおけば人生が変わっていた、読まなければ人生の損失だという本はあるものです。そういう本に出会うために多くの本を人はむさぼり読むのだと思います。この本を読んでおけば……という本を、わたしの読書経験の中からお知らせしたおきます。そういう宝のような人生の知恵はなかなか出会えないものですね。このブログを読んでいる人はくりかえしになるかもしれませんが。

4393710312リチャード・カールソンの楽天主義セラピー
リチャード カールソン Richard Carlson
春秋社 1998-12

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「思考を捨てる」という知恵をこれほど論理的に納得させてくれる本はほかをおいてないと思います。思考主義や考えないことはアホだという世の中で、思考を捨てることは禁忌ですから、この本に出あった衝撃は大きなものでした。うつからなかなか抜け出せない人もどうして抜け出せないのか教えてくれます。


4199060030人生が楽になる 超シンプルなさとり方 (5次元文庫)
エックハルト・トール 飯田 史彦
徳間書店 2007-11-09

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この本も思考を捨てるという知恵を教えてくれますが、この本はそれを時間的に迫ったものです。思考を時間で考えると過去はすでになくなっていますし、未来はまだ空想でしかありませんね。わたしたちは「虚構の思考」に悩み、苦しんでいるといえます。そういう愚かさを悟らせてくれる本です。


400338041Xキリストにならいて (岩波文庫)
トマス・ア ケンピス 大沢 章
岩波書店 1960-05-25

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自己啓発の元祖のような本で、『聖書』につぐ世界第二位のベストセラーといわれています。こういう考え方をすれば世俗に悩まないのかの参考になる考え方をたくさん教えてくれます。人間関係にふりまわされる人はぜひご一読を。キリスト教を信仰せずとも、神を信じなくても、じゅうぶんに参考になる知恵、考え方を教えてくれます。キリスト教だからという縛りで読むことを控えるのは損失。

4003202317菜根譚 (岩波文庫)
洪 自誠 今井 宇三郎
岩波書店 1975-01-16

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金持ちや成功することが人生の目的や常識という風潮が世をおおっていますが、まったく逆に富や成功に苦しみや悩みがより多くあることを教えてくれる逆転の本です。貧乏や欲がないことに安らぎを教えてくれる本です。金や成功のモノサシでない考え方で生きることは人生の知恵になってくれると思います。


483795572Xどう生きるか、自分の人生!―実は、人生はこんなに簡単なもの
ウエイン・W. ダイアー Wayne W. Dyer
三笠書房 1999-09

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ウェイン・ダイアーは「思考は現実ではない」という捉え方を教えてくれます。人は自分の考え方が「唯一の現実」だとお思いながら暮らしていますが、それはただの「ひとつの考えかた」にすぎません。人は自分の考えがこの世界だという石頭になって暮らしています。そういう思い込みをひきはがしてくれる本です。


4478022720【新訳】積極的考え方の力
ノーマン・V・ピール
ダイヤモンド社 2012-11-30

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この本をぱらぱらとめくれば、いつでも元気をとりもどしてくれます。わたしたちは自分の考えが気分や感情をつくりだしていることに気づかずにいやなこと、不快なことを考えつづけるものです。そうして気分が悪くなって、なおいっそう悪いことを考えてそこから抜け出せなくなります。考え方が気分や人生を決めると教えてくれる本ですね。


4422100521道は開ける 新装版
デール カーネギー Dale Carnegie 香山 晶
創元社 1999-10

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うつに陥りやすい人はこの本を読まないことは人生の損失だといいきっていいと思います。これほどまでにうつに陥らないためのくわしい解説書、手引書はほかに読んだことがありません。いつも悩んだり、くよくよしている人はこの本を読まないことは人生の損失です。ロングセラーやおすすめの書としてよく知られた本だと思いますが、評判を決して裏切らない本です。


4167523035清貧の思想 (文春文庫)
中野 孝次
文藝春秋 1996-11

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かつて日本人は金持ちや欲をもつことを深く戒めた思想をもって暮らしてました。そこには悩みや苦しみが大きくなることを悟っていたのですね。いつから金持ちや強欲になることが常識になる国になったのでしょう。かつて賢明に人生を生きた先人の知恵をとりもどす書。


4042893015権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉 (角川文庫)
ロバート グリーン ユースト エルファーズ Robert Greene
角川書店 2001-11

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人の生きるすべを権謀術数や政治、功利的に操りつくすことを主眼においた驚異の書で、善人やお人よしの生き方からもっともかけ離れた書です。狡猾に、抜け目なく、権力や人を操るためにはどうしたらいいかといった知恵や展望を垣間見せてくれます。善意やお人よしのやさしい目だけでは世の中渡ってゆけないと悟ったときに読むといいと思います。


4121600169荘子〈1〉 (中公クラシックス)
荘子 森 三樹三郎
中央公論新社 2001-10

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これほどまでの人生や世界のスケールを大きくしてくれる書はほかをおいてないと思います。世界の展望が変わると思います。蟻のように地面にはいつくばった日常の視点から、天や永久の世界からものごとを見せられる書といったらいいでしょうか。老荘思想を知らないことは人生の損失です。なお『老子』は短いので、長くてくわしい『荘子』のほうがおすすめです。


03 06
2011

おすすめ本特選集

サブタイトル画像ギャラリー(2)

 また画像をGIMPというフリーソフトでせっせとつくっています。いまいちブレークスルーができません。どうすれば効果的な画像ができるのか、意図やメッセージにあった画像をつくれるのかわかりません。もう少し勉強が必要なようです。

 記事にリンクを貼っています。過去のアクセスがある記事や読んでほしい記事に画像をつくっていますから、興味のひかれた画像をクリックしてみてください。




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02 26
2011

おすすめ本特選集

サブタイトル画像ギャラリー

 このところグラフィック・ソフトに習熟するためにサブタイトル画像をせっせとつくっています。photoshopは高くて買えないのでフリー・ソフトのGIMPでつくっています。せっかくたくさんつくりましたので画像のギャラリーを開きました。画像は無料のigosso画像検索をだいたいはつかっています。

 アクセスのけっこうある古い記事や書評を重点的にしぼって画像をつくりましたので、この機会にいぜんの記事も読んでもらえるとありがたいです。画像によって記事が読みたいという思いになられたら成功です。タイトルをふくんでいないばあいもあります。





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05 02
2010

おすすめ本特選集

一家に一冊のおすすめの心理学書、厳選5冊



 むかし一家に一冊といわれた『家庭の医学』という本があった。医学の本が常備しておく必要があったように心の悩みや問題を解決する心理学書も一家に一冊あったほうがいいだろう。もしこんな本が家庭に一冊さえあれば、無益で苦しい心の悩みを抱えこまずにすむだろう。

 心理学書は山のようにあまた出ているが、この五冊さえあればほかはいらないといえるほどの本5冊を厳選した。

 おちこんだり、かなしみにくれたり、悩みにおしつぶされそうになったとき、うつな気分から抜け出せないとき、きっとこの5冊は役に立ってくれるだろう。心の処方箋というのはだれもが必要と思われるのにあまり人からつたえられたり、教えられたりすることは少ない。からだのケガや病気のように目に見えないものだからかもしれないが、心の処方箋は家庭の医学以上に求められる本だと思うのだが。


4478732582積極的考え方の力―ポジティブ思考が人生を変える
ノーマン・ヴィンセント・ピール
ダイヤモンド社 2003-08

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この本は1952年にアメリカで発売され、世界41ヶ国に翻訳され、2000万部のベストセラーとなった。楽観的や前向き、幸福になれる言葉や方法が山のようにつまった本で、わたしも落ち込みから抜け出せないと思ったとき、ぱらぱらと読み返すことの多い本である。考え方や言葉が気持ちや感情をつくるとさいきん心理学でもいわれるようになったが、この本はそのような効用を最大限ひきだしてくれる本である。ほんとうに慰められるし、明るさや前向きさをひっぱりだしてくれる本である、とくに落ち込んだときなんか効果抜群である。なんども読み返す魅力をもった本である。


4422100521道は開ける 新装版
創元社 1999-10
カール・カーネギー

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カーネギーのこの本は定番中の定番といわれる本だが、ほんとにいわれるだけの価値がある本である。悩みの解決法がこれほど明確に明晰に語られた本はない。悩みの百科全書であり、悩みの辞書である。豊富な実際例や事実がたくさんのべられているので説得力がかなり強い。しかし個別例が多いためにあとで読み返すときに要点や重要な箇所だけをひきだすにはちょっと適してないと思えるところが残念であるが。はじめて読んだとき、悩みや問題はこんな方法ややり方でかんたんに解決したり追い出したりできるのかと驚いた。悩みや問題におぼれるままにまかせて、手を打てない状態がふつうで、いかんともしえないものだと思っていたからだ。そもそもそんな解決策や方法のような知識がつたえられているなんてことも知らなかった。悩みを解決する戦略をもつか否かで人生は大きく変わるものだと思う。


4393710312リチャード・カールソンの楽天主義セラピー
Richard Carlson
春秋社 1998-12
リチャード・カールソン

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「思考を捨てる」という方法を知っているだろうか。悩みや落ち込みがあったとき、ただ思考や考えることをやめればいいという方法をおこなったことがあるだろうか。人は悩みや問題を解決しようとしてもっと考えることになるのではないだろうか。この本ではその方法が最悪で、もっと泥沼の状態におちいることを教えてくれる発見の書である。悩んだときの思考はもっと問題を大きくし、感情を最悪なものにし、悲惨さを創作するのである。わたしはたいそうこの本に頭をがつんとやられて、いまでもおすすめ本のNO.1に押している。思考というのは火に薪をくべるようなもので、悩みや問題はもっと燃えるのである。同時にこの本は思考や心が虚構や存在しないものであるということも教えてくれた。これは古来から禅や仏教がいってきたことで、この本のおかげではじめて禅や仏教のいってきたことが理解できるようになった。ただこの本のように論理的に明晰に説明してくれる本はほかにないだろう。大絶賛の本であるが、この本は絶版になっているし、コラム的な『小さいことにくよくよするな!』という本がベストセラーになった。世の中わからない。


4569666035人生がうまくいく、とっておきの考え方―自分を信じるだけで、いいことがどんどん起こる! (PHP文庫)
ジェリー・ミンチントン
PHP研究所 2006-03

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恐るべし書である。わたしたちはなぜ自尊心をもてないのか、劣等感とはなにか、なぜ自分の悩みや問題を過大視してしまうのか、自分の恥部がさらけ出されたような気がする本である。わたしたちは自分の問題や悩みを特別視してしまうものだが、かくも同じようなパターンに人がはまってしまうのかと驚いた。人の秘密や隠し事なんてほとんど同じようなもので、自分が思うほどたいそうなものではないのだ。だいたい人は自分の特別視というワナにひっかかっているのだ。そして自分の悩みや特徴は特別で深刻なもので、隠したいものだと思い込む。みんな同じパターンの失敗に落ち込むのだ。劣等感や悩みが強い人にはこの書に自分の恥ずかしい姿がされけ出されていることを発見し、人と違わないことを知るだろう。よくもここまで解剖学的に見せてくれる本だと思う。そういう点で恐るべき本だと思うのである。


400338041Xキリストにならいて (岩波文庫)
トマス・ア・ケンピス
岩波書店 1960-01

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世界のベストセラーが『聖書』だとするとその次に読まれた本が本書だといわれている。キリスト教の本であるが内容はこんにちの自己啓発書と同じような内容が書かれており、あまりにも宗教的な箇所は読み捨てれば、じゅうぶんに一般的で世俗的な処世術、心の持ち方が説かれている。いつの時代も同じ心の持ち方、人とのかかわりが必要なのだと教えてくれる。けっきょく、人は人とのかかわりでいちばんダメージや苦痛をひきおこしてしまうので人に頼るな、人に心の平安や喜びをゆだねるなといっているのだろう。神に頼る、ゆだねるということはこの世の苦痛や苦悩をほうり投げるひとつの方便、優れた方法だと思う。そういう仮想をつくれば、悩みの解決がよういに達しやすくなる。論理的な悩みの解決法に神は編み出されたと考えることもできる。悩みや問題の解決にひじょうに役立つ究極の方法を考え出したといえるだろう。キリスト教の書物だといって遠ざけると大損である。

05 01
2010

おすすめ本特選集

社会を知るためのおすすめの10冊

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 社会を知るためのできるだけ古典的なハクのつきそうな本を選んでみた。理解できたり、おもしろくないとその本を読んだ意味がないのだが、わからない場合でも読んだだけでハクがつくという特典つきの本である(笑)。おもしろいということはその知識が自分にとって意味と価値があるということなのでその感覚を信じて探索をすることが大切だと思う。

 社会を知るというのは社会のありようを知ることと同時に、人はなぜそのような行動をおこなうのかという理由を探ることだ。行動の意味と理由を知ることで人や自分はなぜそのような行動にうながされるのかを客観的に見られるようになるし、むやみな益のない行動に駆り立てられることがなくなるし、その行動をおこなうべきかやめるべきかの判断力も養うようになれる。ワケもわからずにふりまわされていたものから、制御する立場に立てるのだ。社会を知るということには行為の客観視というご褒美がつくのである。

 選んだ本の基準としてこんにちの人の原動力や駆動力となっているものの究明に役立ちそうなものを選んだ。いまの社会というのは消費社会である。人はモノを買うために働き、モノを所有するために朝から晩まで働く。人はなんのためにそんなにモノを必要とし、モノの欲望にとり憑かれているのかということの究明なしにこの社会を知ることはできないと思う。

 また自己実現やステータス、人や世間から認められることに生涯を賭けてつっぱしる社会でもある。わたしたちはなぜそんなに人や世間から認められたいのか、承認や認知がなければ人は生きてゆくことができないのかと問うことも必要だろう。

 労働についてもとうぜん問わなければならないのだが、社会はあまり労働について問わない。生活や金を稼ぐためにとうぜんであり、働かないものは食うべからずや、選択肢はないと思って問わないのかもしれないが、思考停止のおかげで社会はニートやひきこもりを生み出すことになったのだと思う。労働をあたりまえのものと思い、意味も価値も問わない社会はしっぺがえしを喰らう。


4488006515 自由からの逃走 新版
 東京創元社 1965-12
 エーリッヒ・フロム
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フロムほど人間洞察に鋭い社会学者はいないと思う。人は自由を手に入れるとその恐ろしさから逃走をはじめるのだ。そして世論や常識、権威といったものの隷属や服従にからみとられてゆく。王や貴族の権力はなくなったが、画一化の強制にみずから服従するようになっている。目の見えない匿名の権力の縛られながら、われわれは生きている。自由な社会といわれるものは広大な空間にひとりで放り出されるようなものでみずから内面の権威や規範に服従してゆくのだ。フロムの警鐘がこんにちも古びることはない。

4480082093 大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)
 オルテガ・イ・ガセット
 筑摩書房 1995-06

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大衆とはみんなと同じことに満足し、それを正しいことだと万人に強制する愚かで恐ろしき人たちの群れをいう。凡庸で平均的なかれらは卓越したもの、個性的なもの、特別な才能をもったもの許さない。自分たちと同じでないことが我慢できないのだ。そういった大衆が暴虐のかぎりを尽くしているのがこんにちの社会だとオルテガは批判した。画一化し、均質化する社会の恐ろしさ、愚かさはこんにちでもとどまることはない。

4314007001 消費社会の神話と構造 普及版
 ジャン・ボードリヤール
 紀伊國屋書店 1995-02

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消費社会論の古典であるこの本は少々むづかしいようにわたしには思われたが、消費社会の記号や意味を批判的に読みといたということでこんにちでもその意味をうしなっていないだろう。われわれはなぜモノを買い、消費にとり憑かれているのだろうか。われわれはモノの「機能」を買っているのではなく、「記号」を買っているのだ。消費や人生のありかたについて問い直すためには読んでおきたい本であるが、難解かも。

4003420810 有閑階級の理論 (岩波文庫)
 ソースタイン・ヴェブレン
 岩波書店 1961-05

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有閑階級というのは耳慣れない言葉だが、まあブルジョアジーや金持ちという意味だろうが、こんにちのわれわれは彼らのような消費生活を送っているのでかれらがなぜ「見せびらかし的消費」をおこなうのかといった分析はわれわれにも適用できるだろう。なぜ人は消費や所有に駆り立てられるのか。どうして金持ちは仕事に適さない格好をするのか。なぜ金持ちは仕事をしないでよいことをそんなに見せびらかしたいのか。消費や所有の原動力を分析したこの本はこんにちのわれわれの合わせ鏡を見せることだろう。

4061594400 恋愛と贅沢と資本主義 (講談社学術文庫)
 ヴェルナー・ゾンバルト
 講談社 2000-08-09

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マックス・ウェーバーは宗教的禁欲が資本主義を生み出したと主張したが、資本主義の原動力なんて贅沢と女のために決まっているだろう。むかしイギリスでは階級を無視する贅沢な衣装が一般にもひろがったので、しょっちゅう贅沢禁止令を出さなければならなかった。ホンネやゲスな部分で資本主義の原動力をあぶりだしたという点で本書の意味はあると思う。「カネと女だ」――身もふたもない資本主義の駆動力はこれしかないというものだ。

4087734404 もうひとつの愛を哲学する ―ステイタスの不安―
 アラン・ド・ボトン
 集英社 2005-11-04

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この本はものすごく価値のある本だと思う。3千2百円としょうしょう値が張るが。どうしてわれわれはステータスや名誉をほしがるのだろうか、どうして人から認められたり、承認がほしいのだろうか。人から重要で価値のある人間だと認められたいのだろうか。人間の歴史というのは人から認められるため、重要で価値のある人間だと認められるための歴史だといっていいだろう。ボトンはそれを親や恋人に愛される個人的な愛とちがう、もうひとつの世間への愛だといった。われわれはこの愛の欠乏と衝動にずっと駆り立てられてきたのだ。ずっと意味も価値もない人間ではないと「泣いてきたのだ」。われわれはこの愛の衝動とどう向き合い、対処し、克服するべきだろうか。たいせつなものがいっぱいつまった本であると思う。

4480082964 ハマータウンの野郎ども (ちくま学芸文庫)
 ポール・ウィルス
 筑摩書房 1996-09

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学校への反抗や過重労働からの忌避感がこんな社会学書に鋭く分析されていると思わなかった。学校に反抗したり、勉強をほっぽり出したり、会社や仕事にしぼりとられるのを避けようとすると、おのずと労働者階級のヒエラルキーに位置づけられてしまうことになってしまう、ウィルスはそんな分析をおこなった。学校や社会への反抗、逃走をこころみようとすると、社会の底辺や肉体労働におしこめられてしまうという逆説をウィルスは指摘した。学校への反抗が労働者階級のイスを用意しているとはよくできたものだと感心する。学校や仕事に対する態度を再点検したくなった本である。

4582761127 日本残酷物語〈5〉近代の暗黒 (平凡社ライブラリー)
 平凡社 1995-08
 宮本常一、山本周五郎 監修
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近代の労働者の声や顔がなまなましく蘇ってくる名著である。おじいちゃんやおばちゃんが生きてきた歴史が垣間見れる本である。大阪の日雇い労働、港のスラム、女工、タコ部屋、漁夫、炭鉱労働、農民や地主、娘売りなど、さまざまな労働者が等身大のすがたとしてよみがえってくる。現代のわれわれはむかしの人の働いていた実情や歴史というものをほとんど知らない。この本を読むとむかしの労働者の思いや嘆き、悲しみが手にとるようにつたわってくる。一篇の映画やドラマを見ているかのようだ。

4094081496 マンウォッチング〔文庫〕 (小学館文庫)
 デズモンド・モリス
 小学館 2007-03-07

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社会についての本というよりか、動物として見た人間の観察記録である。これがまたすごい。行動や姿勢から人間の意味やディスプレイ、メッセージを読みとる。われわれはふだん無意識にこの意味を読みといているのだろうが、それを意識化や言語化されることはない。あらためて知らされると人は無意識に言外の意味やメッセージを発していたのだと驚かされることしきりである。このもうひとつの言語を読み解くことは「悪魔的」だと思う。ある意味、禁断的な知識に思える。意識の外にありながら気づいていることの言語化は禁断の知識に触れている気持ちにさせる。動物的秩序や動物的序列、支配や服従というディスプレイをあからさまに見せるからだろうか。この本は読んだ後からじわじわとすごい本だと思い出したのだが、いまはどこにいったかわからないので新しく買わなければならないかな。いま出ている本は縮刷本ぽいけど。

4480088644 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
 筑摩書房 2004-06-10
 赤松啓介
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目からうろこ。世界観が変わる。いまの性愛観は恋愛主義だとか処女信仰だとか貞操、一夫一婦制がふつうだが、ひとむかしまえの性愛風俗はそんな堅苦しいものではない、「ブッとんだ」ものだった。「あんたのムスコはうちがオトコにするから、うちのムスコをオトコにしてやって」、7、8の子どもに「オ前、女のモンみたか」といって嫁ハンのマタを開いて毛の生えているのを見せる、ムラの年長の女性、かかあ、後家などが若い衆の性教育をし、男も女も初交など問題ではなかった、夜這い先で母と娘がかちあうといったこともあったそうだ。老いも若きも男も女も入り乱れてといった様相だが、昭和のはじめころまで残っていて、近代化をめざす政府のとりしまり、あるいは都市化によって衰退していったのだろう。これは農耕の豊穣祈願や宗教と関係があると思うのだが、このブッとんだ性愛事情を知れば現代の恋愛観や貞操観がつまらないことに見えてくるだろう。


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Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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