ケルアックはたんなる「ライフスタイル消費」なのか
ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』があたらしく翻訳されて書店の書棚にならんでいる。キムタクが推薦したり、カウンターカルチャーのバイブルとして若者の人気として注目されているのだが、私はなにか違和感や懐疑心がわきおこる。




YouTubeでケルアックやギンズバーグ、ヴォネガット、ブコウスキーなどのナマの映像や音声が視聴できるのでごらんください。私は英語力がないので聞きとれなくて残念です。
Jack Kerouac Explains On The Road
ジャック・ケルアックのインタビュー。ほかにも関連動画はたくさんあるようです。
Allen Ginsberg in Japan 1988
ギンズバーグの日本での朗読会。
william s burroughs
バロウズの自作朗読。
5mtl.com Charles Bukowski kicking his soon to be fiancé
酔いどれブコウスキーが女性を蹴っています(笑)。
Bukowski: Pimps & Whores
こちらのブコウスキーはまとも。渋みの味のある顔ですね。
Kurt Vonnegut
ヴォネガットのインタビュー。
OSHO: Tom Robbins about the Indian Mystic Osho
トム・ロビンズが和尚(ラジニーシ)について語っているのですね。
The Catcher In The Rye D.J Salinger Part 1 of 3
サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』について。
John Irving on the Writer's Craft
ジョン・アーヴィングのインタビュー。
Stephen King Discusses New Book - Duma Key
スティーブン・キング自作を語る。
Paul Auster en 55 Festival de cine de San Sebastián
ポール・オースター、講演会で。
50-60年代に盛んだったビートニクやカウンターカルチャー、ヒッピーといったものは現在のビジネス社会になにも残さなかったではないか、なにも変えなかったではないかという憤りや不快感が、新しく商品として売られていることの欺瞞さやウソっぽさを感じさせるのである。

アメリカの対抗文化―1960年代で知るアメリカ全土の地殻変動

ライフスタイルの社会学―対抗文化の行方 (世界思想ゼミナール)

対抗文化の思想―若者は何を創りだすか (1972年) (ダイヤモンド現代選書)

けっきょく、ビートニクやカウンターカルチャーはたんなる「ライフスタイル消費」や「個性消費」といったカッコよさや憧れを生み出して、商品市場としての地位を獲得しただけではないのかと思うのである。カウンターーカルチャーは「カッコイイ私」を演出する。私はそれを購入して、反抗的で懐疑的で思索的な「深みのある私」をまわりや世間のアピールする。それだけではないのかと思うのである。
社会なんてなにひとつ変えなかった。企業や拝金主義、物質消費社会はますますもって力をもってゆくばかりだし、労働からの逃走や金銭的価値への蔑視、貧困への賛美といったものは今日ほぼ力や勢力をもっていない。カウンターカルチャーはまったく社会のオルタナティヴ(べつの選択)を生み出さなかったのである。
文学というのはカッコよさを売るだけの商売なのかと思う。アメリカ文学はカッコイイ。横文字を並べた、アメリカの雰囲気をつたえるアメリカ文学はそれを購入した私を「アメリカ的」で「先進的」で、カッコイイ価値とセンスのよい人間に仕立て上げてくれる。しかしカウンターカルチャーがメッセージした反体制や反物質主義は骨抜きにされ、私は企業に隷属し、支配され、人生をまるこど奉仕し、私はますますライフスタイル消費、個性消費という幻想と金を使い果たすばかりなのである。
文学というのそもそも「消費」されるだけのものなのか。私はそれを購入して、ファッションやブランド品のように自分の個性を表示する。思想も考え方も生き方も変えずに、ただ商品が「消費」されるだけのものなのか。
アメリカ文学はカッコイイ。ケルアックの本を読んでいたらさすがだとうならされるものがあり、ブローティガンをカバンに隠しもっていたりしたらセンスがいいと思われ、サリンジャーやトマス・ピンチョン、ヴォネガットを読んでいたらアメリカ的なカッコよさが香るように思われる。しかしそれはファッションやカバンのブランドや靴のブランドのようにただ身にまとうだけではないのか。思想にも人生の血と肉ともならない。たんなるファッション消費なのである。
ビートニクやカウンターカルチャーの本は若者に反抗や対抗の気持ちをもりたててくれるだろう。しかし共鳴したとしても、たいていの若者は企業に就職し、奉仕し、反抗より安定を選び、個性消費とライフスタイル消費をおこなってゆくことだろう。かつてのヒッピー世代は少数であったけれども自分の人生にそれを実践したり、生き方にそのような要素をふくめていった。もちろん大半は髪を切って企業に就職して、体制順応主義の生き方をした。人生は霞など食って生きてゆけない。
まあ、そのような体制順応や自由からの逃走、権威への盲従といったものは弱い私たちには仕方がないものである。企業の権力や貨幣の構造には逆らえないのである。さもないと私たちは生きてゆくことができない。
まあ、せめてもの責任と羞恥心をもつ者として、ケルアックやカウンターカルチャーの思想に共感するものがあるのとするのなら、生活の中にすこしでもそれの実践や深化をとりいれていってほしいものである。ただのライフスタイル消費や個性消費は恥ずかしいし、底の浅いファッション消費であるだけをメッセージしているようなものである。ワーキングプアに陥ろうが、社会から白い目で見られようが、苦労多きフリーター人生になろうが、共鳴した思想にすこしでも生活にとりいれるのが、憧憬する人たちへの責務というものではないのか。文学や思想はファッション消費としてだけ終わっていいものだろうかと私は思う。





香水ジルバ トム・ロビンズ

V. 1 新装版 (1) トマス・ピンチョン

ギンズバーグ詩集

コメント
タクシードライバー
こんなサイトにふらふら寄らずに(笑)、わき目もふらずに勉強してくださいね。
たいく〜んさんの定期的なコメントがなくなるのはすこし寂しいですが、目標や目的が定まったのなら、わき目や寄り道はしないほうがいいというものです。
どれだけ集中できるかが勝負の分かれ目といっていいのでしょう。
国家試験に関してですが、じつは私は高校のときに建築を学んでいたのですが、学校で習う知識とじっさいに使われる技能や技術の橋渡しがすっぽり抜けている気がして、じっさいにやっていけるのかという強い不安を覚えたことがあります。
知識が使われるもの、じっさいの技能に活かされるものとしての役割があまりなかったように思われたのでした。
いわば畳の上の水練といったもので、知識としての泳ぎ方は教えてもらいますけど、じっさいの体を使った泳ぎ方はまったく身についていないと不安に思ったわけです。
私の失敗の教訓として、知識というものは使う観点、仕事をする用途から見る、学ぶ必要があるのではないかということです。
知識を実践の仕事にどのように使うか、活かすか、そのような観点で勉強なされることをおすすめします。役に立つコメントかわかりませんが(笑)。
人生は旅ですね。
出会う人、出来事というのは奇蹟的な出会いや機会のなかで生まれ、そして二度と出会わないものだという気がします。
一期一会ですね。
いま一瞬の出来事はもう二度とこの世には起こりえないし、いま出会っている人も二度と出会わないかもしれない、そのような気持ちでいまや人と相対しろということですね。
私はまだ旅をしたい気持ちがくすぶりつづけています。
野良犬のように生かさせてくれという気持ちがどこかにあります。
生活の必要より、新鮮で発見の日々を送らせてくれと思ったりします。
たいく〜んさんはひとつの港を見つけたことですから、ぜひ停泊し、その地に根をはれるようにぜひがんばってください。
これまでのあたたかいコメントありがとうございました。
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数年前、有名なサッカー選手が「人生とは旅である」と言い残して引退しましたよね。
全てを手に入れた人と、失う物が何1つ無い(涙)僕では境遇は違いますが、やはり僕にとっても人生は旅であり続けている気がします。
僕の場合は「放浪」ですね。森に入れば間違いなく遭難します。
もし、そうなったら、獣として生きていきますよ(笑)。
放浪と対極にあるものが「情報」だと思います。
かつてロンドンで放浪生活を送っていた時、強く意識したのがロンドンタクシーという存在でした。
超難関な試験をパスした2万5千人のドライバー達はロンドンの道を知り尽くし、目的地へ向かうルートを臨機応変に作り上げる事が出来るといいます。
非常に素晴らしい職業だと思います。
さて、私事で恐縮ですが、国家資格を取得する為に、少しだけ働きながら勉強する日々を送る事になりました。
何年かかるかわかりませんが、コメント欄に書き込みをさせて頂くのは、とりあえず、今回が最後になると思います。
決して失踪したわけではありませんので、ご心配なく(笑)。
うえしんさんの生き方に影響を受けた1人として、影ながら応援しております。