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03 09
2008

知識論

学問の楽しみ方Ⅲ ~カタログ篇~



 学問のとっかかりというのはよい本とたくさん出会うことだと思う。なにがよい本なのか、読むべき本なのかわからないから、学問をはじめられない。観光地を歩くのに地図がなければ名所にたどりつけないのと同じである。大学にいけば教えてくれるとテーブルで待っているだけでは、料理の楽しみを知ることはないし、食事が運ばれてくることもないのである。

 学問というのはその分野の名著とよばれる本をカタログ的に知ることからはじまる。ある学問分野は過去の名著によってできあがっているといってもいいと思う。そのような蓄積が、社会学や思想や、経済学をつくっているのである。学問は本でできている。その分野の偉大な学者の本によって学問はなりたっているのである。

 カタログはその分野の水先案内人である。そしてその分野の魅力を教えてくれる広告でもある。通販のカタログであの商品がほしいこれもほしいと思うことが、学問の楽しみをつくるのである。もしカタログを知らなければその学問を楽しみたいとか、興味が魅かれるとか、もっと読みたいとかも思わないだろう。知らないものは楽しみようもないし、はじめようもないし、「存在しない」のである。

 学問はほかの商品のように盛んに広告しないから、学校に行けば教師が教えてくれると思って要約は教えてくれるが、その学問を構成している名著と出会うこともないのである。じつは要約や教科書というのはつまらない。教科書というのはどうして死ぬほどつまらなそうに見えるのだろうか。おそらく細切れな要約が、名著とよばれる一本の太い線のような本の楽しみをシュレッダーのように引き裂いてしまうのだろう。名著とよばれる本は意外と楽しいし、説明方法もうまく伝わるように書かれているからその学問の基礎をなしているのだと思われるのである。教科書より、名著をかたっぱしから読んだほうが楽しい。

 学問の名著とよばれる本は新書などでカタログ的に説明されている本が出ている。いまはちくま新書で出ているが、私は中公新書の名著シリーズにだいぶお世話になった。読みべき本を絞ってくれるから、ぎゃくに読書の導入部としてかなり役立つのである。

世界の名著―マキアヴェリからサルトルまで (中公新書 (16))
河野 健二
4121000161

現代社会学の名著 (中公新書)
杉山 光信
4121009304

現代歴史学の名著
樺山 紘一
4121009266

現代経済学の名著 (中公新書)


日本の名著―近代の思想 (1962年) (中公新書)
桑原 武夫
B000JAJLAQ

現代政治学の名著 (中公新書)


現代科学論の名著
村上 陽一郎
4121009223

60冊の書物による現代社会論―五つの思想の系譜 (中公新書)
奥井 智之
4121009681

精神分析の名著 - フロイトから土居健郎まで (中公新書)

増補 現代思想のキイ・ワード (ちくま文庫)


わかりたいあなたのための現代思想・入門 (宝島社文庫)



ブックマップ プラス
工作舎
4875022662


 いまは中公新書の名著シリーズはだいぶ手に入れにくくなったのかもしれない。私はとくに奥井智之の『60冊の書物による現代社会論』 (中公新書)に出会ったことが大きい。文学と学問の橋渡しのような紹介をしていて、文学は読んでいるが学術書は読んだことのない私に学術書への興味を大きく育ててくれた。河野健二の『世界の名著』は近代の学問で世界を変えたといわれる本がなべられていて、かたっぱしから読みたいと思わせたものである(「世界の名著を片っぱしから読む」)。中公新書が手に入れにくかったら、ちくま新書のほうが新しくていいかもしれない。

社会学の名著30 (ちくま新書)

経済学の名著30 (ちくま新書)

歴史学の名著30 (ちくま新書)



政治学の名著30 (ちくま新書)

経済学 名著と現代


世界の心理学50の名著 エッセンスを学ぶ

いまこそ読みたい哲学の名著  自分を変える思索のたのしみ (光文社文庫)


日本文化論の名著入門 (角川選書)


精神医学の名著50


大人のための世界の名著 必読書50


大人のための日本の名著 必読書50

入門 哲学の名著


あらすじダイジェスト世界の名作100を読む (幻冬舎文庫)

知らないと恥ずかしい 日本の名作あらすじ200本 (宝島社文庫)

あらすじで読む世界の名著〈No.1〉―世界文学の名作が2時間でわかる! (楽書ブックス)

あらすじで読む日本の名著―近代日本文学の古典が2時間でわかる! (楽書ブックス)


 これらはいわは学問のカタログ本である。通販のカタログのようにあれを読みたいとかこれも読みたいとかの水先案内人となるものである。このようなカタログ本の中から自分の興味あるもの、読みたいものを見つけて、名著とよばれるものを直接読んでゆくことが学問の助けとなるものである。名著とよばれるものは教科書や要約本よりよほど読みやすいし、楽しい。学問の基礎となる名著はたくさんの人に読まれたからこそ学問の基礎となっているのである。

 興味ある学問のカタログ本をひもとけば、もっと読みたい本、知りたいことが増えてくるものである。興味というのは連想的につぎつぎと掘りたいと思わせるものである。これをもっと知りたい、これはなんでだろうと、興味はつぎつぎとつながってゆくものである。学問はいちどやりだしたら切りがない。それほどまでにハマったら楽しいものなのである。ネタが豊富だからそうとう長いあいだ楽しめるものである。

 かつては古い時代に「世界の名著シリーズ」とかが、図鑑のように一家に数冊はならんでいた時代があったのかもしれない。そういう教養書がなければ恥ずかしい時代があったかもしれないし、またはそんな規範は一部の家庭だけにとどまっていたかもしれない。名著シリーズがなければ恥ずかしいという規範や時代はもはや現在にはない。だからこそ世間や他人に強制されずにほんとうに楽しめるといえるかもしれない。あなたも学問の楽しみを密かに掘りつづけてみませんか。

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