2007年 ことしのグレート・ブックス



 当サイトでは書評にグレート・ブックスという私のベスト本を選出するようにしています。私の感覚に決定打を打ったという本のみを選んで、選定基準はけっこう厳しいです。一年をしめくくるにあたって、2007年のグレート・ブックスをあげておきます。

 ことしのグレート・ブックスは少なかったです。3冊だけでした。

女の子どうしって、ややこしい!チンパンジーの政治学―猿の権力と性権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉 (角川文庫)

 選評理由です。 
 女の子どうしって、ややこしい! レイチェル・シモンズ
 チンパンジーの政治学―猿の権力と性 フランス・ドゥ・ヴァール
 権力(パワー)に翻弄されないための48の法則(上) ロバート・グリーン
 権力(パワー)に翻弄されないための48の法則(下) ロバート・グリーン

 これらの本は人間関係の闘争、集団内での力関係の抗争やあつれきをあつかっています。人間関係の闘争面により焦点を当てた本ですね。会社集団に長くいると、どうも人を嫌ったり、いじめたり、連合が形成されたりと、人間関係の闘争面がめだってくるように思われます。私の性格ゆえなのか、それとも人間の集団というものはそういうものなのか。

 「男子家を出ずれば七人の敵あり」ということわざがまったく身に沁みてくるいさかいの年でありましたので、私は上の三冊にたいへん感銘をうけたわけです。だけどこの闘争状態にどのように解決を見い出せばいいのかはいぜんとして不明のままです。嫌われたり、憎まれたり、ムカついたりと、人間の集団とはこのような波間にただようしかないものなのでしょうか。

 暴力や威嚇や権力で勝ち抜くか、それともひたすら他人や集団に迎合してカドをとって屈従してゆくか。私は孤立主義とアンチ集団迎合のためにテキをかなりつくり出すのだと思います。個人は信頼しても、集団はいっさい信用しないのが私の頑な過ぎる思いですからね。そりゃあ、テキが束でかかってくるというものですね(泣)。

 もうすこし次点に近かった本をあげておきます。
 人体 失敗の進化史 (光文社新書)子ども社会の心理学―親友・悪友・いじめっ子モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする
パパ、ママぼくを巻き込まないで!―子育てに失敗する夫婦の35の愛憎ゲーム「最後の社会主義国」日本の苦闘雇用融解―これが新しい「日本型雇用」なのか
日本残酷物語〈5〉近代の暗黒 (平凡社ライブラリー)カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)3412900.gif

 私の書評はこちらです。 
 人体 失敗の進化史 遠藤秀紀
 子ども社会の心理学 マイケル・トンプソン
 モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする イルゴイエンヌ
 パパ、ママぼくを巻き込まないで!― ブロック、バーテル
 「最後の社会主義国」日本の苦闘 レナード・ショッパ
 雇用融解 風間直樹
 日本残酷物語〈5〉近代の暗黒 山本周五郎・宮本常一
 カイン 中島義道
 イギリスにおける労働者階級の状態 フリートリヒ・エンゲルス
 オオカミと生きる ヴェルナー・フロイント

 『人体 失敗の進化史』は私たちの身体をつくる心臓や肺、耳などがどのようにできあがったのかを教えてくれる興味ふかい本です。『パパ、ママぼくを巻き込まないで!』はたぶん家庭ではよく起こりがちな闘いのパターンを教えてくれるのだと思います。『「最後の社会主義国」日本の苦闘』は日本は社会主義であること、それへのサイレント・テロが進行していると洞察した本ですね。『雇用融解』はTVやマスコミがあまり紹介しない労働の現場の変化を暴いていますね。

 『日本残酷物語〈5〉近代の暗黒』は明治や大正の労働のヒドさがあぶり出されていて、以後私は日本の明治・大正の労働の本を読むようになりました。『日本の下層社会』や『女工哀史』、『職工事情』、または『イギリス労働者階級の状態』のようなむかしの労働についての本ですね。現代の派遣業解禁、雇用の流動化はおそらくこのような悲惨な労働市場を生み出すのだと警鐘の意味をもって読みました。


 ことしの前半は人間関係の闘争に焦点を当てた本を読み、後半は『日本残酷物語』に触発されて明治・大正の労働本を読みすすめたということになりますね。思索に深い実りがもたらされた年であるというよりか、仕事の忙しさが増してきて自分の時間が確保できないという境遇になってきましたね。ニュースやマスコミもかなりスルーしてしまうようになりましたし。

 ことしは書評を数えてみたら、トータルで77冊の本を読んだことになります。たぶんに少ないほうなんでしょう。毎年何冊読むか数えたことはないのですが、あきらかにペースダウンは否めないんでしょう。新書のような本はすぐ読めますが、ぶあつい本となると二、三週間かかります。そういう本を読むときはペースが落ちるのでしょうね。

 ことしのネットではこのサイトもはてなブックマークに注目されるようになりまして、たまに突出的なアクセスを迎えることも出てきました。だいたいひどい2ちゃんねる言語や心ない批判が飛び交ったりしてビビ゙りまくりですが、こういうブックマークで注目記事がピックアップされるというのはようやくネットも検索以上の編集能力が生み出されてきて、かなり好ましい状況だと思っています。

 ただ、はてな村のブックマーク基準は趣味嗜好のカテゴライズがなされていませんので、最大公約的なぶくマでしかないわけですが。いわばベストセラーやチャート・ランクしかないわけで、そういう本をあまり読まない私はその基準に選ばれても目的は違うような。。 でもうれしいことではありますが。

 FC2ブログでは新しく「拍手ボタン」という機能が追加されましたね。下のほうにあるボタン・クリックです。どの記事が読者の方に好評であったのか、スルーされたのかよくわかって、なかなかいい機能だと思います。コメントのようにプレッシャーがかかることもありませんしね。アクセス解析はただ閲覧した数がわかるだけで、記事の好感や感触はわからないわけで、一歩ふみこんだ機能だと思っています。拍手記事ランクがすぐわかる機能ができればいいのですがね。

 ただ書く側としては拍手ボタンにふりまわされたくない、読者の方々の好評を狙うより、自分にとって必要でたいせつなことを書きたいと思う気持ちをいちばん大切にしたいと思っております。ウケねらいはそのくらいの記事にしかなりませんしね。

 数年間のグレート・ブックスをあげておきます。 
 2006年のグレート・ブックス8冊
 2005年ことしの読書テーマ
 ことしのベスト本は男女の違いを語った恋愛本である。 2004年
 近年まれに見るベスト本 2004-1999 過去のホームページです。

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