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12 15
2007

社会批評

「平均」のウソ八百とバカさ加減!



 日本人の平均所得とか平均貯蓄額の高さをみてどきっとして自分の低さに嘆いたことはないだろうか。なんで世間はこんなに高いんだろうと不思議に思ったことはないだろうか。同じように江戸時代や発展途上国の「平均寿命」の20歳とか30歳とかの低さに疑問を感じたことはないだろうか。

 どうもおかしいなとかなんだとか違うんじゃないかと思っている人はまともで、ハナから信じ込んでいる人もかなりいるのだろう。むかしやよその国の人は30歳くらいまでしか生きられなかったと大マジメに信じいてたりする。

 「平均」という数字のマジックはどうしてこう愚かな誤謬を植えつけてしまうのか。どうして「平均」の誤解を世間や学校はちゃんと啓蒙しないのか。かくいう私も「平均」のウソっぱちの正確な理由を知らなかったので統計のウソについての本を読みたかったのだが、ネットで調べてみたら、いくらかはそのからくりについて知ることができた。各種資料をコピペさせていただきたいと思う。

「10 世帯のうち9 世帯が100 万円を持っていて、残りの1世帯が1億円を持っている場合には、平均値が1,090 万円となってしまう。 貯蓄保有世帯3,710 世帯のうち約7割が平均値よりも少ない。」――平均値と中央値



 これはぶっ飛ぶだろう。9割の世帯が1000万の貯蓄に嘆息してしまう。たった一軒の一億円貯蓄が1000万円に跳ねあげてしまうのである。9割の家庭がまわりを見渡してよその家庭はなんて金持ちなんだろうと自身の不幸と境遇に落胆することだろう。

「家賃が1万円のアパートと、月9万円の賃貸マンションが並んでいたとすると、2軒の家賃の平均は5万円。」――平均という「現実」は存在しない



 たとえば一万円の家賃でピーピーいっている貧乏人は世間の平均5万の家賃をみて、世間様はなんて金持ちだろうと嘆くことだろう。9万の家賃が平均をぐっと押しあげるのである。平均とは金持ちと貧乏人の額をまず混ぜ合わせて、それを頭数で割る。とうぜんの金持ちの額のほうにひっぱられる。平均はいつでも私たちの頭上高くに私たちを見下げるのである。

「年収200万円の人が四人、1000万円の人が一人いたとします。平均年収は360万円です。」――男性会社員の平均年収541万円! 安すぎ!



 もし同じ会社に勤める年収200万の四人は「おいおい、だれがそんなにもらっているんだ?」と疑心暗鬼になるだろう。じつはひとりの1000万円の高所得者が200万円の所得者の平均を高いものに引きあげているのである。この四人は平均の高さに自分の低さを嘆き、給料を低く申告する同僚を信じなくなるだろう。

「所得金額階級別世帯数の分布をみると、「300~400万円未満」が 12.2%、「100~200万円未満」が11.6%と多くなっている。中央値は 476万円であり、所得金額が世帯全体の平均額(579万7千円)より低い世帯の割合は59.7%となっている」――「厚生労働省:平成16年国民生活基礎調査の概況」



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 字がつぶれてしまったので「厚生労働省:平成16年国民生活基礎調査の概況」を見ていただきたい。6割の家庭が平均より低くなっているのがグラフでよくわかるだろう。6割の家庭は平均所得の前に撃沈するのである。

「勤労世帯の貯蓄額の「平均」は1,356万円である。ところが、このデータの「中央値」は900万円であり、「最頻値」にいたっては、265万円と大幅に下がる。最も多い回答が「最頻値」265万円であったのも、納得がいくだろう。」――『平均』の落とし穴



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 貯金の平均が1356万だといわれると茫然とするしかないだろう。しかし最も回答の多い金額は265万だったのである。すこしは安心できたかもしれない。大多数は平均より少なく位置し、少数の金持ちが平均をぐんとひきあげるのである。貯金ゼロの家庭も多いのである。

「2004年の平均貯蓄額1398万円は、貯蓄ゼロ世帯を外して計算した値です。ゼロ世帯を含めると1022万円。これでもまだ多い印象です。貯蓄額順に並べてちょうど真ん中にくる中央値は、ゼロ世帯込みで430万円。だいぶ実感に近づいてきました。ちなみに多数派はどこかと言うと、ゼロ世帯になります。」



 平均というのは大多数の人を心理的に抹殺する殺人マシーンのような気がしてくる。なぜマスコミは平均だけをばっと出して、中央値や最頻値または大多数はどこに位置するのか知らせないのだろう。意図的に庶民をバカにして恐怖に陥らせて、煽らせたいだけなのか。もうみなさんは平均の数字をバカにして、「不親切な報道者は東京タワーにぶら下がっておれ!」とでも悪態をつくのが精神上にいいのかもしれない。


 つぎは平均寿命についてのべたい。平均寿命といえば、むかしの人たちの平均寿命をもちだして「30歳や40歳までしか寿命がつづかなかったなんて、なんてかわいそうな。。」と思うことだろう。縄文時代や原始時代にいたっては「20歳にも届かないなんて。。現代に生まれてよかった」と思う人がいるのではないかと思う。

「紀元前11世紀~1世紀「縄文時代」の日本人の寿命は、 男女とも 14.6歳 だったそうである。1880(明治13)年  男 36歳 女 38歳」――日本人は、いつ頃から"長生き"になったのか? [平均寿命]から読み解く



 みなんさはご存知だろうと思うが、これは人間ひとりひとりの寿命が20歳や30歳で終わっていたというのを意味しない。平均という数字の大ウソである。この平均寿命という言葉はまぎらわしく、おおくの人にむかしの人の寿命の激短ぶりを信じさせてしまう。10歳や20歳で人類が死んでいたら子孫は存続していない。

「江戸期の乳幼児(0~5才)の死亡率は全死亡率の70~75%も占めており、こうした乳幼児の大量死亡が江戸時代の特に農民の平均寿命を28歳前後に押し下げていたわけです。

乳幼児の死亡を除外してみますと江戸時代の60歳の日本人の平均余命がほぼ14歳というデータがあり、高度医療、終末期医療の発達した現代と比較しても決して比較にならない寿命ではなかったと思われます。

 また江戸時代には80・90歳の高齢者も多く、安永5年(1776年)には江戸で100歳前後の高齢者が10人以上もおり、寛政7年(1795年)の記録では越中富山の五箇の庄では百歳以上の老人がままあり、80歳以下では夭折(ようせつ;若死)といわれていたとの記録があります。」―― おくすり博物館



 平均寿命の短さをひき上げる要因は乳幼児の死亡率の高さにある。7、8割の赤ん坊が生後すぐに死んでしまえば、たとえ80歳まで生きていた人がいたとしても、数字の上では28歳とかの平均になる。

 平均寿命は勘違いさせてしまうのである、あたかも個人の寿命がそんなに短かったと。平均という数字がいかに当てにならないか、人を混乱させているかこの数字でもわかるというものである。私の実感としては、この数字をくわしく追究したみようという殊勝な人が少ないことから、けっこうぼんやりと個人の寿命だと思い込んでいる人が多いのではないかと思う。

 というか、そういうふうに認識させる数字だとしか思えない。人は老人まで生きるのがふつうだから、赤ん坊を入れた平均値だとはなかなか認識できない。とくにこんにちでは赤ん坊が生後すぐに死ぬことは極端に減ったのだから。

 平均という数字はどうも私たちの素朴な認識の弱点を狙ったゲリラに思えてくる。じつは私たちは「平均」という概念をまったく理解していないのではないかと思える。みんなの平均だとか思ったらおおいに勘違いである。寿命の概念に大人や老人は入れられて、赤ん坊は入れられてなかったりするのではないか。収入や貯蓄の額の多寡の平均の意味を理解できていないのではないか。平均が計算されてその過程でどのように偏りや歪みが生じているのか理解せずにかんたんに類似値の平均だと勘違いしてしまう。

 これからは「平均」という言葉に出会ったらまったく信頼しないほうがいい。偏りや歪みを読み解いた資料を見ることができて、はじめてその平均は理解できるものだと考えるほうがいい。平均の数字を2つ3つぽんと出すマスコミには以後そのマスコミを信頼しないほうがいいだろう。



追記 ついでに年金の受給額はおおくの人が3万とか6万だとかの記事を見かけましたので、そのグラフを見られてはいかがですか。数字でウソをつくな!(その24) 日本の年金は世界一! この金額で5、6割は占めるのではないか。こんな額でも払っておいたほうがいいのか。高齢のときには小額のお金でも役に立つのか。なんかかなりヤバそう。。

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Comment

平均年収。

うえしん様

今まで紆余曲折があった私の職歴ですが、クルマのセールスマン、本屋の店員、警備会社のガードマン、と3つの正社員の経験があります。
ただ、年収はいづれも220~240万円でしたね。同僚も同じでした。
まるで経営者同士のグループで社員の年収が決められているような感じでしたね。『中小企業における役員の給与相場』というような本が存在するのも事実ですし。少なくとも、私の周辺の人たちの年収は250万円ぐらいで昇給なし、というのが当たり前でしたね。


「平均年収」540万円って、誰がもらってるの?という感じでした。
不動産業界にいた人は年収550万円だったそうですが、経費に
なるような事もすべて自腹で550万円だったそうです。しかも激務で
長続きしない職場だったとか…。

暗い話になりましたが、私の周りの人々は年収250万円くらいで働いて
いる人が大半です。公務員になった友人はもう少し多くもらっていますが…。

黒田様、こんにちは。
さっそくブログ上に移っていただきありかどうございます。

このほうがよかったのか、メールのほうがよかったのかはわかりませんが、レスポンスのほうは早めに出せると思います。またこのコメントはほかの人も読めますので、参照になったり、検索でたずねてくることもあると思います。

赤裸々な給与明細ありがとうございます。
じつはどんぴしゃで、私の去年の所得も250万前後でした。
あまりお金を使わないほうなので、本代とガソリン代くらいですから、貯蓄も少ないですができますし、生活に苦しいとなんか思ったことはありません。結婚はムリだと思いますが。

社会保険は自分で払っています。
やっぱり会社に丸抱えにされるというか、会社にすべてを保障してもらうような関係は人生をすべて召し抱えられてしまいそうで、いまだにいやな気持ちがあります。

平均年収は記事で示したように金持ちのほうにひっぱられますね。
大多数は少ない年収のほうに集まるのに、数の少ない高額の年収のほうに平均の頭数はふりわけられるわけですね。そうして、ウソ!というような平均年収のほうにつりあがってしまうわけですね。

私は平均年収は年をとった管理職層とかがボリュームとなって平均をつりあげていると思っていたのですが、グラフで見てみると6割は平均より下に集まっていますね。ということは少数の高額所得を少ない所得者の頭数で割っているわけですね。つまり所得の額にならない低所得者は、不名誉なことに高額所得を山分けてして、平均を高くあげているわけですね。

それで世間はこんなにもらっているとがっくりくるのですね。

平均所得とかいうのは中央値や最頻値、または大多数はどこに位置するのかをセットで示してくれないと、まったく正確な情報をつたえたことになりませんね。誤った平均だけを知ってしまうことになりますね。

平均というのは大多数はその下にくるのだということを覚えておいたほうがいいのかもしれませんね。というか多数は収まってしまう。少数の高値が平均をつりあげてしまうわけですね。

平均値に人生を落胆させないよう気をつけなければなりませんね。




私は高卒で工場に勤める32歳の男ですが年収は500万です。
弟は独立して居酒屋を2店舗営んでおりますが去年の年収で1000万弱だったそうです。
(今年は飲酒取締りが強化されてかなり厳しいと聞いています。)

ちなみに私の工場に来る派遣社員は月に35万もらっています。30万では人が集まらず今年から5万あげたそうです。
地域や職種にも拠るのでしょうがきつい仕事でもいとわなければ平均月収もらえる仕事はいくらでもあると思います。

楽な事務仕事で高給をもらう人は公務員のような特権の職業だと思いますが。

勤続14年さん、はじめまして。

いいですね。年収500万なら六割の人より高い金額ですね。

去年所得の平均は579万円でしたが、平均所得を聞くたび私のような低収入の男にはどこの人がそんなにもらっているのかと不思議に思っていました。管理職とか勤続年数の長い人がひきあげているのかと。

平均のからくりはどうなっているんだろうと調べてみると、六割が平均より下ということで安心しました。高額所得者が平均を上へ上とひっぱっているようですね。

この所得平均は考えてみたら日本のプロ野球選手とか競艇選手とかプロゴルファーとか歌手とかも含まれているでしょうし、三木谷社長とか折口社長とか稲盛会長とか大企業の社長も含まれているわけですね。そんな人と所得を比べたら、たまったものじゃありません! 平均とはこのような「超人」が東京タワーのようにひっぱりあげてしまうのですね。

平均という数字が表わされるとき、中央値や最頻値、または多数はどこに分布するのか、きっちりと教えてほしいものです。所得のグラフを見れば分かるように多数の人が納まったところから減っているところにちょうど平均が位置しますね。世でいう平均とは金持ちのことなのかもしれませんね。

ちょっとでも統計をかじってたら気付きそうなものだけどなぁ

平均の意味について、知らない人や、よく意味を知っている人といろいろいるみたいですね。

かくいう私は平均というのは山のような形のピークを漠然とイメージしていました。平均というのは多数やピークがくるものだと。所得や貯金額は多数が終わった高額のほうにくるなんて知りませんでした。

この記事にたいする批判としてはタイトルが大げさすぎるとか、数字はウソをいわない、算数の授業に居眠りしていたんだろうとか、統計を知らないとかの比較的おだやかな批判がありましたが、まあ当たっていると思います。

この記事はあくまでも、「私」のような知らない人向けには役に立つものだと思います。けっこう世の中の人は平均の意味を知らなかったり、あきらかに誤解して理解している人もたくさんいるように見受けられます。

知っている人と知らない人の「バカの壁」(理解度と「誤解度」の差異という意味で使用)」がしっかりと調査される必要があるのかもしれませんね。私の感じとしては理解している人のほうより、誤解している人のほうが多い気がするんですが。そしてその誤解の弊害のほうが大きい気がするのですが。

平均値が意味を持つのは、サンプルが正規分布のときのみでしたよね。
他の時は使っちゃいけないはず。(統計的に意味がない数値だから)
マスコミの人はそんなこと勉強してない(成績にも就職にも+にならない)し、役所関係は(マスコミ関係者が知らないことも含めて)分かってて使ってる気がする。

算数と数学がさっぱわからなくて、授業中は寝ていた私は「正規分布」なんて言葉は聞いた覚えがありません(笑)。それ以外は使ってはいけないのですか。

平均の偏りってたぶんほとんどの人は理解していないのではないかと思います。平均って多数じゃないかと思ってしまうのではないでしょうか。

平均は少数です。金持ちです。多数は平均以下に位置します。

それで女性の方は平均以上の年収を求めて、年収600万希望とか平気でのたうつのでしょーが、家庭の6割はそれ以下。若年層ではもっとひどいランクであるということに気づかない。6割方は撃沈する理想の男性像をもった女性はなんて高飛車のことなんでしょう。といってもたぶん平均の意味をとりちがえているのでしょう。真ん中よりちょっと上のほうがいいとでもいっているのでしょうが、平均値ではそれはもう少数派に属します。

マスコミは知らないのでしょうかね。あるいは知っていても、受け取る側は平均は多数ではないと知らないだけなんでしょうか。ものすごいカンチガイが発生しているように見受けられるんですが。

平均寿命なんか個人の寿命であると明らかにうけとって感想している例が見られますね。これから平均を表わす際には多数はどこに属するのか知らせるべきですね。

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