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06 12
2007

集団の序列争いと権力闘争

『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉』 ロバート・グリーン

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4042893015権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉 (角川文庫)
ロバート グリーン ユースト エルファーズ Robert Greene
角川書店 2001-11

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 最高傑作である――世の中、権謀術数とパワーゲームだと気づいた人には。しばらく手元に置き、頭にたたきこむまで何度でもめくってみたい私のバイブルになりそうである。

 しかし「いいひと」になりたい人、親切や思いやりが世の中ではいちばん大事だと思う人は間違ってもこの本を開いてはならない。壁に投げつけたくなるだろう。

 ずる賢く、利巧に、如才なく世の中を渡ってゆきたいと思う人にはバイブルになり得る本である。だけど世の中の真実とはこのようなものなのである。純粋でヨゴレがなく澄んだ心の持ち主は気づかないだけなのだろう。世の中このようなパワーゲームで動いており、ただ気づかなかっただけなのである。この本を読んで私は積年のパワーゲームの謎がすこしは解けてきたように思えた。

 邦題はまちがっている。権力に「翻弄されないための」ではなくて、権力を「得る」ための法則が書かれている。パワーゲームの法則が書かれている。世の中の権力のしくみと、そして権力を操り、権力に押しつぶされないための処世術が描かれている。最高傑作だと思う。

 しかしこの本は99年に角川書店から単行本で売り出され、01年に角川文庫に入ったのだが、もう絶版になっている。角川書店は書籍を週刊誌なみにあつかう。上巻はブックオフで手に入れたが、下巻が近くのブックオフを駆け回っても一冊も見つからない。つづきを読みたくてたまらない本なのにくやしい。

 おおくを引用したいのだが、一部だけを抜粋しよう。

「つねに善人であろうとする者は、善人でない多くの人びとのなかで破滅さぜるをえない」 ニッコロ・マキアヴェッリ

「パワー・ゲームに意識的に加わるのは反社会的な悪いことであり、そんなものは過去の遺物だと感じている人もいる。そして、自分がパワーとはかかわりをもたないようにしていれば、このゲームから離れていられると思っている。こういう人には用心しなければならない。口ではそう言っておきながら、実はたいへんなゲーム巧者である場合が少なくないからだ」

「多くの人びとが、正直にして開けっぴろげでいれば人々の心をつかめ、自分のよさをわかってもらえると信じている。これはたいへんな勘違いである。正直でいれば、人を傷つけると思っていい」

「沈黙は相手を不安にさせる。……必要以上のことを語らなければ、重要人物、有力人物だという雰囲気をかもしだせる」

「名声は、パワーの礎である。名声を通じてのみ、人は他人を威嚇し、勝利を得ることができる」

「人は謎に魅了される。謎はつねに解釈をうながし、人びとを飽きさせることがないからである。謎めいた人物は理解しえない。そして、はてしなくとらえどころのないものは、パワーを生みだすのだ」

「過去は知識と知恵の巨大な倉庫である。アイザック・ニュートンは、これを「巨人の肩の上に乗る」と称している。……ぜひとも過去の知識を利用するすべを身につけよ。たとえ実際は単なる抜け目のない剽窃者にすぎないとしても、世間は天才と見てくれる」

「パワーの究極のかたちは、自主独立であるという、多くの人がおかしている考えちがいをしてはならない。パワーはしょせん人間関係なしに語れない」

「愛や友情のように微妙で移ろいやすい感情に頼れば、自分の立場が不安定になるだけである。一緒にいるときの楽しさからよりも、失ったときの恐怖から頼らせるほうが確実である」

「自分の必要性を相手の必要性と混同しないことである。大方の人間はここで失敗する。自分の願望や要求に、すっかりとらわれているからだ。そういう人間は、相手が私利私欲を抜きにして自分を助けてくれると決めてかかっている。……だが、たいてい相手はその必要性をなんとも思っていない」

「なんでも流通すれば値段は下がる。それと同じく、あちこちで姿が見られ、声が聞かれる人間は、ありふれたつまらない人物と思われる」

「誰しも自分が隣の人物より愚かだとは思いたくないものだ。ならばカモには頭がいいと思わせてやれ。ただ頭がいいだけではない。こちらより頭がいいと思わせるのだ」



 こういうずる賢く、功利的で、権謀数術をはりめぐらすことは、悪くて陰険でいやらしいことに思えるものである。とうぜんである。だれだって親切で思いやりのある「いいひと」になりたいだろう。だけど世の中はこのような権力ゲームでなりたっており、うかうかとしておれば、このパワーゲームにはじきとばされ、いいように弄ばれるだけである。

 これが世の中の真実というものである。人は真理を隠して、人にやさしくて「弱いひと」になってもらい、自分だけはぬけぬけと権力を得ようと画策しているかもしれないのである。

 この権力闘争というものは知らず知らずのうちに人が身につけ、無意識におこなっているものである。純粋無垢の聖者のような顔をした人も無意識に行使するパワーと無縁ではありえないのである。

 たとえこのようなパワーゲームに加わらないと誓うにしろ、世の中の力のからくりを知っておくのはなによりもたいせつな知恵だいえるだろう。人は集団の中でこのようなパワーゲーム、権謀数術をはりめぐらしているものなのである、気づくにしろ、気づかないにせよ。。。



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色々書こうと思ったが、マキャベリの弟子に習い、「駄作」とだけ言えば伝わるであろう。
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