『イヤなやつほど成功する!』 スタンリー・ビング


イヤなやつほど成功する! -マキャヴェリに学ぶ出世術
スタンリー・ビング

イヤなやつほど成功する!  -マキャヴェリに学ぶ出世術


 「いいひと」をやってきて人から好かれてなにかいいことがありましたか? 成功したり、金持ちになったり、自分の思い通りに生きられてきたと思えますか。

 「善人」の殻を破りたくなったとき、こういう極悪人指南の本がある。もちろんこれはジョークも混じっているし、人間の極悪さを笑える本でもある。ふっとたまにこんなふうに自己中に人にふるまえたら人生さぞかし楽しいかもと思ったりする。

 怒鳴り散らしたり、自分勝手な考えや行動を押しつけたり、人を痛めつけたり、傷つけたりすることを生きがいにしているような人に私たちは何度か出会ったこともあると思う。こんな人と関わりたくないとか、さわらぬ神に祟りなしとか、あわれだなとか、いろいろな反応があると思う。羨ましい、尊敬すると思ったりする人はいるのだろうか。

 こういう人はほんとうに出世したり、ボスや大物になっていたりするものなんだろうか。この本はマキャヴェリ的な自己中心的人物をめざして出世を指南する自己啓発書の体をなしているのだが、同時に出世や自己中の狂気さやあきれた発想法が皮肉られている。どちらにでもとれるようになっているところが、また私たちのアンビヴァレンツな心を皮肉っているともいえる趣向の凝らした本にもなっている。

 たとえばこんな感じである。

誰が敵か見定める。これは簡単だ。誰があなたをコケにしたか? なぜ、そいつらを生かしておかねばならぬ?

書類上で殺すことなんて(リストラすること)、たいしたことではない。二年も続けば、公園での散歩と同じとはいかないだろうが、夜、眠れないなどということはなくなる。

これは、現代版王権神授説である。好きなだけ感じの悪い態度をとる能力と、その行動に感じる誇り、それは君主の権利なのだ。

あなたにも必ず根性悪の側面がある。いままでは押し殺してきただろうが、それはあなたがまだ有名ではなかったからだ。

真の権力を手に入れたいと思うなら、自分の性格のなかの最も唾棄すべきいやらしいところを掘り起こし、風にあてよう。

他人は自分の欲望実現の道具であると思えなければ、まだまだ修行が足りない。あなたのなかには、とてつもない利己的な人間が潜んでいる。そいつを表に出そう。花を開かせよう。

「さあ、わたしを見てくれ。わたしが野蛮な人間に見えるか? わたしの良心は澄みきっている」  ポル・ポト

ほかにこんな指南がつづく。極端な二面性で相手をビビらせる、自分の根性悪を美徳に変える、自分の狂気をいとおしむ、ゴキブリが絶滅する日まで怨恨を抱きつづける、自分の残虐さを誇らしく思う、失望させられた相手に永遠のダメージを与える、死んだほうがマシだと思わせるまで人をいじめる、部下がたがいに争そうように仕向ける、怒鳴り散らす、エトセトラ。。。



 こうも悲惨な項目がならべたてられると、著者の意図が見えてくる。出世や自己中の悲惨さを告発する本なのだ、この本は。マキアヴェリになれといっている本ではない。体裁はそうなのだが、自己中のススメを説いておりながら、じつは自己中の悲惨さをえぐり出す本なのである。このヒドさや狂気を笑い、悲惨な人間の見本をならべたてることによって、その悲惨さや哀れさを告発する本なのである。

 であるけれども、私はときにはこのようなマキアヴェリ的な構えも学びとりたいなと思わないわけでもないのである。ときにはそういう心も必要なときがある。「いいひと」をめざしても「いいこと」ばかりあるとは限らないのである。むしろソンしたり、キケンなばあいもあるかも。たぶんに根性悪や利己心は私のツラのすぐ下にあるのだろう。「あんなイヤなやつにはなりたくない」とばかり思ってきたせいで、どうも私は人に軽く扱われたり、バカにされたりしてきたように思わなくもないのである。。。



なぜイヤなやつほど出世するのか 人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン 病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める- 鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
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