『したたかに生き抜く悪の処世学』 阿部 幸夫
![]() | したたかに生き抜く悪の処世学―悪意を悪意と悟られない老獪世渡り術 阿部 幸夫 (2005/11) 日本文芸社 この商品の詳細を見る |
「いいひと」になるだけでは世の中渡ってゆけないときもある。争いに巻き込まれたり、人からいやがらせをされたり、憎まれたり。善や正義だけではやってゆけないのが世の中というものだ。したたかに悪に生きる知恵もつけておくべきだ。
この本は私にとってはまったく読めなかった。中国の古代春秋あたりの歴史事例がのべられていて、漢字だらけの字面に文脈を追えないことがいくつもあった。私は抽象論が好きで、歴史事例はどうも苦手なのである。ふつうはドラマのほうがわかりやすいという人も多いと思うが、私もどうもそこから教訓や意味をひきだしにくいタイプなのである。
よってこの本は三笠書房のような自己啓発的なタイトルのみが役に立った。そういうところだけ引用。
「強きをたすけ弱きを叩け」
「長い物には巻かれ強い者には負けろ」
「落ち目の者との約束は遠慮なく破れ」
「力に媚びるファミリーを形成しろ」
「三人がいえば虎はたしかに街に出たことになる」
「法の不備は知恵者の富の源」
ひどい事例であるが、現実の世の中というものはこういう力関係でなりたっているものである。だからこそこのような行為を非難し、頭では正義漢になろうとする。しかし力には現実には立ち向かえないこともわれわれは心の底でいやというほど知り抜いているものである。
理想や正義はほどほどにということである。自分が孤立しても、おおぜいを敵に廻しても勝てる、くじけることもないと胸を張っていえる者だけが正義や理想を抱え持つべきなのである。自分の力と相談して、正義の分量は考えるべきなのである。世の中はそういうものである。学校や教師が教えてくれたキレイゴトでは世の中渡ってゆけないものである。
はやくにそういうことを悟った者たちがみんなでひとりをいじめたり、群れや徒党をつくって力でねじふせ、そして人を傷つけたり、人の痛みに無頓着になってゆくのだろう。くりかえすが、これを非難する力を自分はもっているのかと問い直して非難すべきなのである。正義や理想は強いものだけに許された特権だと心得るべきである。
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