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03 05
2006

おすすめ本特選集

『「心の専門家」はいらない』 小沢 牧子


「心の専門家」はいらない
小沢 牧子

「心の専門家」はいらない

 この本も心理学に対する問題提起の本だ。心理学やカウンセラーが必要とされるということは、心や人の関係が商品や消費となってしまうことだと警鐘を鳴らしている。

 心の問題とはしょせんは生き方の問題なのだが、大人たちがそれを見せなくなったうえ、産業化によって家族や共同体の絆は断ち切られ、孤立の度合を深めている上に、さらに心の問題まで商品化されると、人々はますます閉ざされ、孤立し、不安にさらされてゆくことになるという。もっとも必要なことは人々がつながりやすい条件の援助だと著者はいう。

 この消費社会は「自分でやろうとするな、依存せよ、購入せよ」というメッセージに満ちている。産業に依存することにより個人は自前でやりぬく能力を失い、家族や共同体はますます解体されてゆくばかりだ。人は「生かされる消費財」として生き、「生きることは買うことなり」という人生を生かされることになる。

 専門化や商業化されてゆく危険性を強く感じる本である。われわれは専門家に依存し、ますます個人の能力、家族や共同体の絆を失ってゆく。しかも専門家は自前のやりかたを批判し、家族や共同体を解体させながら、自分たちの発言力や地位をあげてゆく。個人や家族は専門家の前でますます無力になり、依存してゆくいっぽうになり、人々は自信を失ってゆくばかりである。

 さらに心理学は人々の異常性を告発する知識であり、社会変革を放棄した順応主義のテクノロジーにもなりうる。心理至上主義や専門家主義はひじょうに問題の多い要素をはらんでいるのである。専門家信仰にたいする批判力や判断力がわれわれに緊急に求められているのではないだろうか。


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Comment

カウンセラー?何それ?

最近、ちょっと事件が起こると、すぐに心理カウンセラーの出番となる。例えば、学校で、凶悪犯罪があれば、すぐに生徒の「心のケア」とかマスコミが取り上げ、まってましたとばかりに、心理カウンセラーとかが、学校へ駆けつける。
それって、おかしくないか?バカげてるじゃないか。
そんなにも、人間は、ひ弱になったのか?
私は戦後生まれだが、父の時代は、日華事変から、やがて大東亜戦争へと戦局は拡大し、最後は、アメリカ軍による、無差別爆撃によって、多数の死者が出た。
親子が死に別れ、焼死体がフツーにその辺に転がっていた。その頃、心理カウンセラーなどいなかったし、誰もその存在すら知らなかった。
でも、父も母も、家族を作り、子供を育て、りっぱにやってきた。あの頃は、今より、遥かに残酷で、暴力に満ち溢れていた時代だったのだ。
私の少年時代は、今と比較にならぬほどの、少年犯罪と暴力が横行していた。でも、たくましく生きてきたのだ。心理カウンセラーなしで。
豊かさは、心をも蝕むというなら、人間の心のために、もう一度、戦争をやったほうが、いいではないか。
平和と、繁栄が、ガンであるなら、戦争こそ、最高のクスリであろう。

まったくそのとおりですね。

事件や事故があると、心理カウンセラーが「突撃」とニュースに出るたび、おかしな世の中になったものだと思いますね。

むかしの子ども親父に殴られたりして、それでもぴんぴんとたくましく育ってきたものですね。残酷で暴力的な世の中でも、人は健全に生きてきた。

「心」とはそんなに弱々しく、危ういものだったんでしょうか。

なによりいちばん危険なことは、心の脆弱さを表面にとりあげすきで、その背景にある社会的・経済的問題をまったく等閑視するというか、無視することですね。

むかしは社会が悪いとか、経済が悪いとか、社会全体の問題とされました。いまはすべて心の問題――つまりぜんぶ個人が悪い、個人の心のみに問題があり、治療しなければならないとなりましたね。

社会改革とか社会改造がまったく不可能になったがゆえに、仕方がなしに、個人に全責任を覆いかぶせて、社会はそっぽを向いて、逃げるための言い訳に利用されているように思えます。

権力者がいちばんほくそえんでいると思います。社会や経済の批判や改善はまったく口にされないのですから。

心理カウンセラーは社会や権力に順応させ、服従させるための権力や既得権益にとっての「特高」、「思想警察」みたいなものです。このような角度から警戒感を抱くことも大切なんだと思います。

暴力や残酷さがはびこっていた世の中より、はるかに危険で淫靡な権力が浸透しているのかもしれませんね。


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プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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