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04 05
2006

社会哲学

序列の幸福と主観の幸福

「下流社会」や「階層社会」という言葉が世間をにぎわすようになったが、人を脅かして得するのはだれなのだろう。

 商売なら人の恐怖を煽って儲けるのが常套手段である。たとえば「カッコ悪い」「哀れだ」「なさけない」と脅して上級品や高級品を買わせるようにそそのかすのは、どこかしこの商売にもみられることだ。

 あなたは「下流だ」と脅していちばん得するのだれなんだろう。まずはそういう恐怖を利用してマスコミや知識産業が儲かる。注目が集まる。そして下流社会から逃れ出そうとする奔流を生み出すことだろう。「NON-下流商品」が売れるわけだ。

 私はこの流れは、もう働いたってこれ以上豊かにも幸福になれないと近代社会を投げ出した若者への攻撃ではないかと思っている。モノの豊かさや仕事に生きがいを求める人生の休止や停止する若者への阻止をもくろんでいるのではないかと思う。

 でも「下流になるぞ~、下流になるぞ~」といくら脅したって、労働ばかりの毎日やこれ以上増やしたいモノなんかあるものかというものだ。

 そもそも下流や上流ってなんの序列やヒエラルキーなのか。上位にくるものは人々が無条件に羨ましがり、憧れられるものなんだろうか。デカいけど必要のない邸宅、会社でのちっぽけな地位、終電間際までの労働、そんなものがヒエラルキーの上位なのか。こんな生活のほうがよほど下流域だ。

 戦後の社会というのは序列によって幸福になれるとシステムづけられた社会だ。いい大学にいけば幸せになれるとかいい会社に入れば幸せになって偉くなれると序列づけた社会だった。序列によって幸福の量が決まると信じ込まされた社会である。

 人が幸福になったり豊かになるのはヒエラルキーの上位に来ることだった。つまり人との比較においてでしか幸福はないと決めつけたのである。勝者にしか幸福はない。そういう信仰は戦後の社会にうまく機能したのだろう。

 でも人との比較や優劣、序列だけにしか幸福がないと見なすのは、人生の大いなる失敗であり、錯誤である。人との比較においてでしか幸福がないのなら、敗者はすべて不幸であり、救いのないことになってしまう。また、一位になるのはたったひとりしかいない。ほかのすべての人が敗者ならみんな不幸な社会ではないか。

 私たちは序列の幸福にすっかり慣らされてきたのだが、人が感じる幸福というのはそんなものではない。序列やヒエラルキーのほかに幸福や満足はいくらでもあるし、そんなもの以外に人生は幸福を見い出すべきなのである。

 ヒエラルキーでしか幸福を見つけられない人の人生は不幸でしかない。比較ではなくて、主観において幸福は見い出されるべきなのである。人と比較しての幸福なんか見い出すべきではないのである。

 序列のないところに幸福を見い出す。たいがいの人は序列なんかと関係なく、自分のいるところに幸福や満足を見い出していることだろうし、また見つけるべきなのである。序列にしか幸福がないのなら不幸のままである。

 だからヒエラルキーを煽る人には、せいぜい私の主観の幸福をじゃまされないよう相手にしないほうがいいのである。人がどのように序列に入れたり、下層に押し込めようが、私は私の主観の幸福を見い出せばいいのである。下層を恐がらせる人には、ヒエラルキーの中で一生苦しめばいいと見放してやるべきなのである。もうヒエラルキーの人生なんていりません。


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Comment

下克上な奴ですので(笑)

はじめまして。
この項を引用し、一文ものしようとしましたところ、……
貴サイトの題名を修正しないまま、トラックバックを送ってしまいました
どうぞお許しを。

私は、下克上な奴ですので、
この手のヒエラルキーを形作るルールの転覆を狙っております(笑)
今後ともよろしくお願いします。

階層の序列にハメられるな。


トラックバックありがとうございまっす。

「金持ちに貧乏人が勝てる訳がない。だから、古来、ルールをひっくり返す、という手段が流行ってきた。室町時代の闘茶が、桃山から江戸の始めの侘び茶へ価値観が移ろうにつれ、お金持ちによる圧勝という状況が解消されていった。 」

この言葉はいいですね。階層社会を豊かに生きるコツは同じ土俵で、ハメられて闘わないことだ。

若者が下流に流れたのは、順序が逆であって、上流に到るための労働至上主義に嫌気をさしたからであって、競争に落ちこぼれたからではない。そのプロセスを「下流」という言葉は転覆しようとしているわけですね。だまされるなといいたい。

デルタさんのブログでリバタリアンのおすすめ本と山登りの写真のアップをぜひお願いしたいです。

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