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05 09
2005

手塚治虫ノスタルジア

『海のトリトン』 手塚 治虫


4253062962海のトリトン (第1巻)
手塚 治虫
秋田書店 1972-12

by G-Tools

 この作品も悪である怪獣をやっつけるという典型的なヒーローものである。そしてそういう物語は人気を博す。単純な目標に向かっているとき、人は美しさを感じ、賛同を得、団結をもたらすようである。

 物語はトリトン族の最後の生き残りがポセイドン族に立ち向かうというものだが、これは追いつめられたさいの最後の勇気の物語とも読むことができる。逆境や困難でもあきらめるなという強いメッセージをもつことになる。

 しかそれはあくまでも虚構の範囲内においてであって、現実に敵味方を明確にする捉え方は慎んだほうがよいというものである。現実の敵には家族もいるし、人間の心を持っているのだし、現実の人間社会では一方的に悪と決めつけるのは自己利益に鈍感すぎるし、オトナとはいえない。ただし、この作品ではラストにそのような批判があるようである。

 この手塚の作品はサンケイ新聞に一日一ページの割合で連載されたためか、絵は思いっきり雑であり、物語はふざけまくっている。まあ、それも味といえば味だが。

 アニメのほうは人気を博し、アイドルのようなファンクラブができたようだし、その後のアイドルタレント・ブームの先駆になった。(アニメのオープニングです。迫力ある唄でしたね。YouTubeから) 海の物語ということで、その後の青い海のリゾート地という旅行ブームの先駆けともなったのである。

 都市民はなぜ青い海に焦がれるのだろうか。都市は水のない監獄だからだろうか。トリトンはイメージ広告の先駆として、あるいはアイドルブームの先駆けとして、爽やかな夏の少年として消費されたのである。


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