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05 15
2005

手塚治虫ノスタルジア

『ブッダ』 手塚 治虫


4267015112ブッダ (1)
手塚 治虫
潮出版社 1998-11

by G-Tools

 ブッダの物語であるけれども、ほかの登場人物が主役になって連作になるようなかたちになっていて、その物語のつづきを知りたいがためにつぎつぎ読んだ作品であった。

 ブッダが生まれるまではインドのカーストが主題になる物語が展開されたり、王権の争いが主題にあつかわれたりして、そちらのエピソードが物語をぐいぐいとひっぱるのである。その主人公たちは死んだり、あっけなく殺されたりして、悠久の物語がくりひろげられるのである。静的なブッダの物語にくらべてこちらのほうがよほどおもしろいわけである。

 動物の生命を尊重したり、輪廻の物語が『火の鳥』を上回るほど直接に語られるわけだが、輪廻や霊魂が私にはなかなか信じられないものだから、生命は連関しているとしか捉えようがない。せいぜい壮大な生命連鎖の世界の広がりを感じるくらいである。

 この物語はカースト制度に苦しめられる人たちや国王同士の権力闘争の物語のほうがよほどおもしろく、ブッダ本人よりインド社会の背景のほうが魅力的な物語になっているわけである。インド社会、あるいは人間社会や歴史そのものが主役であるといっていいかもしれない。その物語の中にカタルシスを感じるのである。

 ちなみに私の仏教理解は思考を捨てるための無念無想の方法論と、唯識と華厳経の世界観だけを知っているにすぎない。つまり実用的な心理学的程度しか必要としていない。生命や人生とはなにかといったスケールの大きい問題は、渇望したことがないのである。


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Comment

宗教というより,智慧として・・・。

今晩は。
猛暑日が続いて身体にこたえますね。

どうやら,この作品はアニメ映画化され,来年の5月に全国ロードショーとなるらしいです。

なんと(!) ひろさちや監修なので本格的な作品に仕上がると思われます。

仏教が見直される良い機会になればと,僕は願っているんです。

今、カール・ユングの『分析心理学』(みすず書房)を読んでいます。

いつの日か、ケン・ウィルバーの著作にもトライしたいと思っています。

では、また。

たいく~んさん、こんにちは。

「ブッダ」は奴隷少年の第一部がまず映画化されるようですね。わたしもこのブッダにあまり関係ないエピソードがもっとも記憶にのこっています。

ひろさちやはかなり「落とす」人ですから、一休ばりの破戒僧になりそうですね(笑)。

ユングはたしか『自我と無意識』しか読んでいないと思いますが、ケン・ウィルバーのほうが理解しやすいと思います。といってもわたしは初期の作品だけですが。知識のあり方を問うたウィルバーはまだついていっていません。ウィルバーのセラピー本はおすすめです。

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