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05 17
2005

手塚治虫ノスタルジア

『百物語』 手塚治虫


408748291X手塚治虫名作集 (3)
手塚 治虫
集英社 1995-03

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 この物語はけっこう好きである。生きがい探しや人生の充実や幸福とはなにかといったことが語られているからである。

 切腹を命じられた主人公が願いごとの代わりに魂をさしだす契約を悪魔と交わす。願いごとは人生の充実と、一国一城の主となること、絶世の美女を手に入れることである。私は気づかなかったのだが、これはゲーテの『ファウスト』が下敷きになっている。

 これらを手に入れれば、人は満足して死ぬことができるのかといったことが語られているわけである。ふぬけだった主人公がたくましくなってゆくあたりや、魂を買った悪魔のスダマが主人公に惚れてゆく変節など、物語として楽しめた。主人公はそれらが与えられるものではなく、自分から手に入れようとしないと手に入らないことを悟ってゆくわけである。

 人は単純にはこの三つの願いを一度は夢見るものかもしれないが、はたしてこれら三つのものを叶えれば人は満足して死ぬことができるのだろうか。

 またはそれらは魂を売り払うほど価値のあるものかと問うこともできるだろう。現代人ならさしずめ金や安定のために魂を悪魔に売り払っているといえるだろう。魂を売り払った人生が生きるに値するものなのか、この物語を読んであらためて考えてほしいものである。なにかを得るためには大きな犠牲を支払わなければならないということを消費社会に生きるわれわれはあまりにも忘れがちなのである。


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