HOME   >>  手塚治虫ノスタルジア  >>  『ジャングル大帝』 手塚 治虫
05 22
2005

手塚治虫ノスタルジア

『ジャングル大帝』 手塚 治虫


4061086014ジャングル大帝 (1)
手塚 治虫
講談社 1977-06

by G-Tools

 これだよ、この表紙だよ。私がはじめて手塚治虫と出会った作品で、ぼろぼろになるまで読み返したものである。昭和52年、私が10才のときだった。それいらい、手塚の作品を読み漁った。僥倖の時期であった。

 子どものころは動物が好きなもので、シートンの『狼王ロボ』が好きだった私はこの作品のさいしょにあらわれるレオの父親パンジャに憧れたものである。

 きょう、マンガ喫茶で読み返してみてびっくりした。テーマがまったく文明礼賛だったからだ。未開で野蛮で後進的な動物たちをみちびいて、文明の先進的で進歩した知識や技術を教えるという恐ろしく植民地主義的な内容であったとはまったく知らなかった。

 ジャングルの動物たちが言葉や読み書きを教えられたり、道路や宮殿を建てたり、伝染病を進歩した人間の医学によって救われるという極度に無邪気な文明礼賛論だったのである。

 文明をそんなに讃美していいものかと思う。文明の負の遺産を経験しつつある私たちには手放しの文明讃美をもう唱えられないし、劣った文明を優れた文明が啓蒙するという考え方は世界の植民地化のイデオロギーにおおいに利用された歴史を知っているのである。

 もちろんこの作品が描かれたのは戦後まもなくであり、公害もオイルショックも経験しない高度成長期いぜんのことである。だけど高度な文明が無邪気にすばらしいという思想は、たしかにいまでも先進国と日本を比べるニュースからもうかがわれるのだが、もうこういう二分法からは脱却しなければならない。後進国を差別したり、侵略のいいわけに用いられるし、そして人生の意味も空疎になってしまう。私たちはこの後のつぎの時代を迎えているのである。

 アニメのオープニングはこんな感じでした。雄大な音楽がよかったね。(YouTubeの映像はあまりよくないです)

関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top