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06 05
2005

手塚治虫ノスタルジア

『ふしぎな少年』 手塚 治虫


4061086561ふしぎな少年 (1)
手塚 治虫
講談社 1978-08

by G-Tools

 時間を止めることができるようになった少年のSF物語である。時間をとめて大事故の犠牲者を救ったり、殺人事件を防いだりする。

 このような時間をとめるということはまったく現実にはムリな話である。この物語の効用は時間をとめているあいだになんでもできることから道徳の教訓を得ることができるし、または人にはまったくできないことができるという優越感を満足することができることだ。

 この物語が好きだとしたらそれはここに優越感を得ることができるからだ。人はどうして優越感を求めてやまないのだろうか。優越感がなくなれば人は人と応対することすら難しくなってくるし、社会を互角に渡ってゆくことも困難になる。だから人は必死に空想でもいいから優越感を求めるのである。

 だが、優越感はときに差別や蔑視に結びつくし、あるいは人への非難や暴力に結びつく。人が優越感を必要とするとき、他人は虐げられるのである。この優越感と差別のからくりを解体できないものだろうか。

 宗教が言ってきたのは自我や思考をなくすことである。自我とは優越感そのものである。この方法で人は優越感と劣等感から自由になれるのだろうか。劣等感を怖がる人はたとえどんな優越感を得ようとその恐怖から逃れることはできないのである。

 
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