FC2ブログ

HOME   >>  国家と文明の優劣論  >>  『文化ナショナリズムの社会学』 吉野 耕作
05 05
2005

国家と文明の優劣論

『文化ナショナリズムの社会学』 吉野 耕作


4815803153文化ナショナリズムの社会学―現代日本のアイデンティティの行方
吉野 耕作
名古屋大学出版会 1997-03

by G-Tools

 ひじょうに厳密な学術的方法をもちいており、読むのに少々疲れたが、よく読まれる日本人論がどのようにナショナリズムと結びついたり、どのような消費のされ方をしているかなどが分析されており、知識社会学という分野はあらためて重要だと思った。

 日本人論はたくさん出され、たくさん読まれているのだが、それは企業内連帯や集団的和を重視する経営・支配イデオロギーになっているとされる。

 日本文化論の手にかかれば、企業や国家への忠誠や献身は、日本民族の性格に由来するもので、支配や強制によってつくりだされるものではないという正当化のイデオロギーに化する。

 日本人同士では以心伝心で心がつたわり、集団的和を重視し、自己主張しない――そのような日本人の規定を聞かされて、われわれは知らず知らずのうちに日本的規範と思われているイデオロギーに従うのである。

 70年代から80年代にかけて日本人論は最盛期をむかえたが、その説明理論は現状の肯定や受容、あるいは従うべき規範と感じられたり、または国民的統合をうながしたり、独自性や優位性を感じさせたりするものであったのだろう。

 なによりもそれが権力の正当化イデオロギーとしてもちいられたとするのなら、どんなに脅威であり腹だたしいことか。

 学問であれ知識であれ、どのように政治にもちいられるのかという知識社会学的視点はたえばふところに忍ばせる必要を感じさせた。

 この本により読んでみたい参考文献を何冊か見つけたが、私が追究したいのは多く紹介されている日本人論ではない。学問や知識がどのようにイデオロギーやナショナリズムとして作用しているかということである。知識の政治性を問いたいのである。迷い込まないようにしたい。


関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

Kindle本、2冊発売中です。

google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
FC2カウンター

Page Top