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07 25
2005

国家と文明の優劣論

『人種概念の普遍性を問う』 竹沢 泰子


4409530305人種概念の普遍性を問う―西洋的パラダイムを超えて
竹沢 泰子
人文書院 2005-02

by G-Tools

 がっしりしていて、分厚いこの本は、所有するだけで高級感がもてる本にしあがっている。といっても、しっかりと頭に入れられなければ何の役にも立たないのだが。

 500ページを越すこの本は読むのにだいぶ時間がかかった。まったく興味がないのでも、またとくべつに衝撃をあたえた一文にも出会わなかった。人種についての本がげんざいではかなり少なくなっており、いきなりこのような大部な著を読まなければならなかったわけである。あまりにも多くの事柄に言及されており、頭の中で整理するのがむずかしいというものだ。

 私は人種差別にとくべつの問題意識や危機感をもっているわけでもない。科学がそのような差別的言説にどのように利用されてきたかを知りたかっただけである。つまり科学の政治学である。

 科学が客観的・中立的立場を逸脱して、集団差別や序列に偏向するような知識をつくりだしてしまうことに、警戒感をもって読んだわけである。つまりは科学も自文化中心主義や自民族優越主義から逃れられないのかという問いである。

 科学者たちは他民族の頭骨のサイズをせっせと測ったりして彼らを劣位に序列づけたりしたのである。科学というのは人類の優劣序列を正当化するために存在するのかと思ってしまう。

 この本はさまざまな学会からの論文があつめられている。ヨーロッパや北米の人種、近代日本の人種、中国やインドの人種概念、また生物学による人種概念などかなり包括的な報告書となっている。

 「人種差別の本質は、集団的な差別であり、人種はそのための標識として使用されているにすぎない」――問題は人種ではなくて、集団への差別観にあるのだろう。集団が争い合うという恐怖がなくならないかぎり、新たな差別標識は再生産されるというものである。


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