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01 18
2020

セラピー・自己啓発

憎しみの自己正当化――『2日で人生が変わる「箱」の法則』  アービンジャー・インスティチュート

 

 この本は自己啓発のジャンルなのだろうか。ときに政治思想ではないかと思う節もふくんでいる。

 前作で疑問に思っていたことが、この続編ではその理由がよく説明されている。すなわち自分にそむいたときに、他人の過ちが急にふくれあがるのか、自己正当化はなぜそのときに必要になるのかということだ。

 「箱」というのは、他人を責めて自己正当化をおこなう立場の象徴のことである。他人を責める人は、「相手がまちがっていて、自分が絶対に正しい」という箱の外から出ることはない。私たちの言い争いやいさかいは、たいがいにこの箱の中に完結する。

 ある意味、普遍的な争いの関係を簡潔にのべた本なのだが、ジャンル的に軽いと思われる自己啓発なので、この箱という表現がどこまでちまたに通用するのか残念に思える。

 心が敵対的なとき、他人の過ちを誇張しがちになる。自分を正当化してくれるものを過大に重要視し、いちじるしく重要なものになる。

 箱に入り、人を物と見るようになれば、自分を正当化するために自分がこうむった不幸性やひどい扱いと苦しみにこだわるようになる。さもないと、自己正当化はその成果を達成できない。

「敵対的な心は、それを正当化するために敵を必要とする。平和より敵と虐待を必要とするのです」



 人はいかにこの「被害者」の人間関係パターンにはまりこむことか。じつに多くの身近な例を、あなたも見たり、体験したことが思いつくだろう。

 しかもこの被害者は自分がひどい扱いをうけていると確信すればするほど、他人をひどく扱っていることに気づきにくくなる。被害者が不正をなくそうとして、「迫害者」として立ち上がることになる。

 この本の中にも例があげられているが、DVの夫を憎むあまり、自殺に追い込むことまで画策していた女性が、箱から外に出て、夫を人と見るようになれば、彼から離れることができるようになった例がある。

 愛していないことを正当化する必要がなくなったために、彼の弱さも見れて、苦々しさの重荷も背負わずに離れることができるようになったのである。箱の中は人間を憎悪や残酷さの極みにまでもちあげるほどの自己正当化の箱と化すのである。

 争いやいさかいの最中には、人がいかにこのような箱に入ることになるか、身近な例を散見しないわけにはいかないだろう。憎しみや憎悪に囚われている人は、まずまちがいなく、いかに自分がひどい目にあったかの証拠をかき集めようとするだろう。

 「現実の虐待に苦しんでいる人が虐待者を憎むのはまちがいというのか?」という疑問もこの本で答えられているが、箱の外に出て人と見るようになると、かれの弱いところや世界の見え方が変わるといっている。自己正当化の憑き物が落ちるのである。

 私たちはじつにこの他人がいかにひどくて、自分が正しいかの自己正当化のパターンにハマることだろう。そういう憎しみや恨みの最中にはまってしまっているのなら、この本を思い出すべきである。たんなる客観視が、自分の見方を大きく変えることもある。予防策としても、この本の知識は頭の片隅においておきたいものである。






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うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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