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12 19
2019

幻想現実論再読

その先の世界は怪しくて――『エマヌエルの書』 パット・ロドガスト+ジュディス・スタントン



 非二元は「一なるもの」を語る。仏教は「それ」以降のことを語らず、その展望を与えてくれるのは、この本のようなチャネリングやヒンドゥー教なので、久方ぶりに本書を再読することにした。

 このチャネリングの存在であるエマヌエルによると、一なるものに回帰しようとする魂の進化の過程において、自分が何者かを思い出すためにこの意識のレベルに立ち止まった、転生してきたというようなことをいう。

 肉体は宇宙服のようなものであって、この惑星に転生してきたといった話は精神世界界隈で、ひとつのジャンルをかたちづくっているほどの怪しい一群の話がある。まあ、この怪しさはおいておいて、ブラフマンや神秘思想と共通するようなことも語られているので、そのあたりを選別して参照するくらいが、私のスタンスだ。

「象徴としての”堕落”の意味は
われわれが個別化したおおもとの目的を忘れ
魂の意図したことを忘れて
多様性の中に道を見失うことです。
ひとがどうして神を離れることができましょう
ひとはすなわち神であるのに」



 アートマンはブラフマンであるといったことと同じ内容が語られている。われわれは個別性や個体といったものを当たり前に見なす知覚・認識をもっているために、「一なるもの」「ブラフマン」と一体であるという説明や宣言を受け入れることができない。この世界をどうやってスープやバターのような「ひとつのもの」と見なせるようになるというのだろうか。

「あなたの全意識は
この小さな肉体にはおさまりきらないのです
あなたはどこかで赤ん坊が泣いているのをきいて
それが自分だとわかります
そのように、”自分”というものに同一化できるには
何か月も、いや何年もかかるのです」



 はたして、われわれはこのチャネリングの存在がいうような広大無辺な存在なのだろうか。だとしたら、どうしてこの肉体と感覚でしか世界を感じられないのだろう? この肉体と感覚を抜け出すことは、われわれにはできない。霊の存在を信じることができれば、そのような展望が広がるというのだろうか?

「怖れの強さは
あなたがそれを避けようとする強さと同じです
怖れを見ることに抵抗すればするほど
受けいれて抱擁することに対抗すればするほど
あなたがたは怖れに大きな力を
与えてしまいます」



 これは恐怖は幻影にすぎないのに、抵抗すれば、それが実在しているかのように思えてしまうことをいっている。人はたいがいは感情を「物体」のように捉えて、それを力づくでなくしたり、消そうとする。そのことによって、その「実在」を強く固く信じる過ちの泥沼にはまってしまうのである。これは心理学では教えてくれず、精神世界でないと手に入らない知恵である。

「いまこの時点での唯一の違いは
あなたの五感がいま記録しつつあることを
あなたが信じているということです
あなたは五感の力を受け入れ、
その制限を自分に課しています
あなたがその信念を超えて、身をのばすとき
あなたは自由、あなたは故郷にいるのです」



 チャネリングの存在は外部からこのように語ることができる。人間は人間の知覚と五感を超えた世界を知ることはできない。人間である私はこのようなことはほんとうなのかと疑うことしかできない。

「あなたは痛んだり叫んだりする
物資的肉体をもっています
自分を引き裂くような感情をもっています
そうした苦悩のおりには、ぜひ
それを経験しているのはだれかと
みずからにたずねなさい
経験していることを感じながら
その中にのみこまれず
観察している者がいます
それが”光”をもたらす者になるでしょう」



 神秘思想や禅におなじみの、見ているもの、聞いているものはだれなのか、という同じ問いが語られている。チャネリングは神秘思想と共通のことを語っているのである。

 まあ、仏教はこの次元まで語らない。手前で沈黙する。文字にされれば、このような「怪しい霊的物語」が描かれてしまう。仏教もこのような「怪しい世界」をめざしていたのでしょうか。まあ、こういう世界観もあるのだという参照するくらいしかない。

 ちなみのこの本はVOICEから出版されていて、透明なプラスチック・カバーの凝ったつくりだったのだが、おおよそ25年くらいの月日のうちにぱりぱりと破れてしまった。この世のはかない物質の世界をあきらめて、永遠のものを求めなさいといわれそうだ。





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うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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