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09 29
2019

幻想現実論再読

身体の内と外の過ち――『プレゼンス』 ルパート・スパイラ

プレゼンス―第1巻 安らぎと幸福の技術(覚醒ブックス)
ルパート・スパイラ
ナチュラルスピリット



プレゼンス―第2巻 あらゆる体験の親密さ(覚醒ブックス)
ルパート・スパイラ
ナチュラルスピリット (2016-07-21)



 非二元やアドヴァイダといった流れがいつ生まれ、どのように広がったのかの概括を知らない。ナチュラル・スピリットという出版社が「覚醒ブックス」というレーベルで単一的に出しているだけなのか。

 トニー・パーソンズやダグラス・ハーディング、デヴィッド・ホーキンズといった人が著名なのか。

 このルパート・スパイラのこの本はネットでもあまり評価を見ることはできないのだけど、この『プレゼンス』という本は私がとても興味深いと思っているテーマを語っているのだが、残念ながら、かなり理解がおよばない。

 すなわち「身体の内側の私」と「身体の外側にひろがる物質の世界」という常識的な認識・思い込みを溶かそうとする内容にみちた本である。これは理解したいと思って読みすすめるのだが、いろいろ角度を変えて語ってくれても、頭の中に霞がかかったような、目にやにがついたような不分明な状態になる。

 非二元はこのような二元論的な認識を溶かす試みなのか。だとしたら、とても知りたい内容だ。

 「身体の、頭の中の内側にいる私」という思い込みはとても強い。これ以外のどんな認識があるのかと思えるほど強固だ。ルパート・スパイラは、これは思考がラベルを貼ることによる誤った認識であって、じっさいには「気づき」しかないのだという。「体験」だけが存在する中に、言葉や思考が、身体と外側というラベル・二元論を貼りつける。そのことによって、身体に同一化したわれわれは苦悩や悲嘆というおなじみの思考のはたらきにさいなまれることになるという。

 わたしたちは、「心や身体ではない」というのである。「気づき」というものにとって、心や身体は外界とおなじように「対象」である。思考が誤ってそれに同一化してしまい、それが人生の習い性になる。しかし「気づき」というものに、主体をおく考え方がどうもなじめない。言葉が分割する以前にはたしかに、分離されないひとつの感覚や気づきがあるだけだ。これはヒュームも語っている。感覚も対象だ。ただ気づきだけが残る。

 ルパート・スパイラは、禅やエックハルトが語っていたような「見るもの」と「見られるもの」は分離されておらず、一つであるという言葉を、かなり平明でやさしい言葉で語る。禅やエックハルトはそれについて語っても言葉を費やさない。しかしルパート・スパイラは言葉は尽くして語ってくれるので理解が届くと期待するのだが、霞がかかったように手が届かない。

 これはほかの人の語り口や文脈を必要とすると思う。ある人が語ってもわからないことが、ほかの人の言葉や指摘によってようやくつかめたりする。ルパート・スパイラは、私の腑に落ちる言葉や文脈で語ってくれる人ではないのだろう。

 ルパート・スパイラはウスペンスキーやクリシュナムルティ、ラマナ・マハラシ、ニサルガダッタ・マハラジといった精神世界の著名人に学んだ人だ。身体の内側の私と、外側の物質の世界という認識を集中的に語る人はそういなく、手つかずの分野だから、このルパート・スパイラには期待したのだけどね。ケン・ウィルバーだって、境界の消滅を探索した人だけど。

 「分離された自己」や「身体の内と外」というテーマを非二元が多く語っているとしたら、私の強くひかれるところだ。ただこのテーマには思考の癒しが弱い部分がある。身体の同一化が弱まれば、誤った思考の悲嘆も弱まるというようなことをいっているのだが、どうなのだろう。

 この本は図書館で借りたけど、理解はおよばなかったが、手元にはおいておいて、いつか再チャレンジの機会がほしい本と見なせる。


今、永遠であること(覚醒ブックス)悟りを生きる ― 非二元へのシンプルなガイド ―(覚醒ブックス)存在し、存在しない、それが答えだ(覚醒ブックス) (- To Be and not to be, that is the answer - (覚醒ブックス))<わたし> ―真実と主観性(覚醒ブックス)ダイレクトパス(覚醒ブックス)


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うえしん

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世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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