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08 31
2019

書評 社会学

だれかを見下げる人、要注意――『他人を攻撃せずにはいられない人』 片田珠美



 この本ではおもに他人を無価値化して、自分の優越感や支配欲を満足させる典型的なDV夫のような人物が想定されている。職場でも部下を叱責したり、罵倒したりする人物もカバーされている

 ただ攻撃欲が強い人はこの類型だけかといえばそう思えなく、ほかに体育会系の暴力コーチとかはこういう心理メカニズムに従っているのか疑問だし、毒親のような親子関係のほうはふれられていないので、攻撃的な人のほかの類型がとりこぼされているような気がする(著者はその後、毒親をカバーした本を出していますね)

 たとえば片田珠美はネットで叩かれたこともあるので、ネットで攻撃的な人物を俎上に上げているのかと思っていたら、この本でほぼネットでの言及はない。炎上はこの本が出た2013年より後だったか。ネットで攻撃的な人は、ただ自分の優越感や自尊心を高めたいがだけに、攻撃的になっているのだろうか。

 DV男のやり方というのは、妻をおとしめて価値観を下げつづけたり、無能だといって妻の抵抗力をなくしてゆき、罪悪感や無価値観をかかえこませて、DV夫に依存や支配させられてゆくというものだ。このシーソーのような関係によって、男は優越感や支配欲、万能感をずっと維持できるというわけである。

 要は自分の優越感のために、他人をおとしめたり、さげずまないと、自分の自尊心を保てない考え方をもっているのである。他人をおとしめることでしか、自分の優越感を満足させる方法しか知らないのである。優越感は他人とのシーソーで成り立っている。こういう考え方しか持てないと、周囲との友好的な親和関係や信頼関係を築けなくなってしまう。

 犠牲者のターゲットになりやすい人は、自分の価値の否定や、大切な領域の侵害を、自分から守れない人や自己防衛が苦手な人であったり、不和や葛藤を避けたり、愛情を失うことの恐怖をもっている人、ポストとか金銭の利得を失うことの恐れをもっている人などが、ターゲットになりやすい。自己否定を元からかかえているような人が、獲物としてかぎわけられてしまうのである。

 自分の自尊心を維持するために他人を攻撃したり、おとしめたりするしか方法を知らないので、とうぜん周囲とは信頼や友好関係が築けず、他者やまわりが恐くなるので、ますますその方法から抜け出れなくなる。

 他人の価値を引き下げることが、自分の優越感を維持するゆいいつの方法である。けっきょくはその方法では、信頼や友好を築くことができないので、ますます無力感や自信のなさをかかえこむことになるので、その恐怖から攻撃の防御をおこなってしまうしかなくなる。このような人はその恐怖のメカニズムを見透かすことが大事である。攻撃は最大の防御のような典型的な人を、目の前で見ることができるだろう。

 もうこのような人は自分の行動パターンの由来も理由も、みずからで把握することはむずかしいだろう。著者ももうお手上げだから、できるだけ避ける、話さない処方箋をすすめている。じっと観察して、その恐怖のメカニズムを見抜いて、攻撃に感情的に対処せずに冷静に相手にしない態度がのぞまれるのだろう。

 自分の自尊心や優越感を維持する方法が、自分をそのような攻撃的で他者をおとしめる方法を必要としてしまうのだ、本人はそのことにいつか気づけることはあるだろうか。

 比較や競争で、たえず他者と上下や優劣を比較される社会である。中には他者をおとしめ、さげずむことで、自分の安心や安堵が得られるんだと学習する人もいるだろう。そしてその方法を選択したときに、まわりとの友好や信頼はつき崩され、ますますその方法にしがみつくしかない不幸な道しか残されていないのである。だれかを見下げることで、ほっと自分の優越感や安堵を感じる人は、それが嵩じないように気をつけなければなりませんね。


[図解]他人を攻撃せずにはいられない人「自分が絶対正しい! 」と思っている人に振り回されない方法文庫 他人を支配したがる人たち (草思社文庫)子どもを攻撃せずにはいられない親 (PHP新書)ゆがんだ正義感で他人を支配しようとする人 (講談社+α新書)


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