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02 06
2019

TV評

薄かった――『90年代テレビドラマ講義』 藤井 淑禎

 90年代テレビドラマ講義 (平凡社新書)
藤井 淑禎
平凡社 (2018-03-15)



 テレビドラマの学問は可能か。

 童話の分析もそうとうにレベルの高い心理学的、歴史学的なものが出ているので、テレビドラマにかんしても研究は可能だと思っている。文学研究では、純文学と大衆文学に分けられるわけだけど、大衆文学は軽んじられるにせよ、より時代性が出るのは大衆文学のほうだ。テレビドラマに研究ができないわけがない。

 ただこの本はいろいろ疑問に思ったし、あまり感銘をうけたわけでもない。薄い分析がつづいた感じ。

 テレビドラマというのは好き嫌いが激しいし、見てないもの、覚えていないものもかなりあって、どうも最初のその段階で相性が悪いというのもある。

 この著者は脚本家の野沢尚と野島伸司を高く評価していて、00年代からはそのようなレベルの高いドラマは凋落し、「冬のソナタ」の韓流ブームで完敗したという評価である。

 個人的には私は90年代のドラマはチャラチャラしたものが多くて見ていなかったり、仕事で見られないこともあって、評価以前の話かもしれない。野島伸司はセンセーショナルな道具の詰め合わせで惹きつけるので、私はさいしょから評価していないし。まあ、こんなのは個人的な好き嫌いで、客観性がどれだけあるかといわれれば怪しいわけだけど。

 野沢尚の『親愛なる者へ』と野島伸司の『高校教師』を高く評価しているのだが、前者は見てないし、後者はセンセーショナルのウリだけと思っているし、著者のこの本の説明にも心を動かされなかった。

 『青い鳥』と『恋人よ』は技術の話だけで終わるし、『若葉のころ』と『スウィートシーズン』は聖地巡礼の話だけで終わるし。

 『Days』は地方から東京に出てきた若者の話で設定はすばらしいが、三角関係のダメダメ話ばかりで、90年代の良作以降のダメドラマとして批判される。私は見たことはなかったのだが、You Tubeの最終回前のダイジェストを見て、この三角関係は、それぞれのキャラに、夢をもつか、流されてゆくだけかの対比が造形されていて、けっして好いた腫れたの恋愛感情だけではないと読めたのだけど。

 あれ? 近代文学の名誉教授にしてはずいぶんと薄い分析ばかりと思えたのだが、まあドラマという大衆のメディアは好みや主観がじゃまして、偉い人の分析も色メガネで見てしまうのかもとお茶を濁そう。

 この著者は昭和三十年代の流行メディアを分析した『純愛の精神誌』という本も読んだことがある。もう記憶にはない。



▼私の薄っいドラマ変遷のコラムです。
 「なつかしのテレビ・ドラマ40年史





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