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10 29
2018

幻想現実論再読

マインドフルネスはうつに効くのか――『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』 大田 健次郎



 マインドフルネスがうつ病に効くといっているのかとたしかめるために、そういう本を探した。

 図書館でマインドフルネスを検索すると、ことごとく貸し出し中で、図書館ではマインドフルネスがしずかにブームらしい。ジョブス、GoogleなどのIT企業からのすすめが効いているのか。源流のヴィパッサナー瞑想も上座部仏教も活況を呈していて、医学から入ってきた流れの強さをうかがわせる。

 たんじゅんにいって、感情は思考によってもたらされるのだから、その思考をなくせば感情もなくなる。ごくかんたんな原理だ。しかしその原理さえもいきわたっていないのが、一般の社会ではないのか。感情の原因は他者や出来事そのものだ。この感情と思考の因果は、認知療法がいってきたので、マインドフルネスを合体させた認知療法も唱えられるようになっている。

 この本は自分でできるワークブックになっている。セッションや課題がぶちぶちに分かれていて、わたしにはまとまった、整理できた知識がまったく入ってこないように思えた。途中で、自分がなにをやっているのかまるでわからなそうに思えた。わかりやすく、細切れに、ていねいに順番をつけているのだが、ぎゃくにそれが仇になっているように思えた。

 人がさいしょに知りたいのは、このマインドフルネスという方法が効くのか、なぜそれは効くのか、思考や感情の因果をしっかりと知ることでないのか。その原理や説明をしっかりとつかまないまま、セッションに入っていっても、なんだこれ?しか思わないのではないだろうか。

 著者は自身でうつ病を直した経験により、定年退職後に仏教学をあらたに学びなおして、93年ころから支援活動をおこなってきた人である。こういう医療系でない人は信頼できるのかという思いもあるだろうし、ぎゃくに自分で治した経験をもつ人のほうが信頼できるという向きもあるだろう。選択は、自分の知識がためされることになる。

 わたし自身の経験からいっても、瞑想は鬱的な感情の霧を晴らす効果をもたらしたので、これは効くと思うのだが、これまではうつ病に使うには注意が必要だという但し書きをよく見てきた。うつ病的な人は、完璧主義者なので、思考を流せない、思考を消せないといってよけいにうつをこじらせるのだという注意だ。

 それには思考と感情の原理や、思考といったものがなんなのかという原理面での理解がまずさいしょに必要になる。だからいきなり瞑想やマインドフルネスの実践に放りこむのではなく、ちゃんとした前説明が大事になる。原理面での理解がないのに、瞑想やマインドフルネスにいきなり放り込んでも、これはなんだ?くらいしか思わないのではないのか。

 現代人は、思考の価値を固く信じている人たちである。思考を手放すことの意味などまるで知らない。ぎゃくに思考や記憶をなくすことは痴呆や無知、馬鹿になることだと脅されている。だからこそ、うつ病に陥る。その原理を知らないで、思考を捨てよといっても、まるで効果がない。さいしょに必要なのは、思考がなにを見せているのかという理解と、思考を手放せない理由を知ることである。


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世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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