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10 27
2018

読書

図書館初心者の五か月目の感想

 本はながらく自腹主義を貫いてきたのだが、ことしの五月ころに方針変更して図書館利用をはじめて五か月たったので、軽い感想をいってみる。(追記。去年の五月からの間違いでした。つまり正確には「一年五か月目の感想」です。いい加減な記憶ですいません)。

 本の自腹主義は、どこかの本に、本は身銭で痛めた金で買わないと身につかないということが書かれていて、忠実にまもってきたわけだが、図書館はどことなく抵抗があって使わなかった。

 稼げなかったり、失業していても、書店で買おうとしてきたので、お金がないから古本ばかり買うようになり、ブックオフの100円本しか買えないときも、図書館を利用することは考えなかった。図書館の抵抗はどこで生まれたのか覚えはない。

 わたしみたいに専門書志向のものが、ブックオフの一般書の100円本を買っても満足な知識の探究ができるわけがない。稼ぎもそうとう悪いので、とうとう図書館利用に踏み切った。

 図書館は積年の恨みのように、高すぎてあきらめて買えずにいた高額な単行本がいくらでも読める。現代思想の単行本を読んでいるときは、高くても単行本を清水の舞台から飛び降りる気持ちで、五千円とかの高いお金も払っていたものだ。そういう本が、図書館ではいくらでも無料だ。歴史書関連の高いハードカバーは、図書館で読むべきものだろう。

 図書館は古い本が多いので、新刊や話題書にはついていけないだろう。ヒット作は図書館にあっても、貸し出し予約が何か月も先まで埋まっていて、まずは読めない。

 わたしみたいに新刊なんてぜんぜんこだわらず、古い古典書のほうを読みたい者には、図書館は宝の山だ。わたしはだいたいは、自分の疑問やテーマの沿った読書をするので、新旧なんかぜんぜんこだわらず、むしろ古い古典のほうがありがたい。そのテーマに合った本がどれだけたくさんあるかが重要だ。新刊書店なら、そのテーマの本がとぎれることがあり、また高すぎて買えずにテーマを終わらせることも多々あった。図書館では、テーマ関連本は無尽蔵に近いほどありそうだ。

 じつは高い本を買うかの判断も自分の価値観を如実にあらわすもので、是が非でも手に入れたい本はハードカバーでも買おうとする。あまり価値がないと思うと、文庫や新書から上の高額な価格には手を出そうとは思わないものだ。

 大学生のころは新潮文庫で海外や日本の文学をたくさん読んだが、現代日本の小説はハードカバーで読もうとは思えなかった。三年後に文庫になるのを待った。ただアメリカのポストモダン文学だけは、ハードカバーで買った。自分がどれだけそれに価値を賭けられるかということも、本の値段はあらわす。文庫や新書で買うか、ハードカバーでも買うかということは、自分がどれだけそれに価値を賭けられるのかというホンネもあらわすのだと思う。

 現代思想や社会学の高価なハードカバーを買っていたときも、文庫がなかったということもあるが、それを買うだけの価値があると判断していたわけだ。現代日本の小説は、ハードカバーで買おうとも思えなかった。

 しだいに稼ぎが悪くなり、わたしは古本ばかりで買うようになり、しまいには文庫や新書の古本ばかり狙うようになった。これはある意味、本や知識にたいする価値観のホンネをあらわしていたのかもしれない。本にそこまでの金を賭ける価値がないという価値下落を、体現していたのかもしれない。労働のあまりにキツイ対価にたいして、知識の価値も、私の中で落ちていたのかもしれない。

 だけど古本ばかり漁って、それもブックオフの一般書しか読めなくなると、さすがに満足な読書がぜんぜんできなくなる。専門的な本も読みたいけど、労働のキツイ対価を贖うものとしての高額な本にも手を出せない。そういうジレンマを解消するところに、図書館があったのだと思う。図書館にこんなに抵抗があった理由が、もう思い出せないが。

 図書館はやはり区の図書館ではぜんぜん専門書がなくて、市の中央図書館のように蔵書数が多い図書館でないと、話にならない。だから一時間もかけて、中央図書館にいく。大阪市では、府立と市立があって、いずれも190万点ある。(「全国の図書館 蔵書数ランキング」) ほんと中央図書館しか使い物にならない。

 図書館は、新刊書店とかなり様相を異にする。だいたいは古い本の蔵書になっていて、新進代謝はかなり悪く、新刊書店や新しい話題書はまずあきらめたほうがいいかもしれない。古くて、古典的な位置づけの本は確保されているほうなのだろう。

 なにより単行本主義であるから、安い稼ぎしかなかったわたしには、高くてあきらめていた単行本が山のように読める。これはかなり大きなことで、稼ぎが落ちるごとに文庫や新書だけに低落していったわたしには、垂涎の光景である。それも無料、こんなに気軽に高価本が手に入るなんて、僥倖でしかない。しかし、なんでここまで図書館に抵抗があったのだろう。

 これまでの積年の恨みを果たすように、高価な単行本が山のように読めて、わたしのこれまでのムダな年数を思うのだが、取り戻す楽しみはある。まあ、図書館にない単行本もあるわけで、図書館が新刊書店の代用をすべて果たすとは思えない。新刊書店で読みたいと思っていても、図書館ではないということも多くあるし、図書館が新刊書店の新陳代謝に追いついて、新刊書店並みの回転率を誇るようには、とても思えない。

 単行本の渇望を満たすものが、公共図書館であったとは、これまでのわたしの不覚である。

 ほかの人が図書館をどのように活用しているのかまったく知らないので、ちょっと自分の頭を整理するつもりで書いてみたが、長年図書館を利用している人は、新刊書店とどのように組み合わせているのだろうか。もちろん新刊でほしいときは、書店を利用するというかたちになっているのだろうが。図書館の無料にあまりにも慣れすぎると、書店の新刊情報にうとくなる。無料で本がいくらでも読めるのだから、お金を出して本を買うのがもったいないとなる。しまいに新刊情報がまったく入ってこなくなりそうだ。うまい組み合わせをつくってゆく必要があるのだろう。

 図書館と似たサービスとしてアマゾンのアンリミテッドがあり、月千円くらいの会員価格でKindle本が無際限に読める。月数千円の書籍代を突破する人は完全にモトがとれるサービスである。ただし新刊や話題書は読めないらしく、図書館の古い本の蔵書にいくらか近づくのかもしれない。本の電子書籍化もまだ全般に広がっているわけではない。図書館に勝っているのだろうか。

 ちなみに図書館で借りた本は赤線も引けないし、感銘をうけた文章も残せないが、わたしはクリアースキャナーというスマホのアプリで、残したい文章を写真状に残している。貸し出しは、手元に残せない不満がのこるが、このスキャナーは重要部分をのこしてくれるので、だいぶ補えている。


図書館「超」活用術 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける図書館徹底活用術文庫 ヘッセの読書術 (草思社文庫)<問い>の読書術 (朝日新書)本を読む本 (講談社学術文庫)


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うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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