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08 22
2018

神秘思想探究

判断できる立場にありません――『無我の体験』 バーナデット・ロバーツ

4864511403無我の体験
(覚醒ブックス)

バーナデット・ロバーツ
ナチュラルスピリット 2014-10-23

by G-Tools


 この体験記は手ごわすぎて、わたしは判断できる立場にはいない。

 ワンネスの世界観はほかの覚者とおなじことをいっているように思うが、それにいたるまでの苦悩の体験記が、ときに離人症的なものではないかと思えて、この道筋はほかの人もたどる道ではなく、自己概念のありかたが違うことによって、異なる認識順序があるのではないかと思える。

 この本は修道会やふつうの主婦として生きる女性が、自己喪失や沈黙といった体験をへることによって、神秘体験の意味を知ろうと格闘する体験記である。師が教えをあたえる本ではない。

 自己喪失や沈黙に支配されることによって、身体の感覚を動かすことさえ困難な状況に彼女はおかれるのだが、それは幽体離脱のような状態に似ているともいえるし、これは宗教的法悦とよべるものではなく、離人症的な症状であるといえることもできる。わたしはその疑惑にたえずいったりきたりした。

 考察の部分でいっていることだが、彼女は感情的自己をうしなうことを恐れる認識構造をもっている。それを失う恐れが、彼女に独特の感覚世界をもたらしたとも考えられる。

 彼女はキリスト教文化圏に生きていて、東洋宗教的な無我の知識はほぼない。仏教を読んでもなじめず、トマス・マートンやエックハルト、トマス・アクィナスに範をとるくらいしかできない。キリスト教文化圏では、無我の経験はただ驚くものでしかない。

 まあ、わたしにはこの体験記を判断する場所にはいない。整理も位置づけもできない。せいぜいワンネスの世界観を仰ぎ見るだけである。

「これが、私の行き着いた結論でした。究極の真実とは、すべては虚無であり、自己はその虚無を埋めるものに過ぎない、そして人の言葉とは、真理も知らず、不可知に耐えられない自己が発した無意味なものであるということです。
…ゴールには空虚しかないことも知らず、いまだに探し求めている人を気の毒に思いますが、忠告する気もありません。なぜなら真実を知っても人生がより良くなるわけでもなく、ただ延々とそれは続いていくからです。」



「私はずっと、自己が崩壊した後の「無我」の沈黙から大いなる不可知のもの、すなわち「神」が示現するのではないかと期待してしました。けれども、最後に無我の沈黙さえも消滅してしまったときに、この考えも誤りだったということに気づきました。…むしろ、初めからずっと神はいたのです。しかし、「それ」を目にする前に、私は内側の沈黙や虚無と同じものが万物に浸透していることを体験しなければなりませんでした。しかし、非局在的な無形の大いなる沈黙こそが、「遍在するすべて」であるということを体験したとき、ついに「それ」を目にすることができたのです。」



「というのも、「一体性」、あるいは「それ」は対象ではないので、注目したところで目に見えるものではないからです。むしろ、それは行為なのです。言うなれば、神は「見る者」でも「見られる物」でもなく「見るという行為」なのです。」



「そもそも心に「自ら投影する」という機能がなければ、思考をする人も、行動を行なう人も、感情を感じる人もいなくなってしまうので、自己はおのずと存在できません。この自律的な心の機能のおかげで、初めて心は自らを認識できるのです。とすれば、投影機能によって心が自らを「対象」として認識するということは、意識の領域では、「主体」が「対象」と一致します。言い換えれば、意識の世界では何かを見たり聞いたり触ったりできる感覚が対象となるのではなく、常に「自ら(主体)」が「対象」になるのです。つまり、「自己」あるいは、「主体」の正体とは、心が自らを対象として見ているものだということになります。」




神はいずこに―キリスト教における悟りとその超越意識に先立って ― ニサルガダッタ・マハラジとの対話存在し、存在しない、それが答えだ (- To Be and not to be, that is the answer - (覚醒ブックス))「私」という夢から覚めて、わたしを生きる―非二元・悟りと癒やしをめぐるストーリー(SIBAA BOOKS) (シバブックス)瞑想の種子 (1965年)


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B07GGN2R27思考を捨てる安らかさ
うえしん
2018-08-14

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Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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