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02 03
2018

幻想現実論再読

撃沈です――『モノたちの宇宙』 スティーヴン・シャヴィロ

4309247652モノたちの宇宙:
思弁的実在論とは何か

スティーヴン・シャヴィロ Steven Shaviro
河出書房新社 2016-06-28

by G-Tools


 かなりのところ撃沈である。あらかたの概念の操作がなにをいっているか捉えられないという屈辱の読書をした。

 思弁的実在論について語った本であるが、わたしは言語・概念の非実在性をとなえる立場なので、概念の対象は実在すると主張するとされる思弁的実在論はなにをワカランことを語っているのかと、反発を感じていた。そこでどのような論理でこの立場が主張できるのかと読んでみたのだが、その概念までには届かなかった。

 思弁的実在論の入門書として読めばイタイ目に会いますね。この本はこれまでの思弁的実在論の整理をしているような本で、ホワイトヘッドの思想の再評価ももくろんでいる本である。たくさんの思想家や哲学者が出てきて、この思想の交通整理をしているような本なので、入門書としてはほど遠い。

 第五章の「汎心論がもたらす緒帰結」という章で、岩には精神があるという考え方の検討がなされているが、ゆいいつこの章だけはわかるほうだった。

 科学の時代には、生物と無生物が厳然と分けられているのだが、古代の人はあらゆるものに精神の存在を見いだしていた。岩や泉に精霊が宿るというのは、汎心論である。精神と物質に分けると、対象としての物質でしかない動物は機械や意識のない反射行動体になるし、自分以外の他者は物質でしかないわけだから、独我論的な利用や道具としての関係を築いてしまう。世界のあらゆるところに精神を見いだしたほうが、人にも地球にもやさしいのである。

 どうもこの本では、カントの主観は「物自体」を語ることはできないというテーゼに反論を挑んでいるような本で、20世紀に入っての言語論的転回や記号論的な思想を、「相関主義」という言葉でくくって、その立場を崩そうとしているらしい。わたしは言語や概念の虚無性、非実在性からもっと舞い上がろうとする立場なので、ほんとにこの立場と相いれない。

 わたしはまだ神秘思想的な探求をおこなっている。言語やこの世界のマーヤー・幻想を語る立場である。だから実在論とかの立場とは論敵だと思うのだが、むかしの実在論や唯名論といった思想の展開もくわしくは知らないので、ちょっとこのような本にも手を出してみた。

 マルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』も売れているようなので、反発を感じる潮流がどうなってゆくのか、動向にすこしは目を配りたい。


有限性の後で: 偶然性の必然性についての試論なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)人新世の哲学: 思弁的実在論以後の「人間の条件」ホワイトヘッド著作集 第12巻 観念の冒険ホワイトヘッド著作集 第10巻 過程と実在 (上)


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うえしん

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