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2017

おすすめ本特選集

2017年、ことし読んだおすすめの本 神秘思想ざんまい

 2017年は、神秘思想の本ばかり読んでいました。

 二十年前にトランスパーソナル心理学に出会って、その探究はしばらく下火になっていたのですが、ハラリの『サピエンス全史』の共同幻想論に出会うことによって、もういちど再考してみようかということになり、早や一年がたちます。

 したがって再読したすべての本は、わたしのおすすめになります。

 新しく出会った本のなかではおすすめは、三冊ほどしか出会えなかったといえます。

 ニサルガダッタ・マハラジの『アイ・アム・ザット』と、井筒俊彦『意識と本質』、シャンカラ『識別の至宝』がその三冊になります。

 ニサルガダッタ・マハラジは言語や観念の非実在をしっかりと語っていますし、井筒俊彦は言語化の極みをきわめた神秘思想だといえますし、シャンカラは古びた宗教観ともいえますが、ブラフマンの区別なき世界を知るには圧倒的です。

 アイ・アム・ザット 私は在る―ニサルガダッタ・マハラジとの対話意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)識別の宝玉 完訳「ヴィヴェーカ・チューダーマニ」


 あと神秘思想ではないですが、映画のほうが好きで14回も見てしまった七月隆文の『ぼくは明日、昨日の君とデートする』もあげておきます。これは「いま・ここ」、「一期一会」の思想を、物語化した作品だと思っています。過去を共有できず、はじめての出会いは最後の別れ、この一瞬、瞬間にはそういう意味がふくまれているのではないでしょうか。

 ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)


 神秘思想や仏教は怪しくて非科学的な俗信であると思われる方もたくさんいると思いますが、これは言語の非実在性という言語を否定した思想だと見なすなら、そのラディカルさや根源性もわかってもらえるかなと思います。

 神秘思想は神や超越的実在との合一をめざすものと思われていますが、それには言語の否定、言語の非実在性を悟ることが不可欠になります。

 現代社会は、言語や思考の否定や害悪を知ることはほとんどありませんね。その道具はどんなマヤカシをつくるのか、どんな過ちに陥らせ、どんなトリックに騙されるのか、ほぼ考えることはありませんね。神秘思想や仏教というのは、言語フィクションの否定です。

 言語を手放しに推奨される社会で、思考の害悪に気づいたわたしは、瞑想によってむりやり「思考を捨てなければならない」とこの探究をはじめましたが、こんかいはその非実在性の実感にだいぶ近づけました。

 言語の非実在を実感することによって、実在と思われているものに歯向かい、抗うことは、存在しないものに向かってむりやり戦おうとすることだということも、よくわかるようになりました。

 言葉や思考、または感情といったものを実在すると見なしていると、むりやりそれを省いたり、変更したり、なくしたりしなければならないと思いますよね。恐怖という感情の実在性を感じていると、それをむりやり省こうとして、その感情にもっと力を与えてしまうことになります。いわゆる神経症や恐怖症といったものは、心の実在視からおこる間違った行為にあることが見えてきます。

 言語や思考の手放し賞賛の社会では、言語の実在化、目の前に本当にあるかのように思う錯覚に陥っています。その問題に気づかせるのが神秘思想や禅だったと思いますが、宗教や神の教義を否定する我々の社会では、そのアプローチすら閉じられているといえます。


 ことしは図書館をはじめて使いはじめました。本の自腹主義にこだわっていて、なぜか図書館には抵抗がありました。稼ぎがないのに、失業期間中でもなぜか図書館を利用せず、ブックオフのどうしようもない一般書ばかり読むことになっていました。

 図書館は中央図書館のような蔵書の多いところでないと役に立ちませんが、新刊では手に入れにくくなった専門書も読むこともできます。高くてあきらめていた専門書もたくさん読むことができます。どうしていままで図書館に抵抗があったのか残念に思います。手元に残しておきたい本も手元に残らないのは残念ですけどね。

 そうだ、自腹主義は自分の選択に慎重になること、自分のお金を出すという痛みに対して、それを読む時間と価値はあるのかと、じっくり考えることに価値があるのでしょうね。無料で手に入るなら、それを読むべきか慎重な判断はおろそかになります。お金をかけたものに対して元をとらなければという気持ちも強くなります。その知識をより自分のものに近づけるために、自分の痛みと交換する価値はあるのか、その判断を育てる力が自腹主義にはあるのでしょうね。


 来年もまだ神秘主義的探究をつづけるつもりですが、言語の懐疑につらぬかれたこれといった書が見当たらないんですね。意識研究や実在論もまた寄り道すぎるし。自分の懐疑心が羅針盤です。


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