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12 15
2017

幻想現実論再読

醜悪なグル列伝――『聖なる狂気』 ゲオルグ・フォイアスティン

4393291417聖なる狂気―グルの現象学
ゲオルグ・フォイアスティン
Georg Feuerstein
春秋社 1999-06

by G-Tools


 ケン・ウィルバーやクリシュナムルティを出している春秋社から出ているから、トランスパーソナル心理学の範疇の本だろうか。

 アメリカでは90年に出されていて、日本では99年に出されているから、95年のオウム事件は言及されていない。

 悟りや霊的修行における醜悪で極悪なグルの顔をさまざまに見せる本で、それは自我や社会的道徳を剥ごうとするのだからとうぜんにグルからそのような仕打ちをうけるのであり、またグルのエゴの拡大とそれが区別できないこともあいまって、弟子の境遇や人権はさんざんな目に会う危険にさらされやすい。

 グルジェフは人間は機械であり、社会的に刷り込まれた反応を反射しているに過ぎない存在だといったのだが、だからその機械をショック的な仕打ちによって壊そうとする。エゴをあけ放ち、無我をめざすのだから、ときにはグルのエゴや強欲と重なって、弟子はひどい状況におかれるかもしれない。

 日本の無我が、戦争時の全体主義に利用された歴史は、とうぜんに警戒しておかなければならない出来事である。

 自分で無我を悟ってゆく過程と、人からむりやり自我やエゴを奪われる過程は、あまりにも違いすぎる。しかしグルという導き手を必要としてきたこの界隈は、危険で醜悪な世界も生み出してきたのである。

 だいたいはインドやチベット、日本の伝統宗教の事例や、現代ではグルジェフ、クロウリー、ラジニーシ、チョギャム・トゥンルパ、ロゾウィック、といった人たちの醜悪で極悪な指導方法やエゴと区別のつかない過酷な方法がのべられている。

 一章をさかれて描かれるグルは、ダー・ラヴ=アーナンダという人で、日本ではあまり知られておらず、グルジェフのような人は適役ではなかったのだろうか。

 どうやったら犯罪者と、正当な聖者と区別できるのだろうか。

 この本ではラジニーシは悟っていないまがい物といわれており、クリシュナムルティには犯罪者とまでいわれる文章が引用されている。わたしはラジニーシは深いところまで洞察した人と思っていたのだが、アメリカでの組織的犯罪にまでいたった経緯には目をつぶっているとしかいいようがない。

 わたしはエゴの破壊より、認識の幻想性とか、虚構性という方面から理解をつむいできた者であり、また読書と瞑想のみを体験してきた者なので、グルや師匠との関係がどのようなものかわからない。そのような意味で、この本はひっ迫性を感じさせるものではなかったが。基本的に人に教えられるのはニガテで、自分のペースと読書の独学をなにより好むタイプであるからして。

 スピリュチュアルや神秘思想が語ったことは、エゴや自我のあり方が問題であるというよりか、言語や心象といったものを実在すると見なす素朴なドクサ自体が、人間のひじょうに大きなつまずきであると、わたしは認識している。この認識の過ちを知ることは言語でもおこなえるのであって、醜悪なグルがむりやり自我をあけ放たせようとせずにできることではないのかと、わたしは思うのだが。

 どうも一般に信じられている神とか、グルであるとか、機械的な社会反応に従事させるシステムを存続させたいだけではないのかと思いたくなる。

「神、すなわち究極の実在は、素朴な人々が抱きがちなイメージとは全然ちがうということをはっきりさせるために、エックハルトはしばしば神をまったくの無として語った。しかし、大乗仏教の「空」を思わせるこの説は、一三二九年に教皇ヨハネ二二生によって異端宣告を下された」





ラジニーシ・堕ちた神(グル)―多国籍新宗教のバビロン自我と無我―「個と集団」の成熟した関係 (PHP新書)OSHO:アメリカへの道―砂漠の実験都市・ラジニーシプーラムの誕生と崩壊の真相霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造 (新潮新書)<スピリチュアル>はなぜ流行るのか (PHP新書)


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