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08 22
2017

幻想現実論再読

われわれはすでに悟っている――『存在することのシンプルな感覚』 ケン・ウィルバー

4393321022存在することのシンプルな感覚
ケン・ウィルバー
Ken Wilber
春秋社 2005-11

by G-Tools


 リスペクトしてやまないケン・ウィルバーだが、ひさしぶりに読んだこの本はあまり刺さるところがなかったなあ。

 過去の著作のアンソロジーであって、一本調子でさいしょからひとつのテーマを語る著作とは違うからだろうか。

 ケン・ウィルバーは90年代後半くらいに集中的に探索していた。言葉や思考が悪者という考えのリチャード・カールソンに出会い、思考を捨てるという知識と格闘していたころだ。西洋科学や西洋哲学には、言葉を悪者にする思想はあまりない。

 ケン・ウィルバーは、言葉や思考を否定する東洋思想の懸け橋となってくれる立場にいた。

 いまは大型書店でもあまりケン・ウィルバーの著作もそろっていないようだが、わたしも一定の著作を読むと遠ざかっていて、その後『万物の歴史』がベストセラーとなっていたときは、遠回しにいて読むこともなかった。

 初期のころの『無境界』や『意識のスペクトル』という著作にものすごく感銘をうけて、あとは『アートマン・プロジェクト』や『眼には眼を』、『空像としてのパラダイム』を読んだくらいだ。その後に出た著作は読んでいなかった。

 ケン・ウィルバーやトランス・パーソナル心理学はいまどのような位置にいて、一般的にはどのように受容されているのだろうか。

 出版元の春秋社の本は手に入りにくくなることが多く、ケン・ウィルバーの著作は西洋と東洋の統合として読まれるべき古典として残っていったほしいものだ。

 あと、ケン・ウィルバーは日本の禅から理解するよりか、ヒンドゥー教のブラフマン概念の一体性から理解するアプローチも必要なのだと思う。ケン・ウィルバーの全体性は、ブラフマン概念である。

 このアンソロジーの中で、刺さったものとしては、すでにわれわれは悟っているというさいごのほうの章である。わたしの既読の本の抜粋もあるのだが、読んだことは忘れていて、あらためて読むとその文章に感銘するというしだいだ。

 わたしたちは悟りや変性意識状態がどこか自分から離れたところ、遠くや明日にあるように思ったりする。しかし、この世界が一体であり、全体であるというのなら、わたしたちはすでにそのものであって、どこか外側に見つけられるものではない。

 探究者はこのワナにかかってしまうのである。そして、それは言葉や想像によってつくられる世界が実在のものと思ってしまうわたしたちの認識の過ちそのものではないだろうか。

 神秘思想やスピリチュアルというのは、究極的には、この一点――言葉と想像力でつちかった虚妄の世界を省けということをいっているのではないのか。想像力を実在のもの、現実のものと思った時点で、いまここの悟りの一体性から、逃走や回避してしまうのである。わたしたちは探求や捕獲しようとして、けっきょくは逃げてしまうのである。

「しかし明日発見する「心」というものは、時間のなかで始まり、時間のなかで消えていくものである。なぜならそれは、今日ではなくて、明日始まるものだからである。厳密に言えば、「永遠」というものに入ることはできない。なぜなら「永遠」というのは、常に現前する「今」だからである」



「エリウゲナが言ったように、「神とは、彼自身が何者であるかを知らない。なぜなら、彼は何か、何者か、ではないからである。ある意味で、彼は自分自身すらとらえがたい。またあらゆる知性によってもとらえられない」



 われわれは知性によってそれを捉えられるのではない。知性は、まさに逃走すること、回避することなのである。回避とは、言葉や想像力で捉えること、知ろうとすること、確保しようとすることではないのだろうか。

 とはいっても、言葉で把握しないことには無知なままである。言葉はつかまれ、いずれ手放さなければならない。言葉こそがそれを阻むものとなっているのである。



無境界―自己成長のセラピー論316n1KylMBL__SL500_BO1,204,203,200_アートマン・プロジェクト―精神発達のトランスパーソナル理論眼には眼を万物の理論-ビジネス・政治・科学からスピリチュアリティまで-

統合心理学への道―「知」の眼から「観想」の眼へグレース&グリット―愛と魂の軌跡〈上〉ワン・テイスト―ケン・ウィルバーの日記〈上〉インテグラル・スピリチュアリティ実践インテグラル・ライフ―自己成長の設計図


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プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

初のKindleセルフ本、発売中。他人に感情を振り回されてばかりいる人、過去を後悔してばかりいる人、必読。長年の習慣から解放される心理セラピー。



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