HOME   >>  書評 小説  >>  『あたしのマブイ見ませんでしたか』 池上 永一
08 17
2005

書評 小説

『あたしのマブイ見ませんでしたか』 池上 永一


4043647018あたしのマブイ見ませんでしたか
池上 永一
角川書店 2002-04

by G-Tools

 むかしの日本人は霊魂をどのように捉えていたかということに興味をもっていたときに気になっていた小説で、いまは小説を読みたい時期なので読んでみることにした。「マブイ」というのは沖縄でいう「魂」のことである。

 むかしの日本人はよく魂を抜けるだとか、抜けない工夫とかをしていたのである。この小説にあるようにそんなことを本気で信じられたのだろうか。魂がうろうろするような世の中って、怪談以外なら、けっこう魅力的な世界観に思えるんだけどな。

 この短編集はそのような不思議で奇妙な沖縄(石垣島)の世界を語ったものである。私は短編を読んでも物語が記憶に残らないことが多いのだが、この作品群はいずれも印象に残った。といってもものすごくよかったわけでも、よくないわけでもなかった。ビミョ~なところである。

 怪談をめざしているわけでもないし、ファンタジーというよりかかなり現実的な話だし、マブイとかユタなどの神秘的な世界がまだリアルに生きている日常を垣間見せてくれる点では興味が魅かれるのである。

 科学的・合理的世界観はそのような闇の世界を葬り捨ててしまったが、神秘や不可解がのこる世界のほうが魅力的な気がするんだけどなぁ。神秘が日常に同居した生活というのは、われわれも子どものときにもっていたものだし、日本人も何世代か前までは抱いていたものである。頭の中でわかり切ったと思う世界ほどつまらないものはない。


関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top