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03 10
2017

神秘思想探究

ストア哲学を知らないのは人生の損失――『要録』 エピクテトス

4121601726語録 要録 (中公クラシックス)
エピクテトス 鹿野 治助訳
中央公論新社 2017-03-08

by G-Tools

▲さいきん出ましたが、画像ありませんね。

4124006241世界の名著 (14) キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス (中公バックス)
キケロ 鹿野 治助訳
中央公論新社 1980-11

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▲アウレーリウスの『自省録』も入っていて、オトク。


 ストア哲学の心理原理を知らないのは、人生の損失だと思う。過去を後悔し、悩みを考えつづけ、だれかや世界を責めつづけ、不幸やうつ病になってしまう。

「人々を不安にするのものは、事柄ではなくて、事柄についての思惑だ」



 この心理原理を知らないと、わたしは世界や他人に翻弄されつづけ、外界の犠牲者となりつづけるだろう。ただ、考え方のみが自分を苦しめ、傷つけると気づけないだけで、人生の両手いっぱいの不幸を受けとってしまうことになる。

 わたしもこの心理原理を知らないばかりに、二十代まで悲嘆や苦悩を背負いつづけた。だれかが教えてくれていたら変わっていたと思うが、ぎゃくに苦痛を感じつづけていたからこそ、よけいにその大切さや原理に迫ることができた。

 現代ではそういう原理を教えてくれるのは、自己啓発であったりする。ウソっぽい、詐欺師みたいな精神主義だと軽蔑しておれば自己啓発にはまったく近づくことなく、心理原理を知ることはないだろう。

 ウェイン・ダイアーやノーマン・ピール、またはアランやヒルティ、ジョセフ・マーフィー、リチャード・カールソンといった人たちにそれはのべられているのだが、自己啓発を嫌う人は、こういった知恵に気づくこともないのだろう。

「記憶しておくがいい、きみを侮辱するものは、きみを罵ったり、なぐったりする者ではなく、これらの人から侮辱されていると思うその思惑なのだ。それでだれかがきみを怒らすならば、きみの考えがきみを怒らせたのだと知るがいい」



 わたしたちは考えが自分を傷つけていることに気づけずに、他人や世界が自分を傷つけたと考える。それによって他人や外界を物質的に改善しようとして、変わらなければ激昂や屈辱をずっと背負いつづけるのである。ただ思考がそうしているのだと気づけずに。

 エピクテトスが生きたのは一世紀から二世紀にかけてのローマ、ギリシャだといわれている。1800年前の知恵が、わたしたちにまったく届かずに、わたしたちは外界に殴られつづけていると思い込んでいるのだ。

 それには外界の物質的改善にのりだした近代西欧の征服力の力があずかっているだろうし、心内のコントロールだけで幸福をめざした社会は、おそらくは中世西欧やインドのような物質的発展途上国の汚名をかぶせられるのだ。

 物質改善と心内の幸福はシーソーのように、物質の発展と心内の幸福のどちらかを選ぶように迫るのだろう。物質の発展をねがうと、外界の犠牲者になりつづける関係とバーターである。ただ、考えを変えるだけで幸福を説くなら、物質の改善はおろそかになる。われわれは物質の改善の時代に生まれて、心内の不幸を背負うめぐりあわせの時代に生まれたのである。

「出来事が、きみの好きなように起こることを求めぬがいい、むしろ出来事が起こるように起こることを望みたまえ。そうすれば、きみは落ち着いて暮らせるだろう」



 ストア哲学はインドの仏教とどうつながっていたのか、わからない。ただストア哲学をつきすすめた先には、心内の幸福や悟りをめざしたインドの精神文化があるだろうし、日本はその仏教の影響を近代までに強く受けた世界だったのである。

 わたしたちは両方の世界の欠点と長所も知っているのだから、うまくバランスをとって、この世界観の橋渡しを考える必要があるのかもしれない。

 なお『要録』はしごく短いもので、『語録』のほうは一般的な処世訓になっている。


自省録 (岩波文庫)どう生きるか、自分の人生!―今日を後悔しない生き方 ダイアー博士の「生活哲学」 (知的生きかた文庫)幸福論 (第1部) (岩波文庫)【新訳】積極的考え方の力リチャード・カールソンの楽天主義セラピー


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