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03 01
2017

幻想現実論再読

他人のせいにする痛み――『愛と怖れ』 ジェラルド・G. ジャンポルスキー

4900550205愛と怖れ―愛は怖れをサバ折りにする。
ジェラルド・G. ジャンポルスキー 袰岩 ナオミ
ヴォイス 1990-06-01

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4763184431愛とは、怖れを手ばなすこと (サンマーク文庫 E- 45)
ジェラルド・G・ジャンポルスキー 本田 健
サンマーク出版 2008-06-16

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 知らない人はまったく知らないだろうし、はじめて知ると心の革命をもたら知恵になる本。

 『ユダヤ人大富豪の教え』を書いた本田健は原書をぼろぼろになるまで読みかえし、同じ本を新訳で出した。この版のほうがサンマーク文庫に入っているほうになる。

 「悪いのは他人や世界で、それら悪いことを変えなければ自分が幸福になれない」と思いこんでいる人は、自分の認識の仕方がいかにまちがっているか思い知らされることになるだろう。

 わたしたちは「他人が悪い、世界が悪い」という思い込みを素朴に信じているのだが、これは科学的世界観のためであると思う。外界は自分の外側にあって、不幸や迷惑を自分にかけ、その変化や物質的改善をしなければ、人は幸せにはならないと科学は教え込む。

 しかしこの本ではその認識の根本的転回をもたらす。「自分がそう思っているから、そう感じられるのだ。感情の原因は自分の考え」。

 人は世界が原因で、結果として自分の感情がもたらされると考えるのだが、この本では自分の考え方が原因でその結果が感情としてもたらされると捉える。そのことによって、心の平安ややすらぎは、自分の選択で可能になる。

「私たちがやすらぎを感じるために、ほかの人が変わる必要はない」

「ほかの人を「直そう」とすることは、たとえ建設的な批判を述べる場合でも、相手の間違いと自分の正しさを示すことによって、実際は攻撃していることにほかなりません」



 わたしたちは他人が悪い、世界が悪いと考えて、それらが変わるまでいっときも心の安らぐときを得ることはない。だけど、それは自分の考えに過ぎない、捨てたり、許したり、考えないことによって「現実」を選択し、いますぐやすらかで穏やかな気持ちで過ごすこともできるのである。

 わたしたちはこの認識の根本的違いを知らない。それで他人が悪い、変えなければ幸せになれないとずっと不快な気分で過ごすことになる。たんに人間の認識のあり方、思考と感情の関係を知らないばかりに両手いっぱいの不幸を抱えるのである。

 ジャンポルスキーのいったことは「唯心論的転回」である。自己啓発のウェイン・ダイアーも同じことをいっている。

 「自分の外側に世界がある」という科学的あるいは素朴な思い込みは、「この世界や他人に感じることはすべて自分の心、思考だ」といった「唯心論」によって、世界の犠牲者であり続けた人たちを解放する知恵になる。

 他人を変えられなければいっときも安らぐことのない科学的態度は、自分の考えや現実は自分の選択で変えられるという認識論にたいして、あまりにも人の不幸を助けない。まるで世界から被害をうけつづけて、物質的改善をしたり新商品を買わなければ、あなたは幸福になれないといった消費物質社会の脅迫かのようである。

 そして、だからこそ科学的物質消費的な世界は進展したのであり、同時に世界から被害をうけつづけると思う人たちの救済もなされないのである。

 この唯心論的転回をへると、人の悪口をいってかっかと怒りに燃えている人は、なんでわざわざ自分から不快になる現実を選択しているのか、マゾイストかと思えるようになる。思考や現実を選択できない人はなんて不幸なんだと思うようになる。

 自己啓発やスピリチュアルの著作は、科学的世界観にたいする唯心論的転回をほどこしているのであり、外界は自分の外側にあって自分に災難をもたらすものという素朴な思い込みを批判するにかかる。他人や世界に思うことは自分の心であって、その選択をしないと山ほどの不幸を受けとることになる。唯心論はそういう転回を、既成宗教とはすこし違った土台からはじめているのである。

 なおジャンポルスキーのこの考え方は、『奇跡の学習コース』というチャネリングに得られた知識によっていわれているのであって、こんな怪しい世界からしか、これほど有益な知恵がやってこないのは、われわれがいかに科学側から抜け出た世界観をもってはならないということなのでしょうか。


奇跡のコース 第1巻 テキスト―普及版ゆるすということ―もう、過去にはとらわれない (サンマーク文庫)やすらぎ療法(セラピー) -愛はすべてを癒す (元気のでる心理学)どう生きるか、自分の人生!―今日を後悔しない生き方 ダイアー博士の「生活哲学」 (知的生きかた文庫)マルクス・アウレリウス「自省録」 (講談社学術文庫)


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