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![]() | わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫) アドルフ・ヒトラー 角川書店 1973-10 by G-Tools |
![]() | わが闘争(下)―国家社会主義運動(角川文庫) アドルフ・ヒトラー 角川書店 1973-10 by G-Tools |
読む進めるのが苦痛な書物であって、上下巻ぜんぶ読み終えるのに三週間はかかった。
おそらく上下巻読み通せた人はそう多くないと思われる本で、一時期書店におくことが忌避される世論もあったが、まあ本屋においていても、たいていの人は読み通せず、意味もよくくみ取れず、部分的解釈にとどまる書物に思われるので、書店においておいても無害だろうなくらい苦痛な書物である。
べつに難解な文章ではないのだが、時代背景や固有名詞の意味が歴史的に古びて通じない部分もだいぶあるので、よくわからないところが多く、こんにちこの本から強い影響をあたえられることは考えにくい。
わたしにとってもこの本からうることは少なく、十全な解釈をできたともいいがたく、鋭利な洞察眼をはたらかされたわけでもない。三週間もムダな時間を浪費し、ついでにほかの興味も逸せられる状態におちこんだくらいだ。
ヒトラーはとにかくユダヤ人が嫌いであり、生理的嫌悪感までももっており、あらゆる悪の責任をユダヤ人に押しつけていることがこの本のあちこちから読みとれる。これってもしかしてユダヤ人陰謀論?とも思えたのだが、そこまでユダヤ人嫌悪に陥った理由がよくわからない。
民族的・人種的な純粋性やアーリア人種の優越性をのこしたいがゆえにユダヤ人を嫌悪したともいえるし、マスコミ産業の多くをユダヤ人が占め、ドイツ国民の破壊工作をしているだの、当時力をもったマルクシズムへの強烈なライバル意識や民主議会への怒りなどさまざまなものが混入して、ヒトラーの中でのユダヤ人嫌悪は最高潮にたっしていたようだ。
梅毒患者への断種を語っている節もあり、ユダヤ人を毒ガスで抹殺していたらドイツ国民の多くの命を失うことがなかっただの記述も見受けられ、のちの危険な思想はこの本のなかで垣間見ることができる。
まあ、わたしにとってはこの本を読んだからといって、ヒトラーの秘密や謎を解けたというわけでもなく、ムダに多くの時間を割いてしまったという失敗の意識のほうが強いだろう。
もっと入門書や解説書から入って、まわりを固めてから読めば読解度もちがっていたかもしれないが、ちょっとのぞいてみましたという読了に終わりそうだ。まあ、ちょくせつにヒトラー自身の思考や考え方の流れにつきそったという部分では、言外の収穫はあるのだろうけど。
ドイツ本国で70年ぶりにこの本が発売されたというニュースがつたわってきた。ヒトラーのアウシュヴィッツ虐殺は現代社会のへそのような世界観をつくってきた。それゆえにそのへその攻撃による世界観の転覆をもくろむ試みがあちこちで浮上する時代になった。社会というのは、ひとつの制度的寿命というものが70~80年という説を思いおこされる現象である。





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はじめまして!突然のコメント失礼します。
あなた様のブログいつも感心しながら読ませていただいています。
名前は美咲と申します。現在高校2年生です。
実はあなた様にお願いがあってきました。
私は高校生になってできた友達の影響で、最近本や海外映画を見始めた者です。
親や周りの人が本や映画に無関心だったのもありますが、今までろくに文学や映画、専門書に触れてこない生活をしてきました。
(要するにバカです。)
高校生になってようやく自分の無知さ、世界観の狭さを知り、なんで今まで知らなかったんだろうとすっごく後悔しています。
もしあなた様がよろしければ、
捨ててしまう本を私に分けてくれませんか?
なんか一方的で本当にごめんなさい泣
このコメントをもし読んでいたら、返信もらえると嬉しいです。
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赤の他人ですが良いことを教えてあげましょう。
図書館というものを調べてみなさい。
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