HOME   >>  おすすめ本特選集  >>  2016年、わたしが読んだおすすめ本8冊
12 30
2016

おすすめ本特選集

2016年、わたしが読んだおすすめ本8冊

 2016年、わたしが読んだ本のなかでおすすめできる本8冊を紹介します。

 ことしは、「やらされ感とはなにか」という問いにずっとこだわって、読書をすすめました。

 なぜ会社の仕事のやらされ感に強い不快感を抱くのか、なぜ社会の規範や慣習に反発心を感じるのか、そういう根っこの部分を知りたい積年の気持ちがありました。

 さいしょはモチベーション論かなと思ったのですが、毒親や虐待の話に変わり、つぎは教育学なのかと思ったのですが、このジャンルには専門的すぎて踏み込めずに終わった感じです。

 わたしたちは自分のやりたいこと、好奇心をないがしろにされ、だれかの要求や強制にしたがうことばかりではないでしょうか。なぜそういう生を送るのか疑問を共有できる人にはとくにおすすめできる本です。


4788506793人を伸ばす力―内発と自律のすすめ
エドワード・L. デシ リチャード フラスト
新曜社 1999-06-10

by G-Tools


 モチベーション論の古典というべき本で、人からやらされることばかりに慣れてきた人には内省を迫る本ですね。

 学校や企業の要求には従ってきて、はたしてほんとうに自分のしたいこと、学びたいことをおこなってきたでしょうか。内発的動機にしたがわない他律的なものに生きてきた人は、「いつわりの自己」では生きてきてはないでしょうか。自分の人生を生きれていますか。


4794218044文庫 お母さんはしつけをしないで (草思社文庫)
長谷川博一
草思社 2011-02-05

by G-Tools


 しつけのどこが悪いのかと思われるかもしれませんが、しつけは優秀な子や品行方正な子を育てるのではなく、「支配と服従関係」で他人のいうことを聞かせる人間関係だけを学ばせるのだと教えた衝撃的な本。

 人は厳しくしつけられば、よい子どもに育つと思うのですが、外側から見れば、力で弱いものを従わせる関係をとり結んでいる模様だけが見えます。子どもは内容ではなく、親のふるまいだけを学びます。人は自分という主体をどうして見なくなってしまうのでしょうね。


4480431586子は親を救うために「心の病」になる (ちくま文庫)
高橋 和巳
筑摩書房 2014-04-09

by G-Tools


 子どもの心の問題が、かちっと親自身の心の問題と重なることを教えてくれるわかりやすい本ですね。それを鮮やかに見せてくれます。

 親があきらめたことを、子どもが苦しみ、そのことを親に訴えます。でも親はその痛みを子どものころにふたをしてしまって、自分の矛盾に気づきません。子どもが教えてくれるのは、自分の見ようとしない痛みや悩みなのかもしれませんね。

 そのぎゃくに、虐待は親がガマンしていたことを子どもがガマンできないことに苛立ちがマックスになるメカニズムがあるのでしょうね。


4106105209反省させると犯罪者になります (新潮新書)
岡本 茂樹
新潮社 2013-05-17

by G-Tools


 なぜ反省が悪いのかと疑問に思うと思いますが、とても腑に落ちる内容になっています。

 反省というのは、自分の言い分や不満をひとつも満たされない関係や思いを残します。自分の思いをいちども受け入れられず、肯定もされずにいると、自分の味方がだれもいない、わかってくれない敵ばかりの世界観をつくります。そういうことが重なれば、他人に対して敵対的、攻撃的な衝動が出てしまうのは時間の問題でしょう。

 よく傷ついた人は人にやさしくなれるといいますが、自分の痛みをうけいれたときだけであって、もし痛みにふたをする鈍感さで守ろうとすれば、他人の痛みにも鈍くなって平気で傷つけても気づかない鈍感な人になるのではないでしょうか。

 反省は自分の心にふたをすることです。


410137452X殺人者はいかに誕生したか: 「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く (新潮文庫)
長谷川 博一
新潮社 2015-03-28

by G-Tools


 世間から最大の非難や攻撃をうける殺人者に対して、もっと違った目を向けようという問題提起の本です。

 かれらはたいがい親からひどい虐待を受けて育っています。虐待の連鎖のようなかたちで、子どもは社会に向けて仕返しをします。殺人というのは、そういうかつての被害者が、無意識にたたかおうとして、社会にお返してして加害者になってしまう虐待の連鎖の被害者ではないでしょうか。

 非難や攻撃が極悪人を変えるゆいいつの方法だと思われがちです。でもかれらはもともとそのような被害をうけつづけたからこそ、だれかにその被害をくりかえしたのではないでしょうか。魂の殺人はすでにおこなわれていたということです。


4004311292漱石―母に愛されなかった子 (岩波新書)
三浦 雅士
岩波書店 2008-04-22

by G-Tools


 瞠目の書ですね。まだまだこの本の内容をかみ砕けたとはいえないのですが、スリリングな謎解きにはずいぶんひきこまれます。

 自分というのは他者を見るように成り立っているということや、漱石の作品中にあらわれる漱石の「心のクセ」というのがいくども問われます。

 母に愛されなかった子が妻や女性にたいしてくりかえす問い、それから承認の問題。じゅうぶんに納得できたとはいえないのですが、深い問題意識をもたらす著作でした。


4788505444冷血の教育学―だれが子供の魂を殺したか
カール‐ハインツ マレ Carl‐Heinz Mallet
新曜社 1995-12

by G-Tools


 教育って、意志をたたきつぶして服従を教え込むための暴力機関であるのかとまで思わせる教育思想をたどった本ですね。

 アリス・ミラーの『魂の殺人』には教育がいかに残酷な虐待をおこなうかの闇教育と名づけた章を書いているのですが、その闇教育を教育思想の中にもっと深く検証したのがこの本といえます。

 アリス・ミラーは心理学とかアダルトチルドレンの文脈で捉えられますが、まさに教育こそが虐待者と見ていたのではないでしょうか。

 「意志を叩きつぶして、服従を教えろ」 それが教育の正体なのでしょうか。


4062881950反教育論 猿の思考から超猿の思考へ (講談社現代新書)
泉谷 閑示
講談社 2013-02-15

by G-Tools


 自分の問いがもやもやしてはっきりしなかったのですが、この本で「主体性の剥奪」こそを問いたかったのだとわかりました。

 教育というのは、ひたすら主体性や自発性というものを奪ってゆきますね。これって人間が成長するのではなくて、人間を上から押しつぶすことではないでしょうか。

 自発性を奪われた人間はほんとうに創造や成長がおこなわれるのでしょうか。それはたんに産業や社会の要請に合致した機械のようなパーツを生み出すだけではないでしょうか。

 知性を育てるのに自発性の剥奪ほど有害なものはないと思うのですが、教育では自分に興味ない知識の暗記や羅列ばかり教えられますね。教育はもしかして知識の破壊自体が真の目的なのでしょうか。

                   *

 「やらされ感とはなにか」という漠然とした問いを抱えて、毒親論や虐待論などに迷い込んだのですが、自分はなにを問いたいのだろう、これは自分の知りたいことなのかと迷いつづけました。

 意志や自発性をつぶす他者や親、教育といったものを問いたかったのでしょうか。主導権をとり戻せという声をさぐりたかったのでしょうか。

 ここらでこの問いから離れることになると思いますが、くすぶった問いはまたほかの文脈から眠りを覚ますかもしれません。

関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top