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04 14
2016

書評 心理学

子ども向けとバカにする損失――『子どもの心をいやす魔法のメルヘン』 アンゲリーネ・バウアー


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子どもの心をいやす魔法のメルヘン
アンゲリーネ・バウアー Angeline Bauer
主婦の友社 2001-10

by G-Tools



 ドラマであれ映画であれ、メルヘン分析は物語の解釈度を高めてくれた。古本で200円で手に入ったので、感謝の気持ちで読む。


 メルヘンが子供向けになったのは19世紀からで、それまでは糸つむぎ部屋や台所で大人同士でかたられた物語なのである。


 お子さんをもっている方はこの本は読むことは、子どもにどのような物語を読めばいいのか教えてくれるだろうし、なにより自分自身がちゃんとした大人の水準にたっしているのかの精査にすらなる。


 とくに「分けること、残すこと」の章や、「約束は大切」の章など、人間関係が大事になる大人にとっていまでも大切な知恵である。分けることは自分の分がなくなると思っている人は、お金でもほかの親切や思いやりの点でも、人に分け与えることができない。大人の課題でもある。


 メルヘンは象徴をまもっているといわれるが、それは防御をともなったむきだしの恐怖に向き合わなくするためである。また、親を愛するとともに憎むことがある感情にむきあうために、継母やバケモノなどといった母や親の象徴が必要なのである。


 この本では子どもの死との向かい方も示唆していて、子どもやわれわれ自身もちゃんと死と向き合えているかの内省にもつながるだろう。


 他人を嫌うこと、他人をあざ笑うことは、自分の弱さや欠点と向き合わないことだといった教訓も語られる。嫌いな人というのは、自分の中の嫌いな部分だということに気づくことは、大人として大切な知恵である。


 メルヘン分析は、大人になって読んでよかったと思える知恵になる。子どものときにはなおさら言語化していないのだから、意識的に理解していない。それをメルヘン分析は言語化して、意識的な理解を助けてくれるのである。


 子ども向けのメルヘンだとバカにしていた自分の浅はかさを恥ずかしく思うことだろう。




 童話はどう読むのかのオススメ本


オススメのメルヘン分析本です


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