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03 13
2016

販売・アフィリ

商売は利己主義? 利他主義?――『他喜力』 西田文郎

4198632936他人を喜ばすと、幸運が押し寄せる! 
他喜力

西田文郎
徳間書店 2011-11-30

by G-Tools


 商売の基本は他人を喜ばすことである。この他人を喜ばすことをいつも考えられるようになるにはどうしたらいいのだろう?

 ほかに類書が見当たらなかったので、中身は期待していなかったが、マーケットプレイスで注文して読んでみた。

 あまりにも手放しの能天気な本なので、批判精神と自分のために生きてきたわたしには、受け入れられる土台が違いすぎる本だった。そこまでいくには、もっと他喜力の疑念を晴らす内容が必要だ。

 わたしは世の中を巨大な企業組織の力によって「やらされる社会」、「搾取される世の中」のような捉え方をしている。そのために自分を守るために「自分のために生きる」だけで精いっぱいだ。いかに自分の出力を抑えるかが主眼になってしまって、それはニートやミニマリストの思考に近づく。

 でも商売やお金は他人を喜ばす、楽しませることによって回ってくる。人を喜ばせることをおこなわないと、お金は回ってこない。自分のためだけに生きれば、他人を喜ばすことにはつながらないので、お金がたくさん集まってくることはないだろう。

 というより、金儲けは利己主義や自分だけが得をするような汚いものだと多くの人が思うように捉えている。利他主義や人を喜ばすものとはとても思っていない。だから、自分を守り、自分のためだけに生きようとする。やらされ感や金儲けは利己主義だと思っている人は、このような自分の守り、出力をミニマムにする生き方をのぞむようになるだろう。

 世の中のさいしょの捉え方が違うと、結果的に生き方はこうも変わってくる。

 商売の基本は他人を喜ばせることだと知ったことで、自分の世界観や生き方が相対化できて、自分の姿勢を客観視する手がかりをつかめた。商売や売ることが、自分の世界観や守り方を教えてくれるとは、意外なものである。

 それでどうして自分のように自分のために生きる人間になったり、人を喜ばせ他人に奉仕することが好きな人の違いは生まれるのかという疑問も生まれる。

 商売やビジネスは利己主義なのか、それとも利他主義なのか。アダムスミスとかマンデヴィルの経済学方面からは経済は利己主義を追求することによって全体の経済に奉仕するという理論がとなえられている。

 金儲けを非難して、自分に罪悪感を抱く人も、たいがいは金儲けは汚い、利己的なものだと思っている。

 でも商売の基本を考えると、お客さんを喜ばせないで、なぜお客さんがなけなしのお金をはたいてお金を支払うのかとなる。よっぽどのことがないと、人はお金を手放したりしない。納得や必要があるからこそ、人はお金を払うのである。だれかを儲けさせたり、一方的に得をさせるために、わざわざ売り手にお金を払うわけなどありえないのだ。なぜ商売は利己主義だと思ってしまうのだろう。

 商売の人を喜ばせないと儲からないという考え方は、自分の利己主義・利他主義の相対化と反省をうながしてくる。

 このような疑問に答えてくれる本ではないのはとうぜんである他愛のない本であった。

 金持ち指南本には「自分のことばかり考えていてはダメ。人のことを考えろ」という教えが子どものころからなされていたということがいわれていた。自分のためだけに生きている人には他人に喜びをあたえないので、お金をもらうことがないのはとうぜんのことである。

 それを道徳の強制としてしまえば全体主義的な問題が起こるのだが、商売の基本はわたしの生き方、世界観に疑念を抱かせるものであった。


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