|
|
![]() | 御社の「売り」を小学5年生に15秒で説明できますか? (祥伝社新書 99) 松本 賢一 祥伝社 2008-01-25 by G-Tools |
つたわるメッセージを生み出すためには、成功者の模倣ではなく、自分自身を知らなければならないという、マーケティングのテクニックを期待していたらどこに連れてゆかれるのという不思議な本かもしれない。
巻末の参考文献には、アラン・コーエンやサネヤ・ロウマン、アラン・ワッツというスピリチュアル系の著者がならんでいる。
べつにアヤしくない内容だけど、テクニックを学ぼうとしたら、自分自身を知れというメッセージには面食らう。
わたしはこの「深い」内容をうまく咀嚼できたわけではない。まだ、人にきちんとつたわる整理を著者自身ができていないのではないかとも思える。
著者の心理学化、スピリチュアル化というのは、人につたわるメッセージはそんな生半可なものでできあがるものではないという意識が強いのかもしれない。
「他人から与えられた価値観や目標は、その人の本心を反映していないため、永遠にその目標を達成することはできません。私はこれを「悪魔の目標」と呼んでいます。他人から与えられた価値観ではなく、その人が本心から願っていること、本心から欲していることを見つけ出し、形にしていく」
「自分たちは、なぜ物を売ろうとするのか」
「なぜ、自分はこの商品を扱っているのか」
「なぜ、自分はこの仕事をするのか」
もう「道」というか、「求道者」のようである。
わたしは自分自身をつかめているからといったらまったくつかめている実感をもたないので、著者の深みにも納得にもついていけなかった。人につたわるメッセージとはそこまで魂をふりしぼらなければならないものなのか。
「本来、他社と「差別化」をするためにマーケティングを学ぶはずが、「同質化」を起こしてしまい本末転倒なことになっているのです。「恐れ」があるからどうしても人の真似をしてしまう。そこには自分の本心は存在しませんから、人に伝わるものが作れない」
「私たちの大半が、夢や希望を達成できないのは、大声で叫んでいる人から与えられたビジョンや成功事例を達成しようとしているからです」
「誰かの価値観を生きる必要も、誰かの人生を生きる義務もない」
「人の価値観の中に、自分本来の生き方など存在しません」
マーケティングにアラン・コーエンやサネヤ・ロウマンのスピリチュアル・メッセージがドッキングしたかたちになっているわけである。
これはもうメッセージやマーケティングに深く深く悩んで、いきづまって、うなった末にしかたどりつかない考え方なんでしょうね。
人の成功事例を模倣ばかりして、ちっとも自分自身の心から出るメッセージを生み出せないということで、こういう結論にいたったのでしょうね。
わたしはそこまでのレベルや壁にいきついていないわけで。





- 関連記事
-
- 「汝自身を知れ」――『御社の「売り」を小学5年生に15秒で説明できますか? 』 松本 賢一
- アフィリサイト半年目、売ることは難しい
- だれも「商品」を買っているわけではない――『失われた「売り上げ」を探せ!』 小阪 裕司
- 売ることは社会に必要な教養――『売れないモノを売る技術』 河瀬 和幸
- 買い物と売り手の雑学心理本――『なぜ人は「売れ筋商品」を買ってしまうのか』 おもしろ心理学会