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02 17
2016

おすすめ本特選集

ミニマリストの古典本10冊を紹介します。持たない生き方なんてぜんぜん新しくない

 ミリマリストが新しいライフスタイルとして紹介されたり、2015年の流行語大賞の候補になったり、叩かれたりしていますが、それを隠遁思想への回帰と見なすなら、日本の仏教の伝統であったのだから、なんら新しいことはありませんね。

 持たない生き方なんてブッダが提唱していたのであり、日本では鴨長明や西行、良寛にたどることができますし、アメリカではヘンリー・ソローが思い浮かびますね。

 若者の消費離れが話題になり、若者の草食化も語られ、断捨離と来て、ミニマリストの流れは、物質消費社会から、知識社会といわれる社会の大きなトレンドのひとつに行きつく先に思えます。

 ミニマリストとむかしの隠遁思想となにが違うのかよくわかりませんが、けっきょく物質消費に満足をもたらす生き方から距離をおくということなんでしょうね。

 ミニマリストの源流や歴史を探るということで、隠遁思想の古典本を紹介したいと思います。


  saigyouan.jpg ◀吉野の西行庵



清貧の思想 (文春文庫)
中野 孝次
文藝春秋
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 バブル崩壊後にベストセラーとなった持たない日本の仏教僧の生き方をたどった本です。この一冊で日本の隠遁思想のガイドブックとして多くを網羅していると思います。ミニマリストってけっきょく、この伝統に還ることではないでしょうか。



森の生活 (講談社学術文庫)
D・ヘンリー・ソロー
講談社
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 ヘンリー・ソローを外して、ミニマリストなんて語れないのではないでしょうか。労働やモノをもつことの深い問いかけが心をゆさぶります。われわれはなんてムダな暮らしをしているのかと思わされます。元祖フリーターとも自給自足の生活をしたといえますね。



宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2)
W.ジェイムズ
岩波書店
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 心理学者の宗教研究ですが、こういうことが語られています。「私たちは、昔の人々が貧乏を理想化したのが何を意味したのかを想像する力さえ失っている。 その意味は、物質的な執着からの解放、物質的誘惑に屈しない魂、雄々しい不動心、私たちの所有物によってではなく、私たちの人となりあるいは行為によって生きぬこうという心、責任を問われずともいかなる瞬間にでも私たちの生命を投げ出す権利、――要するに、むしろ闘志的な覚悟、道徳的な戦闘に堪えるような態勢、ということであった」



知価革命―工業社会が終わる 知価社会が始まる (PHP文庫)
堺屋 太一
PHP研究所
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 けっきょく、堺屋太一の予言したように、物質に価値をおかない中世のように、知識社会というものは向かってゆくのではないでしょうか。中世は精神を重んじ、物質に価値を見出さない社会でした。大きな流れはこの方向にシフトしているのではないでしょうか。反物質主義な世の中。



日本の隠遁者たち (ちくま新書)
饗庭 孝男
筑摩書房
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 日本の隠遁思想、仏教思想をまとめてたどりたい人にはこのような本が役に立ちますね。ミニマリストって隠遁思想をめざすのでしょうか。西行とか、種田山頭火などが語られています。



陶淵明全集〈上〉 (岩波文庫)
陶 淵明
岩波書店
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 隠遁思想の起源をさかのぼれば、中国の四世紀の詩人、陶淵明にたどりつきます。「帰りなんいざ、まさに田園荒れなんとす」という詩はとても有名ですね。この時代から官僚の道を断って、脱俗に生きる道の称揚がおこなわれています。



ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

岩波書店
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 おシャカさんなんて、まさに家族を捨て、家を捨て、乞食に生きろと説いた元祖ミニマリストですね。いちばん古いとされている聖典です。



座右版 寒山拾得
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久須本 文雄
講談社
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 中国の孤高の隠者として語られる寒山、拾得は、隠者をたどるとしたら少しは覚えておきたい詩人ですね。山水画、幽邃画のような境地の詩。



未来の生
未来の生
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ジッドゥ クリシュナムルティ
春秋社
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 クリシュナムルティはニューエイジの宗教家となるのですが、物質や所有にたいする鋭い心理的考察がミニマリストと似ているのではないでしょうか。モノが縛りつける不自由と精神の緊縛などを語っていますね。



反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか
ジョセフ・ヒース アンドルー・ポター
エヌティティ出版
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 ちょっとミニマリストからズレるかもしれませんが、60年代のヒッピー文化ってまさに反物質主義・反消費主義の運動でしたね。ヒッピーにミニマリストの源流をたどることもできますね。そういう意味でこの一冊をあげてみました。





 以上、ミリマリストの源流10冊をあげました。

 古典ギリシャの時代には、ディオゲネスやキュニコス派といった持たない派もいたので、ミニマリストは古典ギリシャの時代からいたといえますね。

 ミニマリストは、消費離れや草食化といった消費で満足を得られない流れのひとつにすぎないのではないでしょうか。その反物質主義の流れは、知識や精神に価値をおく知識社会へと流れつくのではないでしょうか。

 そういうことは仏教僧や隠遁僧が古くからおこなってきたわけですね。

 物質から知識、精神へのシフトが、小分けに順出しにあらわれているような気がします。精神主義・知識主義への回帰がおこっているといえるでしょうか。

 価値観のシフトはしずかに大きく、表面には小出しに秘かにおこっているではないでしょうか。気づいたら、大きな価値観の転換がおこなわれていたということになっているのでしょうね。


▼隠遁思想をむかし読んだころのブックレビューです。ミニマリストって仏教や中国思想に遡ることではないでしょうか。

 放浪と漂泊への想い 98/10/29

 東洋的心の平穏-中国人の達観-仏教 99/1/17


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