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01 24
2016

販売・アフィリ

クチコミの巨大な世界――『なぜ「あれ」は流行るのか?』 ジョーナ・バーガー

4532319080なぜ「あれ」は流行るのか?
―強力に「伝染」するクチコミはこう作る!

ジョーナ・バーガー
日本経済新聞出版社 2013-09-26

by G-Tools


 あるところまではものすごくおもしろかった。あるところからは、あれ、なんだか最初みたいなおもしろみがなくなっているなと気づいた。

 ものすごくおもしろいと思えたのは、人はなぜこれを話すのかという項目についてだった。おもしろみがなくなっていったのは、クチコミを流行らせるノウハウ・視点のみを感じさせられるところからだと思えた。

 つまり人はなぜあれではなく、これを話すのかという学究的説明にはおもしろみを感じられたが、ノウハウ書としてはおもしろみは剥がれていった。

 「クチコミは、良い印象を打ち出すための重要なツールであり、その威力は新車やプラダのハンドバッグにも匹敵する」

 「「自己共有」は私たちに一生つきまとう。私たちは、友人に買ったばかりの服の話をしたり、地方紙の投稿欄向けに送る記事を家族に見せたりする」

 「自己顕示欲のせいばかりではない。じつは、私たちはそれが快いと感じるようにできているのだ。…食事やカネで満足感を得たときに反応する脳の領域が、自分語りによって同じように活性化することがわかった」

 自分の話す内容や選択が、なぜあれではなく、これなのか、なぜこの話題を語るのかという洞察はあまりしたことがないので、目を啓かれる思いがした。

 そうか、話す内容もクルマやバッグのような優越のために見せびらかすツールなのか。自分をよく見せるためのツールなのである。

 この本は口コミを流行らせるために「こうしろ」という本なのだが、なぜ人は話すのか、クチコミで伝染する話題はなぜあれではなく、これなのかといった「なぜか」の学究的な内容ならもっと楽しめたのではないかと思う。

 クチコミの研究って売るためのマーケティングから必要とされるノウハウなのだけど、「なぜ」と問う学術的態度のほうがずっと興味深いように思える。

 クチコミや人がふだん話す内容の選択ってあまりにも無意識であたりまえすぎて、マスコミのように見えやすいものでもないし、あらためて問われることもない。それだけにこのクチコミの大きさ・広がりの影響力には目を啓かれる。

 この本はクチコミやネットワークの伝染性を研究したマルコム・グラッドウェルの『急に売れ始めるのはワケがある』のリスペクトから生まれた本であり、そのクチコミを流行らせるノウハウを洞察したものである。

 クチコミってこんなに影響力があり、どんな風に広がり、どんなものが広がらないのかといった、かなり有効な知識を得られる本である。おもしろみもじゅうぶんある。ただ、会話によって優越や卓越を競っているという洞察があまりにも興味深かったので、その追求をもっとしてほしいと思った本だった。

 クチコミのネットワークというのはふだん意識もせず、マスコミのように見えるものではないから、この知識の一端にふれるだけでもいままで見えていなかった世界がとつぜん現れるような違いがあるように思われる。

 それほどまでに目には見えないが、大きな力を有するのが、クチコミのネットワークというものではないだろうか。マスコミやSNSは、そのネットワークを技術によって広げたものにすぎない。

 クチコミや会話ってすぐ身近にありながら見えないが、いかに巨大で影響力をもつものか、目に見えるものにようやくしてくれるのがこのようなクチコミを分析した本でないだろうか。


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