HOME   >>  販売・アフィリ  >>  店との絆なんてほしい?――『お客さまの「特別」になる方法』 小坂裕司
12 26
2015

販売・アフィリ

店との絆なんてほしい?――『お客さまの「特別」になる方法』 小坂裕司

4047102628お客さまの「特別」になる方法
「リレーションシップ・キャピタル」の時代 (角川oneテーマ21)

小阪 裕司
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-11-10

by G-Tools


 お店や企業もお客さんとの絆をつくれという主張の本だが、これはわたしにはすこし受け入れがたい本に思えた。

 スーパーのようにだれとも接触せずに買い物をしたい。お店の人と情緒的つながりをもったり、コミュニティに属したいとも思わない。これは駅前のシャッター商店街のような関係にもどれといっているに近いように思える。

 あまりにも機械的なショッピングが増えてきたから、ぎゃくにつながりや絆の関係もほしくなったという人もいるかもしれない。だけど、わたし的にはお店の人と濃密な関係をつくりたいとは思わない。タイプ的に欲しているものが違うということはあるかもしれないが。まあ、美容室でしゃべりながら切れられたいか、一言もしゃべらずに切ってほしい人の違いのようなものかもしれない。

 店のコンサルタントを手がける藤村正宏も、お店もブロガーのような個人開示をおこなえといっているから、著者の小坂裕司の主張は似ている。

 でもこのような絆とか情緒的つながりをもとめる関係というのは、私的・個人的な閉鎖的なつながりには外側の人間にはうつってしまって、外部の人間を遠ざけることにもなりかねない。

 こういう主張の裏にはビジネスや広告があまりにも功利的で、信頼されていないという一面があるからだ。

 そこで著者は第三章で、利他行為の学術的研究をもちだしてくるのだが、ぎゃくに人が利他行為をおこないたがるのはあたりまえのことだと思うのだけど、著者はこの世界やビジネスがそんなに利己行為、功利だけに満ちていると思っていたことが浮き彫りになる。

 商売というのは利己行為だけなのか、利他行為だけなのか。

 お客さんの得になること、喜びになることを渡さないとだれもお金を払いたいとは思わないのだから、商売だって、利他行為であるはずである。奪うだけ、相手が得することだけにお金を喜んで払うことはありえない。

 ビジネスは利己的行為だ、金持ちや儲かる企業は自己利益だけ求めるものだという考え方は強くあると思うが、利他行為もふくまれないと、人はお金を払ってそのサービスを買うことなんてありえないのだ。得すること、メリットになることがあるからこそ、人はモノを買う。それはお客さんの楽しみや利益を提供するという利他行為がふくまれるからこそ、お客さんはお金を払うのである。

 ただ、企業や広告はお客さんから一方的に奪う、誘導・操作しているという反感、不信面が強くなりすぎた傾向はある。

 だからその解除には、もっと個人的なつながり、情緒的な絆がその不信面を抑えるという論理ならわかる。

 商売やビジネスは利己行為だけというのは違う。喜びやメリットになるものを提供しない限り、お客さんは喜んでお金を払うなんてことはない。それは貨幣によってくみこまれた強制的な利他行為である。

 人間には利他行為の喜びがあるという学術的研究をしめさないでも、人は利他行為をしたがるのはあたりまえのことだ。だけどビジネスや商売ではそれは貨幣に強制された利他行為なのだけどね。

 具体的な絆づくりとして、ハーレーのイベントやコミュニティがあげられているが、バイクは独特の集団をかたちづくる要素がある。バイクはある種の人たちのようになりたいというモチベーションで乗っているところがもともと大きいからね。

 まあ、企業や広告がどれだけ信頼されていないかということが浮き彫りになる裏返しの理論、努力なのかもしれない。

 お客のひとりとして、ある店とのべっとりとしたつきあいやフォローアップの関係より、やっぱり都会の無関心さ、放任自由主義を優先したいと思うのだけどね。

 お店や企業に私的な情緒的なつながりを期待するのは、どうも違うように思う。ただ、企業や店を構成するのはただの個人で私人であるのだから、ビジネス・公式だけの面で人と対するのは、おかしいとはいえるけどね。なぜ企業やビジネスは個人や私人であってはならなかったのだろう、とぎゃくにふしぎに思えるね。


ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣 (だいわ文庫)「心の時代」にモノを売る方法    変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来 (角川oneテーマ21)安売りするな! 「価値」を売れ!「ありがとう」と言われる商い脳は利他的にふるまいたがる

関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top