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12 16
2015

書評 マンガ論、サブカル論

おもしろくなかった――『「面白さ」の研究』 都留泰作

4041027535<面白さ>の研究
世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書)

都留 泰作
KADOKAWA/角川書店 2015-05-10

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 大ヒット作、『スターウォーズ』、『となりのトトロ』、『千と千尋の神隠し』、『ワンピース』、『踊る大捜査線』などのエンタメのおもしろさ、ヒットの理由などをさぐった書だが、文量もおおく、解釈もたいしておもしろみのあるものではなかった。ちょっと苦痛の部類に入る本かもしれない。

 著者は文化人類学者であり、マンガ家といういい肩書をもっているのだが、目を啓かせてくれるような新鮮な解釈をあたえてくれるわけでもなく、文章にもおもしろみがない。

 いまはドラマ性より、「世界観」エンタメといったものが受け入れられていて、個々の内面的悩みが解決したり、数人の仲間で分かりあうことで問題が解決されるような「近代的なドラマ」は価値をなくしており、理解しなければならないのは「世界」のほうなので、そのような「世界観」エンタメが求められているということである。

 ドラマがせせこましく、くだらなく見えてしまうのは、広くて深い「世界」にたいして、「世界」の中から極度に狭い個別的な人間関係を特権的にとりだしているからだという。もうこういうドラマは個として世間に対峙しなければならなくなったわたしたちには、必要性をなくしているというわけだ。

 『スターウォーズ』のヒットの要因を宇宙船のような高度な文明をつくりだした人類から、世界からとりのこされたような原始的で未開な民族をとりだしてみせたからだという。宇宙空間の中で、文明と進歩のヒエラルキーを並べ立てたことにより、地球上の博覧会のような様相を呈する映画になった。それが魅力なのだという。

 宮崎駿の魅力を、照葉樹林文化論や空間感覚、時間感覚などに求めるのだが、ふ~ん、もっとほかの魅力をほかの人も語っているように思うがとも感じられた。

 『ワンピース』は「『ジャンプ』的階層世界」を「地図化できる世界」に構築しなおしているということである。

 『踊る大捜査線』のおもしろみを組織論コメディと解釈してみせるのだが、これはいわれなくても、わたしにもわかる。

 まあさして解釈も斬新さや新鮮さも感じさせてくれず、文章がやたら長く、ちょっと忍耐を迫られる本であった。

 大ヒット作の解釈ならなにがなんでも片っぱしから読みたいという人にはいいだろうが、おもしろさや斬新さを求めるなら、この本は不向きでしょうね。言葉や説明しつくそうとする情熱が強すぎるのだろうか。


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