HOME   >>  販売・アフィリ  >>  ネット時代の嫌われものの広告――『明日のコミュニケーション』 佐藤尚之
11 28
2015

販売・アフィリ

ネット時代の嫌われものの広告――『明日のコミュニケーション』 佐藤尚之

4048703005明日のコミュニケーション
「関与する生活者」に愛される方法 (アスキー新書)

佐藤尚之
アスキー・メディアワークス 2011-10-11

by G-Tools


 いまはだいぶ落ち着いたのだが、ソーシャルメディアにおおいに期待されていた2011年に出た、ソーシャルメディア時代の広告のありかたを論じた本である。

 著者はさぬきうどんの本で目にしたかもしれないさとなお氏である。95年からホームページを開いていたという最古参のネット先駆者だろう。

 マスメディア時代とソーシャルメディア時代の広告を恋愛にたとえる話しはわかりやすい。マスメディア時代の広告はひたすら自分を褒めちぎり、自分の自慢ばかりして口説いた。それでお見合い結婚が成立した。

 ソーシャルメディアではウソも見栄もすべて見抜かれてしまうから、「愛すべき仲間」や「ロング・エンゲージメント」を築く恋愛関係にならなければならないということである。

 ネット時代の広告はむづかしいと思う。ネットは消費者や生活者の個人発信のネットであって、基本、マスコミや広告と敵対関係にある。さらにマスコミ時代に広告や宣伝の操作や踊らされている感じ、操られている感じに強烈に腹を立てていた人も多いだろうと思う。ネット時代に広告はほんとうに「招かれざる客」だと思う。

 ネットというのは金銭や広告のない関係のなかで、ひたすら無償の発言や交流がおこなわれる場所である。そんなところに「これ買って」「これがすごい」と押し売りされても総スカンを喰らうだけだろう。

 この本に提唱されているような「愛すべき仲間」になったとしても、さいごに保険の勧誘をして、それが目的? いままでの楽しい時間はそのため?と思われると、よりいっそう嫌われてしまう。広告はひたすら自己の利益を消し去って、有益かつ愉快な仲間であることを要求されてしまうのでしょうね。このありかたはもう広告ですらないかもしれない。

 そういう意味でブログのアフィリなんて、消費者や生活者の無償発信でありながら、広告の紹介料でいくらか小遣いを稼ぐという形態は、広告がどこまで消費者目線にならなければならないかを語っているのでしょうね。むしろため込んできた購買観察や選別知識がこのうえもなく有利にはたらくことになっている。

 まさにトフラーのいっていたプロシューマー(生産者と消費者をかけあわせた造語)がいま生まれているのだね。ネットのできる前にトフラーを読んでいたものにはいっそう感慨深いものがある。

  マス広告の意味のない駄じゃれみたいなシリーズとか、イメージだけのCMというのは、そういう時代を反映しているわけかな。

 ソーシャルメディアは2010年ころはずいぶん期待されていたようだが、いまはどうなんだろ、たいした力を発揮していないように思える。

 アラブの春もあったし、著者は鳩山ツイッターをプロジェクトしたり、震災プロジェクトを企画したりしたが、もうソーシャルメディアの力はだいぶ落ち着いてきたように思える。もうそんなに力も、変化もないんじゃないかといまは思えているところなんだけど。

 まあ、確実に変えたものはあるだろうけど、いまはあたりまえにふつうにあるものになりすぎたのかもね。


 広告やマスメディアは生活者や消費者にとって、どれだけ嫌われてきたか、うとまれたきたかという自覚から、ソーシャル時代をはじめなければならないのかもしれないね。権力や上から押しつけの放漫さと手を切らないと、かえってソーシャルメディアでよりいっそうの嫌われ度を発揮するかもしれない。

 広告はチャラチャラした、ただ目立ちがり屋の伝達者や煽動者にしか思われないのかもね。しかも自分の都合のよいこと、得になることしか話さない信頼のおけない抜け目のないやつでしかない。

 ソーシャルメディア時代には広告やマススメディアは徹底的に痛めつけられて、その放漫な権力や鼻をいちどへし折られないと、「愛すべき仲間入り」なんかさせてもらえないようにしか思えないのだが。


 だけど一般発信者も、このソーシャルメディアの時代に自身も広告やメディアの役割をまとってゆくことになるのだから、広告やマスメディアのありかたに学ぶことも多くなるだろう。ブログやツイッターであなたも広告やマスメディアとして発信することになり、嫌われた広告やマスメディアの性質も身につけなければならない時代になる。おたがいさまの嫌われ広告メディア。



ロングエンゲージメント なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのかイノベーションの普及つなげる広告 共感、ソーシャル、ゲームで築く顧客との新しい関係性 (アスキー新書)ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)売上を2倍にする!  ソーシャルメディア 成功の方程式


関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top