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09 11
2015

販売・アフィリ

「売れない」の深い溝――『「買いたい!」のスイッチを押す方法』 小阪裕司




 「どうしたら売れるだろう」、「どうしたら買ってくれるか」という問いは、売ったり、商品を開発する人はずっと問いたい問題だろう。

 わたしもアフィリサイトを立ち上げて、その問いは切実なものになって、気持ちが如実にわかる。

 問えば、人はなぜものを買うのか、なぜ買うのか、どうしたら買いたい気持ちを起こすことができるのかという謎が深くて広い問題に思えてくる。人が買いたい気持ちになるのは深い謎につつまれた瞬間に思えてくる。

 売れると売れないのあいだには深い溝があるように思えてくる。買いたいと買いたくないの溝の深さを痛烈に思い知らされる。売れない気持ちを味わうことは、売れることの謎への渇望を深める。

 どうしたら売れるのか、買いたいのスイッチはいつ押されるのかという問いがエンターテイメントや深い謎になるなんて思ってもみなかった。

 この本は人が買いたくなる気持ちになるときの瞬間になにが起こっているかを問うた本である。人はなぜ消費するのかを問うた本である。

 人は「なにを」買っているのか。

 読後感としてはこれで確実にわかった、という思いにはすこし足りなかった。なぜ売れるのかどうしたら買いたい気持ちになるかという謎解きのストーリーテリングはもちろんおもしろいのだが、少々謎を長くひっぱりすぎるきらいも感じた。

 どこでも売っているプリンやいままでほとんど売れなかったなんの変哲もないイスがとつじょ売れるようになった謎解きはおもしろいのだが、いまいち腑に落ちる感覚もわたしにはとぼしかったかもしれない。

 このふたつが売れた謎がこの本の山場とひっぱる謎なのだが、人がモノを買っているのは、「未来の私」を買っている、「人生がいいものだ」という満足感、こみ上げてくる充足感、自分の人生を生きているという感覚、を買っているといえば、たしかにそうなのだろうと思えるのだが、すこし考えればこの言葉は類型的な紋切り型すぎるようにも思えてくる。

 人生の充実感や満足感を、人は買っているのだというのはたしかにと思えるのだが、プリンやイスの例ではそうだっただろうか。あまりにも茫漠とした口触りのよいあいまいな使い勝手がよいだけの言葉に思えてくる。

 まあ、売れない売れないと嘆いている方、売れると売れないあいだの深い溝に落ち込んでいる人にはとてもおもしろい本である。

 プリンとイスが売れるようになった理由を求めているあいだにいつまでもページをめくってしまうというエンターテイメント本になってしまうかもしれない。売れないという深い溝に落ち込んでいる人にはそんな問いさえエンターテイメントになるのである。

 まあ、勉強とか学問というのもおもしろい人にはエンターテイメントになる。そのカギを握っているのは強烈に謎に思う気持ちである。この謎に思う気持ちがエンターテイメントのスイッチを押すのである。


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