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07 27
2015

セラピー・自己啓発

「悟っている」本である――『「思いグセ」を変える7つの鍵』 レイ・ドッド



 はっきりいって、この本は「悟り」について書かれた本である。

 われわれは「起きながら夢を見ている」。その思考のあり方を「思いグセ」という表現でみごとに捉えている。

 「思いグセ」は頭で真実と捉えていることより、もっと根深いもの。急にムカつくことが起これば、あなたはふだん善良で怒らないと思っている自分でも、急に怒り出したりしないだろうか。それこそが自分を深く縛りつけている「思いグセ」というもの。

 これはメキシコのシャーマンやトルテック族から伝えられていることであり、カスタネダのドン・ファンや真木悠介が『気流の鳴る音』でいっていたことと同じ。

 仏教や神秘思想の「悟り」も同じことをいっている。「起きながら夢見ている」意識状態を解き放とうとしたのがグルジェフであり、また和尚(ラジニーシ)やクリシュナムルティと近いことをいっている。グルジェフでは「内なるおしゃべり」という表現で、「思いグセ」が表現されているわけだが。

 ただ残念なことに邦題がみごとに無惨なまでに「凡百な自己啓発書」である。

 それとこの「起きながら夢見ている意識状態」からどうやって抜け出すのかという方法を期待して読みすすめたのだが、さいごまでその方法が提示されなくてがっくり。その脱出の方法が説かれていたら、名著と思えたのだろうが。

 「世界を止める」だとか、夢を見ながら覚醒させる「明晰夢」の方法を説かれたりしているのだが、それだけではさっぱり。惜しい本である。

 ただ人間の意識状態を「起きながら見ている夢」という状態に気づくことは「悟り」ともいえるので、それを明確に意識しているという点ではそれなりに高い段階の状態であるといえる。

 まあふつうの人に人は「起きながら夢をみている」といっても、なにを寝ぼけたことをいっているのかと返されるのがオチだからね。

 人間はこの夢の「奴隷」であって、法律に規制されているのではなく、「自分自身の考えから出たルールに縛られている」。

 人間は頭のなかでしじゅう、おしゃべりをしているのだが、これは思考の「自動機械」のようなものであり、その思考の束や全体を「自分」だと勘違いして暮らしている。

 また思考は「ひとつの解釈や捉え方」にしかすぎず、「あれもこれも」考えることもできるし、別の面、違った角度からも捉えれることができる。それは「空想」や「想像」にほかならないわけだから、「夢」と同じ状態だといえる。

 われわれが「現実」と思っているものは「解釈や捉え方」にすぎなく、想像や空想で捉えられた現実は「夢」としかいいようのない状態で毎日をすごしているわけだ。

 でもこの「現実」に感じるリアル感、切迫感というのは、ひじょうに根強く、根深いものがあり、この夢見の状態に気づいていても、空想された現実や出来事に人はひじょうに追いつめられたり、鬱や悲観までひきずりこまれたりするものだ。

 夢から完全に目覚めるのはひじょうにむづかしい。

 だからこの本にはその目覚める方法が語られているように思って期待したのだが、どうも脱出方法がいまいちすぎる。これでは悪夢の幕を下ろすことはできない。

 このレイ・ドッドという人はドン・ミゲル・ルイスという人に教えを乞うたようで、その人は神秘思想では評判らしい『四つの約束』の著者なのでぜひ読みたいと思っているのだが、安い古本で巡りあえるかな。

 それにしても仏教も「悟り」をこのように表現すればひじょうにわかりやすくなると思うのだけど、公案なんかでは「活!」とか「クソベラだ」とかいって言葉の否定をおこなうので、いっぱんの人に悟りの状態が伝わることはないのである。日本人は仏教僧にバカにされているね。


四つの約束グルジェフとクリシュナムルティ―エソテリック心理学入門気流の鳴る音―交響するコミューン (ちくま学芸文庫)存在の詩 和尚 OSHOドン・ファンの教え (新装版)


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