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02 08
2015

書評 心理学

認知療法500ページ――『不安な心の癒し方』 ロバート・L・リーヒ

4757212305不安な心の癒し方
ロバート・L・リーヒ
アスペクト 2006-02-27

by G-Tools


 500ページにおよぶ認知療法の不安にたいする処方が書かれたぶあつい本であり、項目が多すぎて頭のなかでまとまった像を結びにくいほど、内容量は多かった本というべきかな。

 不安にたいする処方箋は基本的につぎの7ステップである。

ステップ1 生産的な不安と非生産的な不安を区別する。
ステップ2 現実を受け入れ、それを変える努力をする。
ステップ3 不安になりがちな思考を変える。
ステップ4 心の奥にある恐れに目を向ける。
ステップ5 「失敗」をチャンスに変える。
ステップ6 心配するだけではなく不安な気持ちを利用する。
ステップ7 時間をコントロールする。



 不安な人にかけられるアドバイスは以下のようなものがよくあるが、数分は気が楽になるが、効果を発揮する確率はゼロであるといわれている。

「もっと前向きに考えろ」、「何も心配することはない」、「すべてうまくいくさ」、「自分を信じろ」、「きみを信頼しているよ」、「そんなことは忘れろ」、「とにかく心配するな」



 不安な人は不安になることで責任感をもっていると思ったり、最悪の事態をみぜんに防げる、解決策になる、感情的になることを抑えてくれるなどの不安にたいするポジティブな思い込みをもっているようだ。だからその思い込み自体に自分自身で納得する答えを見いださないと気がすまない。

 不安な人の大きな特徴として、「あらゆるマイナス志向の思いつきを、本当のことのように受け止める」というステップが大きいと思う。連鎖的に極端で最悪の想像を、現実に緊急に襲ってくるものだとリアルに思い込んでしまう。事実ではない推測や想像でしかないものが、現実の緊急事態のように感じてしまうのである。大きな落とし穴である。

 あまりにも項目が多いので系統だった紹介はできないので、いくつかの項目だけ抜き書きする。この本はその重要性のランク付けをしにくい本かな。

 不安な人の認知の典型的なゆがみは、たとえば他人の心を読みすぎたり、最悪で極端な未来を予想したり、いい面を見ずに否定的な面ばかり見る、たったひとつのよくないことをすべてに当てはめて解釈し、悪いことをすべて自分のせいにしたり、もしそれが起こったらという疑問ばかり思いうかべ、自分の感情を基準に現実を解釈したりする。

 認知療法というのはこれらのゆがんだ考え方に疑問をつきつけ、証拠は、確率は、客観的にどうかといった問いを発する。自分の思い込みにたいしての訂正と修正をおこなってゆく考え方だ。自分の認知の仕方が不安や恐れに落とし入れるのである。

 「自分は悪い想像ばかりしていないだろうか?」、「自分がどう思われているか気になり、人の心を読もうとしていないか?」、「自分の長所など、たいしたことはないと思っていないか?」、「もし何か起こったら、大変なことになると思っていないか(自分には対処能力、解決能力はまったくないのか?)」、「他人を評価するようなやさしい目でなぜ自分を評価しないのか?」といった疑問を自分につきつけることができる。

 「失敗をチャンスに変える」という章はなかなか参考になる知見をあたえられた。失敗の原因を自分の能力や人間性にあると見なした人は、落ち込み、あきらめ、なにをしようと状況は変わらないとそれ以上の挑戦をあきらめる。反対に、失敗しても、自分の努力が足りなかった、難しい仕事だった、運が悪かったと考える人なら、それ以上に努力をすることができるので失敗をそれほどおそれなかった。能力は決まっていると思っている人はもうそれ以上の努力はしない。だけど努力によって伸びる、能力は変わるものだと考えている人は経験や挑戦を重ね、自分の能力を伸ばすことができるのである。

 ふつうレストランで好物の注文がなかったとしたら、食べ物をあきらめるだろうか。代わりのメニューを頼むのはあたりまえである。失敗も同じことである。失敗したなら、ほかの行動や方法をためしてみるものである。失敗はほかのやり方、方法を見つけるためのひとつの障害にしかすぎない。

 不安な人は恐れていることを避けるために、「恐れているものは実際は危険ではないと気づく感情学習ができていないのである」。「恐怖心を乗り越えるには、それを体験すべきである」。「「心配だからやめておこう」でなく、「心配だからこそ、すぐやってみよう」」。

 不安な人は感情的にならないために、不安になっておこうという感情の封印もおこなうようである。「感情はよくない、悪いものである、コントロールできない、くだらない」と思いこんでいたりする。自分にはこのような無意識の思い込みがないかと問いかけ、恐れていることのイメージ体験をしてみることが不安を軽くする。

 不安な人は「いますぐなんとかしないと」というあせりや緊急事態を感じる。感情は一時のものであり、数時間後、半年後にはどうなっているだろう。大きな時間枠で見てみることが緊急事態になっている不安を軽減する。

 第11章からは具体的な不安の対処法が、これまでの方法を使って説かれる。すべて前述の同じステップを適用している。「みんなに嫌われたらどうしよう」「恋人に捨てられたらどうしよう?」、「本当に病気だったらどうしよう?」、「このままお金がなくなったらどうしよう?」、「仕事で何か失敗したらどうしよう?」といった具体的な不安にたいする処方箋が紹介されている。

 認知療法てんこもりの本なのだけど、項目が多すぎて頭でまとめにくく、一撃を与える言葉がすくなかったとすこし辛目になる本ともいえるかな。アマゾンの古本ではお安くなっています。

 

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