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職業を見つけるのはむずかしい。学生のときは企業や職業のことをまったく見れないわけだし、父や母がどのような仕事をしているのかもよく知らなかったりする。大企業や世間体のいい仕事で決めたり、世間一般のカッコよさの基準で決めたりする。
職業世界に入っていっても自分の好きな、価値のある仕事をずっとできるわけでもないし、自分にあっていない、もっと自分にあった仕事、やりがいのある仕事があるはずだとずっと迷いつづけたりする。やりたい仕事があっても競争率が高かったり経験がなかったりして手が届かなかったりする。またやりたいからといって、自分に向いている、できるとは限らない。
自分はほんとうはなにをやりたいのか、どんなことに価値をおくのかといった自問は、ずっとつづくのだと思う。また年をとれば好みややりたいことが変わったりして自分の嗜好や価値も不変ではない。天職や自分の一生の仕事にめぐり合うことは、自分を問いつめること、自分をところん知ることなんでしょうね。
この本は市井のいっぱんの人の19人の職業選択についてのインタビューを収録したものだが、まあたいして役に立つ本ではないだろう。選択のことより、ほかの仕事の話についておもしろいことが聞けたりするていどだ。ブックオフの百円で読めるならといった本だろう。
組織というのはある日とつぜん人事の裁量で自分の希望外に異動させられることもある。またポジションは上の人が指名したり承認したりされて決められるものだ。自分の選択や裁量で決められるものが少なかったりする。天に任せるしかないといったところだ。ヨーロッパでは自分からいわないとなにも変えてもらえないといったこともあるようだ。
ある舞台監督は世の中は凡人がベースになっていて、自分を凡人だと認めたくないから人の悪口ばかりいっているが、自分が進むだけで変わることがあるとアドバイスしている。
ある音楽教師は指導するだけならその子にはなにも残らず、成長することもないといっている。自分からこうなりたいと思うようになると自分から探す、調べるという行為をおこなうようになる。こういう自分から探すようになることが進路にとってもたいせつなことなんでしょうね。
まあ、この本から天職の探し方を見つけるのはむづかしいかもしれない。




