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11 09
2014

右傾化再考

国の誇りがあなたを切り捨てる

 「日本はすばらしい」や「世界が絶賛する日本」といった本やテレビ番組が大流行で、嫌韓嫌中な人たちも跳梁跋扈し、歴史修正主義による戦後レジームの脱却をうたう政治家たちの暗躍もおどろおどろしいさっこん。

 国を誇ったり、国を称賛することに警戒は必要ないといったムードが覆ってきており、朝日叩きに見られるような「左翼パラダイム」への攻撃も度を増している。

 左翼パラダイムとはなにかというと、社会主義革命のようなはげしいものではなくて、こんにちは平等や福祉をとなえる穏健な思想が中心だろう。男女平等や格差是正をうったえる勢力はこの思想パラダイムの中から発せられている。

 国を誇り、自虐や反日を批判するということは、これらの平等や福祉の思想や政策までも批判するということに気づいているだろうか。弱者や脱落者を守る思想の土壌となってきたのが、左翼パラダイムである。

 朝日を叩くのは自虐や反日を排撃するだけではなく、弱い者や脱落する者を助ける政策や思想も排撃するということである。そういうつながりに気づいているだろうか。

 国を誇る思想のパラダイムは保守思想であって、保守というのは、金持ちや権力者が力をもち、その格差や序列をうけいれ、そのあり方を容認する思想もふくむのである。強い者をもっと強くし、弱い者は弱いままの放っておかれるのが保守思想である。なぜならそれこそが国の強さを補強し、国家の競争力を強めるものだと思われているからだ。

 「日本バンザイ!」といっていると、もし格差や弱者の立場にいるかもしれないあなたやまわりの人は、どんどん平等や福祉から切り捨てられる思想に票を入れることになる。自分をおとしめ、切り捨てられる国の増強という思想に力に貸すいっぽうになるのである。

 保守思想というのは国の強さや競争力を誇り思想である。エリートや強者をもっと擁護し、補強する思想である。格差や序列、弱者の切り捨てをもっと補強する思想である。なぜなら国家の誇りや強さだけが重要なのであって、弱い個人や下にいる個人を守っても、その強さにつながらない。したがって下の者、個人はどんどん切り捨てられ、うち捨てられることになってゆく。国の強さのためには弱い個人は犠牲になってかまわない、礎や人柱になれといった思想である。

 国が強くなるためには個人は捨てておかれる。それこそが保守思想であり、右翼思想ではないのか。

 あなたが同一視して崇めている国家は残念ながら、個人と同一ではない。どちらかというと、個人の利益やメリットと相反する立場である。あなたが最強であり、稼げ、もっと資産を増やせる人間なら国はあなたに微笑むだろう。しかしあなたが弱い立場や稼げない人間なら、国はあなたを見棄て、強者にもっと搾取や殉教をほどこす下支えの生存を強制してくるだろう。あなたは国の誇りや強さを望んだのだから。

 国の誇りや強さに同一視し、喜んでいると、もし弱い立場ならあなたはもっと貧窮や奴隷の立場にいつの間にか追いやられているだろう。国の強さは個人の弱さや犠牲の上に築かれるのであり、国の誇りはわたしたちの立場の弱さや格差化につながっているのである。国が強いと喜んでいると、自分の足場がどんどん削られていたといった悲劇に陥らないようにしたいものである。


保守思想とはなにか
日本人として読んでおきたい保守の名著 PHP新書保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒選択の自由[新装版]―自立社会への挑戦アメリカの保守とリベラル (講談社学術文庫)


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「国を誇り、自虐や反日を批判するということ」ことと、「平等や福祉の思想や政策までも批判するということ」は別物です
一緒にしてしまう思考がおかしいです
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