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11 08
2014

右傾化再考

ぱっとしない本だった――『日本人に生まれて、まあよかった』 平川 祐弘

4106105691日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)
平川 祐弘
新潮社 2014-05-16

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 あまりぱっとしない本だった。

 右翼とか保守のトンデモ主張ならおもしろいだろうと思ったのだが、中立の意見もあり、右翼的な考えもあり、どうも煮え切らなくてぐだぐだの読後感。

 比較文化史家で国際的にも教壇に立った人だということだが、わたしの読書の網にはひとつもかかってこなかった。著名な人? 梅棹忠夫ならとうぜん知っているのだが。

 基本的に保守・右翼系の陣営に立つようなのだが、中立の意見も多く、なにか隠していないかという気もした。そこはかと右翼的・国粋的な情緒をもっている人に思えたのだが。さらりとして流してしまう書評でよい。

 いちばんインパクトがあったのはパール・バックの『大地』の位置づけだ。中国の農民を描いたこの作が世界的なベストセラーになった意味がわからなかったのだが、ここでしっかりと紹介されている。

 『大地』は満州事変の年1931年に出されたのだが、逆境にうちかつ農民を描いたことでアメリカの親中感情をよびおこし、日本に侵略される中国への支援の後ろ盾となったということである。日本でもベストセラーとなったのが、日本では軍閥の割拠に苦しむ中国人民を助けるのだといった信念になった。つまり後に太平洋戦争の原因となった衝突を、この書はあらわしている。バック自身は反日活動にいそしんだが、日本ではアジアの味方だと感謝されていたそうだ。

 この本は日本を批判すれば国際的になれるわけではないといったことや、教育の減点主義は短所や揚げ足取りばかりおこなうつまらない人間になるといった痛い指摘も多い。右翼や軍部の批判もちゃんとしている。両派の批判もしっかりしているが、そこはかとなく右翼・保守な人である。あまり中立な人には思えない。


大地 (1) (新潮文庫)日本の正論西欧の衝撃と日本 (講談社学術文庫 (704))和魂洋才の系譜 内と外からの明治日本 上 (平凡社ライブラリー)竹山道雄と昭和の時代



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他国民が持っている、ごく普通の愛国心だからでしょう。
それさえも「右翼」呼ばわりされてしまっていた日本
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