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05 26
2014

社会批評

82年生まれ・凶悪犯世代はマスコミの笛吹きピエロである

 82年生まれがつぎつぎと凶悪犯罪を犯していることが指摘されていた。酒鬼薔薇事件に西鉄バスジャック事件、秋葉原の加藤智大、PC遠隔操作事件の片山容疑者…。

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 1982年生まれの凶悪事件があまりにも有名すぎると話題に

 酒鬼薔薇事件がおこったのはこの世代が14歳の1997年。この世代の時代背景にはどんなことがあって、なぜ凶悪犯に駆られやすいのか。

 わたしはこの世代はマスコミに踊らされたピエロだと思っている。凶悪犯罪にロマンや心の深淵のナルシズムを植えつけられた世代だと思っている。そういった風潮の笛吹きによって演じさせられたピエロだと見ている。

 91年にバブルが崩壊したが、グレードアップ消費社会にうんざりしていて、一部から「モノから心の時代へ」が唱えられていた。そのことによって心理学的なことに興味が向かう人が増え、物質的豊かさではないべつのゆたかさが求められていた。

 でも残念なことに心理学の興味が向かった先は「猟奇殺人」や「多重人格」といった異常心理だった。あたかも心の深い闇や猟奇的な心理が、深淵でカッコよくて、探究すべきものと思われてしまった。

 97年に酒鬼薔薇事件がおこり、センセーショナルに飛びつきやすいマスコミは猟奇殺人を待ち望むようになり、マスコミは「次は次は?」といった心理状態でリアルな猟奇殺人を待つようになった。リアルに少年たちが犯罪を犯すとマスコミはかれの性格や生育歴をワイドショーでながながと流し、ある種の「アンチ・ヒーロー」として祭り上げられた。少年たちは凶悪犯であるが、いっしゅの「憧れ」を抱いたのではないのか。

 当時の人たちはつぎつぎにおこる凶悪犯に真剣に対峙しているつもりだったのだろうが、これはいっしゅの「笛吹きピエロ劇」であって、不安やおそれが過剰になるにつれ、「もっともっと凶悪な犯罪少年が出てきてくれ」という心理状況をつくりだした。ピカレスクに憧れを抱いた少年たちは期待されるままに、人生を失うことになる凶悪犯罪を欲する人たちの前で「演じた」ということである。

 マスコミに踊らされたピエロだったのである。

 こういった反省がとうじのマスコミや少年たちの心理分析を買って出た心理学者からおこなわれたことはあっただろうか。せめてこの世代は自分たちが笛に踊らされた猿であった、凶悪犯罪で名を上げることを期待された犠牲者、慰めモノであったという理解を得てほしいものである。


 時代背景としては95年に阪神大震災があり、戦後のひとつの終りを感じさせたし、オウム真理教事件によって戦後の終焉感はいや増しにされた。

 また91年に崩壊したバブル経済は人知れず闇の中で不良債権を増やしつづけ、第二次世界大戦をひきおこした世界大恐慌に匹敵する経済恐慌を招くのではないかという恐れの中にあった。その不良債権はたまりにたまって、97年に山一證券を皮切りに金融証券業界の崩壊を招いた。戦後の時代が終わるのではないかという恐れの中にあった。

 これまで安定してきた一億総中流や高度成長といった昭和の経済繁栄の時代が終ろうという不安な時代に少年たちはつぎつぎと凶悪犯罪を演じてみせて、心の時代を謳った人たちの慰めモノとなり、足下で起こっている昭和の地盤の崩壊という現実から目をそらしてきたのである。

 三大金融証券会社の倒壊により、戦後の安定の象徴だった終身雇用制は終ったとささやかれるようになり、この年から自殺者は三万人をこえ、ホームレスの青テントも河川や公園にどっと増えた。非正規雇用もどんどん増え、格差社会も話題になり、これまでと違った不安的な時代がやってくるのではないかという不安がふくらんだ。

 現代と戦前は似ているという説もあって、戦前に昭和恐慌や農村恐慌がおこり、政財界の腐敗や堕落に怒りを燃やした軍隊の青年将校たちが政府要人を殺傷するという凶悪な事件がおこったことがある。この青年将校たちの世代は、げんだいの82年生まれの凶悪犯罪世代に重ねることができるかもしれない。

 世が世であったら、少年たちは政府へのテロリズムをおこしていたかもしれないのである。しかし現代の若者たちはただ同類たちを殺傷するという盲目的で方向性のない暴発をくりかえしただけであった。


追記】 わたしの意図はなんらこの世代を否定するものでも批判するものではなくて、犯罪によって名をあげることをそそのかされたり、犯罪にナルシズムやヒロイズムを感じような捉え方に気づいてほしいという意図から書かれたのものであります。むしろ犠牲者である、被害者であることに気づいてほしいというものです。

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