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05 21
2014

右傾化再考

リスペクトしない人の伝記本を読んでもね――『石原莞爾』 青江 舜二郎

4122019206石原莞爾 (中公文庫)
青江 舜二郎
中央公論社 1992-07

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 時期尚早すぎたのか。あるいはこのような伝記本は入門書としては適さないのか。思想や一般概念をこのむわたしはどうも個人の個別的な行動を追うのが苦手である。

 この本を読むにいたったのはさっこんの右傾化の心配から右翼思想の本を読んでみようということになり、そういうこころみはおのずから戦争へといたった経緯をも問うことになった。

 石原莞爾は満州事変をはじめ、満州国建設といったのちの戦争へとかりたてるきっかけをつくった軍人の思想家である。

 伝記を読むというのはふつうリスペクトであったり、親しみがさいしょにありそうなのだが、感情移入できない人の伝記を読むというのは没入できない一線をひいた。

 石原莞爾のさいしょの構想では満州の人たちと協同でアメリカに対抗するために満州国をたちあげるといった目論見をもっていたそうだが、満州国は日本の独占支配のかたちになり、一国では対抗できないと考えていたアメリカと日本は戦争をはじめる道を選んでしまい、石原莞爾はそのことを批判しつづける立場になったということである。

 戦争の主導者であったのだが、思っていたかたちに協同戦線がまったく機能しないので、そのあり方を批判しつづけたのだが、軍部や国は石原の構想をたどるかのようにアメリカと対戦をはじめてしまったということになるようである。

 石原莞爾はアジアの人たちと共同して西欧支配からの解放をめざしたアジア主義の軍人だったということになるのだろうか。だが軍部は協同ではなく支配と植民地の西欧化の道を選んでしまい、個別では勝てないと見込んでいたアメリカとの対戦に軍部・日本はつきすすんでしまった。

 青写真は失敗してしまって、だけどその青写真をちがったかたちで日本がひきついだということになるのだろうか。

 伝記本を一冊読んだのだけど、基本的な知識がないためによくわからなかったといわざるをえない。北一輝とか大川周明も伝記本が出ているのだが、これらの本を読んでも同じ目にあうのだろうか。

 日本はどうして国家主義・右傾化したという問いは戦後思想の人たちが問いかけた問いではないのかと戦後思想を概括する本にめぼしをつけたいと思う。というか、明治以降さいしょから日本はこの道をめざしていたのではないかということもできるのだけどね。日露戦争以後まちがったのではなくてね。


最終戦争論 (中公文庫BIBLIO20世紀)戦争史大観 (中公文庫BIBLIO)石原莞爾 その虚飾 (講談社文庫)「昭和」をつくった男―石原莞爾、北一輝、そして岸信介石原莞爾―満州国を作った男 (宝島SUGOI文庫 A へ 1-41)


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